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不法滞在者の7割が不法就労 入管庁新方針を解説

不法滞在者の7割が不法就労 入管庁新方針を解説
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出入国在留管理庁が公表した2025年(令和7年)の入管法違反事件では、退去強制手続または出国命令手続を執った外国人1万8,442人のうち、不法就労の事実が認められた者は1万3,435人だった。全体の72.9%に当たり、不法滞在と不法就労が強く結びついている実態が改めて示された。

産経新聞は2026年6月14日、入管庁が不法就労対策の新方針をまとめ、特に外国人雇い主について、刑事事件として不起訴となった場合でも、警察などから情報提供を受け、入管法上の退去強制手続を積極的に進める方針を報じた。刑事処分と在留管理は別の制度であり、不起訴は「在留上問題がない」ことを意味しない。

本記事では、入管庁統計、不法就労助長罪、退去強制手続、雇用主側の責任を整理したうえで、JP News Focus編集部としての社説を加える。結論からいえば、違法就労を放置することは、日本人労働者、適法に働く外国人、地域社会、税・社会保障制度のすべてに不利益をもたらす。厳正な法執行と、適正雇用を支える制度整備は同時に進めるべきだ。

新人記者ナルカ
不法滞在者の7割超に不法就労の事実があった、という数字はかなり大きいね。

編集長クロ助
そうにゃ。不法滞在を単なる在留期限切れの問題として見るだけでは足りないにゃ。違法な雇用、低賃金競争、ブローカー、地域の制度不信までつながる問題にゃ。

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何が公表・報道されたのか

今回の焦点は、入管法違反者のうち不法就労が認められた割合が高いことと、雇う側への対策を強める方針である。出入国在留管理庁は、2025年5月に「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を公表し、2026年5月にはこれをさらに進める「不法滞在者ゼロプラン〜強力推進パッケージ〜」を公表した。

同パッケージでは、不法残留者数を減少させる観点から、入国管理、在留管理・難民審査、出国・送還の各段階で対策を強化する方向が示されている。新たに「摘発の強化」が掲げられ、不法就労助長者への対策、SNS上の不法就労募集・あっせん情報へのサイバーパトロール、関係機関の連携強化などが論点となっている。

編集部注:本記事で扱う「不法滞在者」とは、主に在留期間を超えて日本に残留している人、上陸許可を受けずに入国・上陸した人、在留資格を取り消された後も残留している人など、入管法上の違反状態にある外国人を指す。適法な在留資格で働く外国人労働者や永住者、日本国籍を持つ人とは明確に区別する必要がある。

令和7年の入管法違反事件データ

出入国在留管理庁の「令和7年における入管法違反事件について」によると、2025年中に入管法違反により退去強制手続または出国命令手続を執った外国人は1万8,442人だった。そのうち、不法就労の事実が認められた者は1万3,435人で、全体の72.9%を占めた。

項目人数・割合意味
退去強制手続等を執った外国人1万8,442人入管法違反により退去強制手続または出国命令手続の対象となった人数
不法就労の事実が認められた者1万3,435人違反者のうち、日本国内で違法に働いていたことが確認された人数
不法就労の割合72.9%入管法違反者の7割超が就労と結びついていたことを示す
不法残留者数6万8,488人令和8年1月1日現在。前年から6,375人減少

不法就労の職種別では、農業従事者が5,227人、建設作業者が4,011人で、この2業種だけで全体の68.8%を占めた。就労場所別では茨城県が3,518人で最多とされ、関東1都6県への集中も指摘されている。特定の地域や業種で労働力不足が深刻化するなか、違法な雇用が入り込む余地が生じている構図が見える。

不法就労とは何か

不法就労は、単に「外国人が働くこと」ではない。外国人が日本で働くこと自体は、在留資格と活動範囲に合っていれば適法であり、日本経済を支える重要な労働力でもある。問題となるのは、働く資格がない人を働かせること、許可された範囲を超えて働くこと、就労資格のない在留資格で働くことなどである。

分類具体例問題点
不法滞在者が働く在留期限を過ぎたオーバーステイの人が工場や農場で働く在留資格そのものがないため、就労も認められない
就労不可の在留資格で働く短期滞在で来日した人が報酬を得て働く在留資格の活動内容に反する
資格外活動の範囲を超える留学生が許可時間を超えて働く本来の在留目的と制度運用を損なう
偽装・名義貸し別人の在留カードや名義を使って働く本人確認と雇用管理を崩し、犯罪インフラ化する恐れがある

重要なのは、不法就労は本人だけの問題ではないという点である。雇う側、あっせんする側、名義を貸す側、住居や移動手段を用意する側が存在すれば、違法就労は組織的な構造になる。特に低賃金、長時間労働、労災隠し、社会保険未加入、税逃れと結びつけば、適法に雇用する事業者が競争上不利になる。

雇い主側に問われる不法就労助長罪

入管法では、不法就労をさせた者、不法就労をあっせんした者、不法就労活動を実質的に支配した者などに対し、不法就労助長罪が定められている。警視庁も、働くことが認められていない外国人を雇用した事業主や、不法就労をあっせんした者は処罰対象になると注意喚起している。

