外国人が日本で会社経営や事業管理を行うための在留資格「経営・管理」をめぐり、2025年10月の許可基準厳格化後、新規申請件数が大幅に減少している。TBS NEWS DIGは2026年5月8日、厳格化後の新規申請が、改正前の月平均約1700件から約70件に落ち込み、約96%減少したと報じた。
改正では、必要な資本金が従来の500万円以上から3000万円以上に引き上げられ、常勤職員1人以上の雇用、日本語能力、経営経験または経営関連学位、専門家確認を受けた事業計画書などが求められるようになった。政府は、ペーパーカンパニー設立などによる制度悪用の防止を狙う。一方で、東京や地方のエスニック飲食店では、更新や新規取得の見通しが立たず、閉店や帰国を迫られる事例も報じられている。
新人記者ナルカ


経営・管理ビザ厳格化で新規申請96%減
- 対象制度:在留資格「経営・管理」
- 施行時期:2025年10月16日
- 報道日:2026年5月8日、TBS NEWS DIG
- 新規申請件数:改正前の月平均約1700件から、改正後は約70件へ減少
- 減少率:約96%減
- 主な改正点:資本金3000万円以上、常勤職員1人以上、日本語能力、経営経験、事業計画書の専門家確認
- 政府側の狙い:ペーパーカンパニーや不正な移住手段としての制度悪用を防止
- 影響:一部の外国人経営飲食店で閉店、帰国、事業縮小の動き
経緯・時系列
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 改正前 | 「経営・管理」は、資本金500万円以上または常勤職員2人以上などを基準に運用 |
| 2025年10月16日 | 在留資格「経営・管理」の許可基準が改正・施行 |
| 2025年10月以降 | 新規申請に資本金3000万円以上、常勤職員1人以上などの新基準が適用 |
| 2026年5月8日 | TBS NEWS DIGが、新規申請件数が月平均約1700件から約70件へ減少したと報道 |
| 2026年5月 | テレ朝newsなどが、エスニック飲食店の閉店や外国人経営者への影響を報道 |
改正後の主な許可基準
出入国在留管理庁の公式資料によると、2025年10月16日から在留資格「経営・管理」の許可基準が改正された。大きな変更点は、事業規模、人材雇用、経営能力、日本語能力、事業計画の実現性をより厳しく見る点にある。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 資本金・出資総額 | 500万円以上など | 3000万円以上 |
| 常勤職員 | 資本金要件の代替として常勤職員2人以上など | 常勤職員1人以上の雇用が必要 |
| 日本語能力 | 明確な要件なし | 申請者または常勤職員に一定の日本語能力が必要 |
| 経営経験 | 明確な要件なし | 経営・管理経験3年以上、または経営管理に関する修士相当以上の学位など |
| 事業計画 | 提出は求められるが、専門家確認は必須ではない | 中小企業診断士、公認会計士、税理士などによる確認が必要 |
| 事業所 | 独立性・実態が必要 | 事業所の実態・独立性をより厳格に確認 |
入管庁は、事業の安定性・継続性を確認するため、資本金の額だけでなく、資金の出所、雇用実態、事業計画、事業所の実態なども審査する。形式的な法人設立だけで在留資格を取得することは、従来より大幅に難しくなった。
なぜ厳格化されたのか
「経営・管理」は、本来、日本で事業を経営または管理する外国人を受け入れるための在留資格である。しかし、従来の基準では、少額の資本金で会社を設立し、実態の乏しい事業やペーパーカンパニーを通じて在留資格を取得するケースが問題視されてきた。
政府の狙いは、単に外国人経営者を減らすことではなく、事業実態のある起業家や投資家に絞ることにある。日本国内で雇用を生み、税を納め、継続的に事業を運営できる外国人経営者を受け入れる一方、制度を移住目的で悪用する動きを抑える方向に舵を切ったといえる。






