東京商工リサーチが2026年4月23日に公表したアンケート調査によると、在留資格「経営・管理」の厳格化について、外国人経営者の企業299社のうち45.2%が「何らかの影響を受ける」と回答した。廃業を検討するとした企業も5.3%あり、2025年10月の制度見直しが中小・零細規模の事業者に重くのしかかっている実態が浮かんだ。
新人記者ナルカ


記事概要
- 公表日:2026年4月23日
- 調査主体:東京商工リサーチ
- テーマ:2026年「経営・管理の在留資格の厳格化に関するアンケート」調査
- 対象:外国人経営者の企業
- 有効回答:299社
- 主な結果:45.2%が何らかの影響、5.3%が廃業を検討
- 制度変更:2025年10月16日施行の在留資格「経営・管理」許可基準改正
何が変わったのか 在留資格「経営・管理」の厳格化ポイント
出入国在留管理庁は2025年10月16日、在留資格「経営・管理」の許可基準を改正した。主な見直し点は、従来500万円以上だった資本金・出資総額の基準を3000万円以上へ引き上げたことに加え、常勤職員の雇用や、日本語能力の要件を明確化した点にある。
- 資本金・出資総額の基準:500万円以上 → 3000万円以上
- 常勤職員:一定要件を満たす職員の雇用が必要
- 日本語能力:経営者または常勤職員のいずれかに相当程度の日本語能力が必要
- 事業所要件:原則として自宅兼事務所は認められない
- 審査実務:税金などの履行状況や事業実態の確認が強化
改正の背景
東京商工リサーチは、制度厳格化の背景として、ペーパーカンパニーなど実態不明の企業を利用した在留の疑いがあると指摘している。制度の狙いは、実態のない経営を排除し、事業実態のある経営活動に絞ることにある。
時系列
| 2025年8月ごろ | 法務省・出入国在留管理庁で制度見直しの議論が本格化 |
| 2025年10月16日 | 在留資格「経営・管理」の新基準が施行 |
| 2026年3月31日~4月7日 | 東京商工リサーチがアンケート調査を実施 |
| 2026年4月23日 | 調査結果を公表 |
アンケート結果 企業の45.2%が影響、5.3%が廃業検討
調査では、「外国人による経営だが大きな変化はなかった」が54.8%で最多だった一方、対応を迫られる企業も少なくなかった。「増員など要件を満たすよう対応する」が27.4%、「企業や事業の売却、他社との合併を検討する」が11.7%、「経営権を日本人や永住資格のある人物へ移譲する」が6.3%、「廃業を検討する」が5.3%だった。
| 回答内容 | 割合 | 社数 |
|---|---|---|
| 大きな変化はなかった | 54.8% | 164社 |
| 増員など要件を満たすよう対応 | 27.4% | 82社 |
| 企業・事業の売却や合併を検討 | 11.7% | 35社 |
| 経営権を日本人・永住資格者へ移譲を検討 | 6.3% | 19社 |
| 廃業を検討 | 5.3% | 16社 |
中小企業への影響が大きい
規模別では、「影響はない」との回答が大企業70.0%に対し、中小企業は53.7%にとどまった。資本金の引き上げや雇用確保は、資本力の限られる小規模事業者ほど対応が難しく、制度変更のしわ寄せが強く表れている。
産業別では小売、情報通信、サービス業で負担感
「影響がない」が最も低かったのは小売業37.5%で、不動産業46.1%、建設業46.9%、サービス業他49.1%が続いた。一方、「廃業検討」が高かったのは情報通信業16.6%、小売業12.5%、サービス業他10.1%だった。
どの要件が重いのか 資本金3000万円が最大の壁
影響を受けた企業に理由を聞いた設問では、最も多かったのが「資本金・出資総額」の引き上げで44.4%だった。続いて、「常勤職員の雇用義務」35.5%、「日本語能力」28.8%、「事業計画書」24.4%、「経営者の経歴・学歴」20.0%となった。
- 資本金・出資総額:44.4%
- 常勤職員の雇用義務:35.5%
- 日本語能力要件:28.8%
- 事業計画書の確認:24.4%
- 経営者の経歴・学歴:20.0%
クロ助とナルカの視点












賛成・反対・中立の三点整理
賛成の見方
- 実態不明の企業や在留制度の悪用を防ぎやすくなる
- 事業実態や納税状況の確認強化で制度の信頼性が上がる
- 一定の資本力や人材体制を求めることで形だけの起業を減らせる
反対の見方
- 3000万円要件は小規模起業には高すぎるとの指摘がある
- 地方や生活密着型の店舗経営では人材確保・日本語要件が重い
- 外国人の起業意欲をそぎ、地域経済の担い手を減らす懸念がある
中立的な見方
- 不正防止は必要だが、実態ある事業者を見極める運用が重要
- 更新時の経過措置や個別審査の透明性が今後の焦点になる
- 制度の厳格化だけでなく、適正な起業支援との両立が求められる
日本への影響
今回の制度見直しは、在留制度の信頼性を保つうえで一定の合理性がある。一方で、飲食、小売、サービス業など地域経済に根差した業種では、外国人経営者が担う店舗や雇用も少なくない。制度が過度に硬直化すれば、地方の空き店舗対策や多文化共生の現場に逆風となる可能性がある。国益の観点では、不正排除と経済活力の維持をどう両立させるかが問われている。
編集部でまとめ
- 東京商工リサーチ調査では、外国人経営者の企業299社のうち45.2%が在留資格「経営・管理」の厳格化で影響を受けると回答した。
- 廃業検討は5.3%で、特に中小企業や小売、情報通信、サービス業で負担感が強い。
- 制度の狙いは実態不明企業の排除だが、実態ある事業まで縮小させない運用の精緻化が今後の焦点になりそうだ。











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