罰則は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科である。雇用主が「知らなかった」と主張しても、在留カード確認など必要な確認を怠った過失があれば処罰対象になる場合がある。法人や雇用主にも罰金刑が科される可能性があり、単なる労務管理ミスでは済まない。

企業・事業者に必要な確認:外国人を雇用する際は、在留カードの有無、在留資格、在留期間、就労制限の有無、資格外活動許可の有無を確認し、雇入れ・離職時には外国人雇用状況の届出を行う必要がある。人手不足を理由に確認を省略することは、企業自身の刑事・行政リスクにつながる。

「不起訴でも強制送還」とはどういう意味か

報道で注目されたのは、外国人雇い主について、刑事事件として不起訴になった場合でも、入管庁が警察などから情報提供を受け、退去強制手続を積極的に進めるという方針である。

ここで重要なのは、刑事手続と入管手続は別制度だという点である。刑事事件の不起訴には、嫌疑不十分、起訴猶予、証拠関係、被害弁償、量刑見通しなど複数の理由があり得る。不起訴は「犯罪事実が完全に存在しない」と同義ではなく、まして「在留上の問題がない」ことを意味しない。

一方、退去強制手続は、入管法上の退去強制事由に該当するかを行政手続として判断するものである。不法残留、不法就労、資格外活動、刑罰法令違反などが確認されれば、刑事処分の結果とは別に、在留資格の取消しや退去強制の対象になり得る。

制度判断主体主な目的不起訴との関係
刑事手続警察・検察・裁判所犯罪の成否と刑罰を判断する検察が起訴しない場合、刑事裁判には進まない
入管手続出入国在留管理庁在留資格の適否、退去強制事由の有無を判断する不起訴でも入管法違反があれば行政手続は進み得る

この仕組み自体は、法治国家として不自然ではない。ただし、手続の透明性、事実認定の慎重さ、異議申立てや在留特別許可の判断、家族・人道上の事情への配慮は不可欠である。厳格化と適正手続は対立しない。むしろ、厳格な制度ほど、判断理由の明確化と説明責任が必要になる。

編集部社説:不法就労の放置は、国民生活と適法な外国人を同時に傷つける

JP News Focus編集部は、不法就労対策の強化を基本的に支持する。理由は単純である。不法滞在と不法就労が結びついた状態を放置すれば、被害を受けるのは日本人労働者だけではない。適法な手続で働く外国人、まじめに雇用管理を行う企業、地域社会、税と社会保障制度も損なわれるからだ。

不法就労の現場では、低賃金、現金払い、長時間労働、社会保険未加入、労災隠しが起きやすい。違法な雇用で人件費を下げる事業者が増えれば、法令を守る企業は価格競争で不利になる。これは日本人労働者の賃金にも、適法に働く外国人の待遇にも悪影響を及ぼす。

さらに、雇用主やブローカーが外国人を支配し、住居、移動、借金、在留資格を絡めて囲い込むようになれば、地域の見えない場所に搾取構造が生まれる。不法就労は、治安問題であると同時に、労働市場の公正性を壊す経済問題でもある。

一方で、編集部は「外国人だから厳しくすればよい」という単純な議論には与しない。適法に働く外国人は日本社会の重要な担い手であり、彼らを不安定にする報道や制度運用は避けるべきだ。取り締まるべきは、在留資格を守らずに働く本人と、それを利用して利益を得る雇い主・仲介業者・名義貸しである。

社説として最も強調したいのは、「受け入れ拡大」と「違法就労の厳格取締り」は矛盾しないという点である。むしろ、外国人材を今後も必要とするなら、不法就労を温存してはいけない。制度を守る人が報われ、制度を悪用する人が利益を得ない仕組みにしなければ、国民の信頼も、外国人雇用の持続性も失われる。

日本人雇い主と外国人雇い主で何が違うのか

今回の報道では、外国人雇い主について「不起訴でも積極的に強制送還」とされた点が大きく注目された。これは、日本人雇い主が軽く扱われるという意味ではない。日本人雇い主は日本国籍を持つため退去強制の対象にはならないが、不法就労助長罪、法人処罰、行政指導、社会的信用の失墜といった責任を負う。

外国人雇い主の場合、刑事責任に加え、在留資格の適格性が問われる。日本で事業を営む資格、経営管理の実態、税・社会保険・労務管理の適正性、入管法違反への関与が確認されれば、在留資格の更新・変更や退去強制手続に影響するのは当然である。

ただし、運用上は「外国人雇い主だから一律に退去」ではなく、違反の具体性、故意性、役割、被雇用者への搾取性、再発性、事業実態などを見て判断すべきである。法執行の対象は国籍ではなく、行為と制度違反でなければならない。

地域・業種別に見えるリスク

令和7年の不法就労は、農業と建設作業に集中している。茨城県では不法就労者数が3,518人で、県資料でも4年連続で全国最多とされている。農業分野は季節変動が大きく、人手不足が深刻で、雇用管理が小規模・分散的になりやすい。建設分野も下請け・孫請け構造の中で、労務管理の責任が曖昧になる場合がある。