飲食店への影響、閉店や帰国を迫られる事例も
一方で、改正の影響は、真面目に営業してきた小規模飲食店にも及んでいる。テレ朝newsは、経営・管理ビザの厳格化により、エスニック飲食店などで閉店が相次いでいると報じた。資本金3000万円の確保や常勤職員の雇用は、個人経営や小規模飲食店にとって非常に重い条件である。
エスニック料理店や地域密着型の外国人経営店舗は、地域の多様な食文化を支える一方、資金力や人材確保の面では大企業ほど余裕がない。新基準が一律に適用されれば、事業実態がある店舗であっても、更新や事業継続に不安を抱える可能性がある。
ただし、既存の経営・管理ビザ保有者には経過措置が設けられている。平口洋法務大臣は、施行日から3年を経過した後は、経営状況や法人税の納付状況などを総合的に考慮して許否を判断し、個別の状況を踏まえて対応する予定だと説明していると報じられている。
不正排除と地域経済への影響
今回の新規申請96%減は、制度悪用の抑止という点では強い効果を示したともいえる。申請件数が急減したことは、従来の申請の中に、新基準を満たせない小規模・形式的な案件が相当数含まれていた可能性を示している。
しかし、減少幅が大きすぎる場合、制度本来の目的である「日本で事業を行う外国人起業家の受け入れ」まで萎縮させる恐れがある。特に、地方では外国人経営者の飲食店や輸入食品店が、地域住民や外国人労働者の生活インフラになっている場合もある。
国益の観点からは、不正なペーパーカンパニーを排除することは当然である。一方で、税を納め、雇用を生み、地域に定着している事業者まで一律に排除すれば、地域経済や生活サービスの縮小につながる可能性がある。
論点は「外国人経営者の排除」ではなく「実態ある事業の選別」
今回の改正を評価する際に重要なのは、外国人経営者そのものを排除する制度と見るのではなく、実態ある事業者と制度悪用者を分ける制度設計と見ることだ。
日本で事業を行う以上、適正な資本、雇用、納税、社会保険、許認可、地域ルールを守ることは当然である。逆に、これらを満たしている事業者については、過度に硬直的な運用で地域から追い出すのではなく、経過措置や個別審査を通じて継続可能性を判断する必要がある。
制度運用で確認すべきポイント
| 論点 | 確認すべき内容 |
|---|---|
| 不正防止 | ペーパーカンパニー、見せ金、名義貸し、実態のない事業所を排除できているか |
| 既存事業者 | 納税実績、雇用実績、営業実態のある事業者に過度な打撃が出ていないか |
| 地域経済 | 地方の飲食店、輸入食品店、生活サービスの閉店が地域に影響していないか |
| 人手不足 | 飲食業界や観光業界の人材不足と制度厳格化の影響をどう調整するか |
| 税と社会保険 | 法人税、消費税、所得税、社会保険料の納付状況を適切に評価しているか |
| 透明性 | 許可・不許可の判断基準、経過措置、更新時の扱いが分かりやすいか |
クロ助とナルカの視点


















賛否・中立の見方
| 立場 | 主な見方 |
|---|---|
| 厳格化に肯定的な見方 | ペーパーカンパニーや見せ金による在留資格取得を防ぐには、資本金、雇用、経営経験、事業計画を厳しく確認する必要がある。新規申請96%減は、不正排除の効果を示している。 |
| 厳格化に慎重な見方 | 資本金3000万円や常勤職員要件は、小規模飲食店や地域密着型の外国人経営者には過大な負担となる。真面目に納税・営業してきた事業者まで排除される恐れがある。 |
| 中立的な見方 | 制度悪用を防ぐ厳格化は必要だが、既存事業者については納税、雇用、営業実態を総合的に評価すべき。新規申請は厳格に、更新は実態重視で柔軟に判断する運用が望ましい。 |
編集部でまとめ
- 事実確認:2025年10月16日に在留資格「経営・管理」の許可基準が厳格化され、TBS NEWS DIGは新規申請が月平均約1700件から約70件へ、約96%減少したと報じた。
- 改正内容:資本金3000万円以上、常勤職員1人以上、日本語能力、経営経験または学位、専門家確認付き事業計画書などが求められるようになった。
- 政府の狙い:ペーパーカンパニーや制度悪用を防ぎ、実態ある外国人起業家・経営者を選別することにある。
- 副作用:エスニック飲食店など小規模な外国人経営店舗では、閉店や帰国を迫られる事例が報じられている。
- 国益的示唆:外国人経営者の受け入れは、雇用、納税、地域経済への貢献がある場合に限定し、制度悪用には厳格に対応すべきである。一方で、納税実績と営業実態のある既存事業者については、硬直的な排除ではなく、実態審査に基づく公平な運用が必要である。











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