出入国在留管理庁は2026年8月28日、同年10月1日から始まる在留許可手数料の減額・免除措置について案内を公表した。永住許可手数料は原則1万円から20万円へ大幅に引き上げられるが、一定の生活困窮状態にあり、人道上の配慮も必要と認められる場合には、2万円まで減額できる。
ただし、「収入が低い」「値上げ後の手数料を払うのが難しい」という事情だけで自動的に減額される制度ではない。原則として、生活保護法上の要保護者に準ずる程度の生活困窮と、難民認定や本国情勢などに関する人道上の配慮の双方が確認される。対象、金額、申請方法を整理する。
新人記者ナルカ


10月1日からの減額・免除措置
| 手続き | 通常手数料 | 減額対象と認められた場合 |
|---|---|---|
| 在留資格変更・期間更新(3か月超) | 許可期間と申請方法により段階制 | 1万円まで減額可能 |
| 永住許可 | 20万円 | 2万円まで減額可能 |
| 外交・公用など | 手続きにより異なる | 一定の場合に免除 |
改定後の在留資格変更・期間更新手数料は、決定される在留期間や窓口・オンラインの別によって変わる。永住許可は20万円で、オンライン申請はできない。減額措置は、許可を受ける全員への割引ではなく、個別審査を前提とした例外である。
減額対象となり得る基本条件
入管庁のガイドラインは、次の2つを基本条件として示している。
- 生活困窮:生活保護法に規定する要保護者に準ずる程度に生活に困窮していると認められること
- 人道上の配慮:日本に引き続き在留できるよう人道上の観点から特に配慮する必要があること
原則として、どちらか一方だけでは足りない。入管庁は、経済的事情で手数料を払えないだけでは減額・免除が相当とはいえないと説明している。また、人道上の配慮が必要でも、手数料を負担できる経済状況なら減額対象にならない場合がある。
想定されている対象者
- 生活保護法の取扱いに準じた保護を受けている人
- 難民認定申請者などへの保護措置により保護費の支給を受けている人
- 難民または補完的保護対象者の認定を受け、「特定活動」から「定住者」へ変更する人
- 人道上の配慮を理由として「特定活動」への変更を受ける人
- 本国の情勢不安を理由として「特定活動」への変更・更新を受ける人
- 難民認定申請中など一定の事情で「特定活動」の許可を受ける人
- これらと同程度の生活困窮と人道上の事情が認められる人
列挙された事例に形式的に当てはまれば必ず減額されるわけではない。反対に、一覧にない事情でも、制度趣旨に照らして個別判断される余地がある。必要資料、生活状況、人道上の事情を総合して法務大臣が判断する。
「生活が苦しいだけ」では対象にならない理由
就労資格などの更新では、そもそも在留資格に応じた活動を継続し、安定して生活できるかが審査対象になる。入管庁は、手数料を支払えないほど経済的に困難という事情だけなら、在留資格に該当する活動を継続できるのかという別の問題が生じると説明している。
この考え方には、「高額な手数料が生活困窮をさらに悪化させる」「病気や失業など本人の責任ではない事情を十分に考慮すべきだ」との反論もあり得る。審査では、一時的な収入減、家族構成、医療費、利用できる公的支援、今後の生活見通しを丁寧に確認する必要がある。
永住許可の減額対象には追加の制限
永住許可の減額は、変更・更新とは対象範囲が同一ではない。改正法では、日本人、永住者または特別永住者の配偶者や子など、一定の身分関係を持つ人に対象が限定される仕組みが設けられている。
したがって、難民認定を受け生活に困窮しているなどの事情があっても、申請する手続きと身分関係によって減額の可否が変わる可能性がある。永住申請を検討する場合は、一般的な減額対象の説明だけでなく、永住許可に固有の条件を確認しなければならない。
免除されるのはどのような場合か
免除対象には、外交または公用の在留資格への変更許可を受ける人、公用の在留資格で在留し期間更新を受ける人、これらに準ずる人として法務省令で定められた人が含まれる。生活困窮者全員の手数料をゼロにする制度ではない。
「減額」と「免除」は別であり、永住20万円が一般的に無料になるわけではない。記事やSNSで「払えないと申告すれば免除」と拡散するのは誤情報につながる。
減額を希望する場合は窓口申請
減額措置を希望する場合は、地方出入国在留管理官署の窓口で申請し、生活困窮と人道上の事情を示す資料を提出する必要がある。オンライン申請を選んだ後に自動判定される仕組みではないため、対象となる可能性がある人は申請前に窓口へ確認した方がよい。
通常手数料は許可時に納付するが、減額申請では、どの時点で何を提出するかを確認しておく必要がある。虚偽資料の提出は在留審査そのものへ重大な影響を与えるため、事実に基づく資料を準備しなければならない。
制度を巡る賛成・反対・中立の視点
限定的な減額を支持する視点
在留手続きには行政コストがかかるため、原則として受益者負担を求めつつ、難民や人道配慮案件には例外を設ける仕組みは合理的だという考え方である。
対象が狭すぎるとする視点
永住許可20万円は大きな負担で、低所得世帯、子どもの多い家庭、病気や失業に直面した人も対象に含めるべきだという意見がある。人道要件との両方を求めると、多くの生活困窮者が救済されない可能性がある。
透明な運用を求める中立的視点
どの資料で生活困窮を判断するのか、減額が認められた件数や理由、地方入管による判断差があるのかを公表し、制度の公平性を検証する必要がある。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 2026年10月1日から在留許可手数料が大幅に改定される。
- 一定の対象者は、変更・更新を1万円、永住許可を2万円まで減額できる。
- 生活困窮と人道上の配慮の双方が原則として必要で、低所得だけでは対象にならない。
- 外交・公用など一定の手続きには免除措置がある。
- 減額を希望する場合は、オンラインではなく窓口で必要資料を提出する。
出典
- 出入国在留管理庁「令和8年10月1日以降における在留許可手数料の減額措置又は免除措置」
- 出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等」
- 出入国在留管理庁「在留許可手数料改定に関するFAQ」
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