このような業種では、単に摘発を強めるだけでは十分ではない。適正な特定技能人材の受け入れ、繁忙期に対応できる合法的な派遣・請負の枠組み、農家や中小事業者への在留カード確認支援、通報しやすい窓口整備が必要である。

地域社会にとっても、不法就労は見えにくいリスクである。住宅の過密居住、ゴミ出し、交通、無保険労働、税・保険未加入など、住民生活に近い問題として表面化することがある。自治体、警察、労働局、入管が連携し、違法な雇用構造を早期に把握する仕組みが欠かせない。

賛成・反対・中立の視点

取り締まり強化を支持する視点

不法滞在者の7割超に不法就労が認められた以上、雇う側を含めた摘発強化は避けられないという立場である。違法就労を放置すれば、税・社会保険逃れ、低賃金競争、ブローカーの介入、地域の制度不信が拡大する。日本社会の安全と公正な労働市場を守るため、悪質な雇い主や仲介者には刑事・行政の両面で厳正に対応すべきだという考え方だ。

人権・難民保護を懸念する視点

難民支援団体や移住者支援団体からは、「不法滞在者ゼロプラン」や強力推進パッケージに対して、難民申請者や非正規滞在者を一括して送還圧力の対象にすることへの懸念が示されている。特に、難民認定制度の審査体制や人道的配慮が不十分なまま送還が進めば、保護を必要とする人まで不利益を受ける可能性があるという指摘である。

制度改善を重視する中立的視点

不法就労を減らすには、摘発だけでなく、合法的な就労ルートの整備、在留資格確認の簡素化、雇用主教育、悪質ブローカーの排除、労働相談窓口の多言語化が必要だという立場である。本人、雇い主、仲介者、行政のどこに制度上の隙があったのかを検証し、再発防止策に落とし込む必要がある。

SNS上の反応と論点

XなどSNS上では、今回の報道を受けて「不法就労は厳しく取り締まるべきだ」「不起訴でも入管手続を進めるのは当然だ」とする声が多く見られた。一方で、「刑事事件で不起訴なのに送還対象にするのは手続上問題がないのか」「日本人雇い主への責任追及も同じように厳しくすべきだ」といった疑問も出ている。

編集部としては、SNS上の感情的な賛否だけで制度を評価すべきではないと考える。重要なのは、入管法違反の事実認定、雇い主の故意・過失、被雇用者の立場、搾取性、再犯性、地域への影響を個別に確認することだ。そのうえで、悪質な雇い主・ブローカーには厳正に対応し、適法な外国人雇用はむしろ守るべきである。

企業・自治体が取るべき対応

主体必要な対応目的
企業・農家・建設業者在留カード、就労制限、在留期限、資格外活動許可を確認する不法就労助長罪を防ぐ
元請け企業下請け・孫請けの外国人雇用状況を確認する責任の空白をなくす
自治体多言語相談、適正雇用啓発、過密居住・生活トラブルへの対応を整える地域の不安を早期に把握する
警察・入管・労働局通報情報、摘発情報、労務違反情報を連携する雇い主・ブローカー構造を把握する
外国人本人在留期限と就労範囲を確認し、違法な勧誘に応じない退去強制や搾取被害を避ける

クロ助とナルカの視点

新人記者ナルカ
不法就労って、働いている本人だけが悪い問題なの?

編集長クロ助
本人の責任もあるけど、それだけじゃないにゃ。雇う側、あっせんする側、名義を貸す側がいると、違法な雇用の仕組みになるにゃ。

新人記者ナルカ
不起訴でも退去強制手続が進むって、ちょっと分かりにくいね。

編集長クロ助
刑事手続と入管手続は別にゃ。不起訴は刑事裁判に進まないという意味で、在留資格に問題がないという意味ではないにゃ。

新人記者ナルカ
でも、適法に働いている外国人まで不安にさせるのは違うよね。

編集長クロ助
その通りにゃ。守るべきは、制度を守る外国人と、適正に雇う企業にゃ。厳しく見るべきは、制度を悪用して利益を得る雇い主やブローカーにゃ。

編集部まとめ

  1. 事実確認:令和7年中に入管法違反で退去強制手続等を執った外国人は1万8,442人。不法就労が認められた者は1万3,435人で、全体の72.9%だった。
  2. 新方針:入管庁は「不法滞在者ゼロプラン〜強力推進パッケージ〜」の中で摘発強化を掲げ、不法就労助長者やSNS上の募集・あっせんへの対策を強める方向を示している。
  3. 制度上の要点:刑事事件として不起訴であっても、入管法上の違反が確認されれば、在留資格の取消しや退去強制手続の対象になり得る。
  4. 国益的示唆:不法就労を放置すれば、日本人労働者、適法に働く外国人、適正雇用を行う企業、税・社会保障制度のすべてに不利益が及ぶ。雇う側への厳正な対応が必要である。
  5. 報道上の注意:問題は国籍そのものではなく、入管法違反と違法な雇用構造である。適法な外国人労働者と不法就労者を混同しない表現が求められる。

出典・参考資料

不法滞在者の7割が不法就労 入管庁新方針を解説

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