警視庁は、いわゆる「地下銀行」を運営したなどとして、中国籍の男3人を逮捕した。FNNプライムオンラインによると、うち2人は2025年、中国人留学生から送金された人民元を日本円約120万円に両替して手渡し、無許可で為替取引を行った疑いが持たれている。
また、別の中国籍の男は、警察官になりすまして80代女性から現金500万円をだまし取った疑いで逮捕された。警視庁は、特殊詐欺事件の被害金がこの「地下銀行」に持ち込まれ、マネーロンダリングされた疑いがあるとみて調べている。
本件は、単なる個人間の両替問題ではなく、無許可の為替取引、特殊詐欺、犯罪収益の移転、在日外国人コミュニティ内の送金需要が交差する事案である。正規の送金ルートを利用しない資金移動は、利用者保護だけでなく、日本国内の治安と金融制度の信頼性にも関わる。
新人記者ナルカ


事件の概要
FNNプライムオンラインは2026年6月17日、いわゆる「地下銀行」を運営したなどの疑いで、中国籍の男3人が逮捕されたと報じた。報道によると、曾聡容疑者(26)ら2人は2025年、中国人留学生から送金された人民元を日本円約120万円に両替して手渡し、無許可で為替取引を行った疑いが持たれている。
また、何清星容疑者(27)は、警察官になりすまして500万円をだまし取った疑いで逮捕された。警視庁は、詐欺事件の被害金がこの地下銀行に持ち込まれ、マネーロンダリングされた疑いがあるとみて調べている。
FNNプライムオンラインは「曾聡容疑者(26)ら2人は2025年、中国人留学生から送金された人民元を日本円約120万円に両替して手渡し、無許可で為替取引を行った疑い」と報じている。
一部のテレビ朝日系配信では、曾容疑者について「専門学校生」と報じられ、新宿区のマンションで日本円約120万円を手渡した疑いがあるとされている。また、警視庁は3人の認否を明らかにしていないと報じられている。
逮捕容疑と関係者の整理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表・報道日 | 2026年6月17日 |
| 捜査機関 | 警視庁 |
| 逮捕された人数 | 中国籍の男3人 |
| 主な容疑 | 無許可為替取引、詐欺など |
| 送金・両替の規模 | 人民元を日本円約120万円に両替して手渡した疑い |
| 詐欺事件の被害額 | 80代女性から500万円をだまし取った疑い |
| 警視庁の見方 | 詐欺被害金が地下銀行に持ち込まれ、マネーロンダリングされた疑い |
| 認否 | 一部報道では、警視庁が認否を明らかにしていないとされる |
本件では、地下銀行の運営疑いと、警察官を装った特殊詐欺疑いが結び付けて報じられている。重要なのは、無許可為替取引が単独で問題になるだけでなく、特殊詐欺の被害金を移す「資金の出口」として機能した可能性がある点である。
ただし、現時点では容疑段階であり、3人が起訴されたか、有罪が確定したかは確認されていない。
時系列で見る今回の事件
| 時期 | 出来事 | 確認状況 |
|---|---|---|
| 2025年 | 中国人留学生から送金された人民元を日本円約120万円に両替し、手渡した疑い | FNNなどが報道 |
| 2025年6月~12月ごろ | 一部報道では、無許可為替取引の時期を2025年6~12月とする | 毎日新聞が報道 |
| 時期未詳 | 80代女性から警察官を装って500万円をだまし取った疑い | FNNなどが報道 |
| 2026年6月17日 | 中国籍の男3人の逮捕が報道される | FNN/テレビ朝日系配信が報道 |
| 今後 | 地下銀行と特殊詐欺資金の関連、組織性、送金先などを捜査 | 続報待ち |
「地下銀行」とは何か
地下銀行とは、一般に、銀行や登録資金移動業者としての許可・登録を受けずに、海外送金や両替に近い取引を仲介する仕組みを指す報道上の呼称である。正規の金融機関を通さないため、本人確認、取引記録、疑わしい取引の届出といったマネーロンダリング対策の網から外れやすい。
海外に家族や取引先を持つ人にとって、送金需要そのものは正当なものだ。しかし、正規の金融機関や登録資金移動業者を使わず、現金手渡しや第三者名義の口座を組み合わせるような取引は、詐欺資金、違法就労収益、薬物・密輸関連資金の移転に利用されるおそれがある。
今回報じられた事案でも、警視庁は特殊詐欺の被害金が地下銀行に持ち込まれ、マネーロンダリングされた疑いがあるとみている。つまり、地下銀行の問題は「安い送金手段」ではなく、犯罪収益の隠匿・移転に使われるリスクにある。
資金移動業と無許可為替取引の制度
日本では、銀行以外の事業者が為替取引を業として行う場合、資金決済に関する法律に基づく資金移動業者としての登録が必要となる。日本資金決済業協会は、資金移動業について「銀行以外の者が為替取引を業として営むこと」と説明し、事前に内閣総理大臣の登録を受ける必要があるとしている。
同協会は、無登録で資金移動業を行った場合、銀行法第4条第1項に違反する無免許業者として銀行法上の罰則の適用を受けると説明している。金融庁も、登録資金移動業者の一覧を公表しており、正規の送金事業者は登録状況を確認できる。
| 区分 | 正規の資金移動業者 | 地下銀行型の問題 |
|---|---|---|
| 許可・登録 | 資金決済法に基づき登録 | 無登録・無許可で営業する疑い |
| 本人確認 | 犯罪収益移転防止法に基づく確認が必要 | 本人確認や記録保存が不透明になりやすい |
| 取引記録 | 記録保存・監督対象 | 資金の流れが追跡しにくい |
| 利用者保護 | 履行保証金など一定の制度的保護 | トラブル時の救済が困難 |
| 犯罪対策 | 疑わしい取引の届出対象 | 詐欺資金や犯罪収益の移転に使われるおそれ |
今回のように、人民元と日本円を実質的に交換し、現金を手渡す行為が継続的・業務的に行われていた場合、単なる知人間の立て替えとは異なり、無許可為替取引として捜査対象となる可能性がある。
特殊詐欺とマネーロンダリングの接点
特殊詐欺事件では、被害者からだまし取った現金を、受け子、回収役、指示役、資金移動役などが分担して移す構図がみられる。詐欺の実行役を検挙しても、資金が別の口座や現金ルートへ移されれば、被害回復や上位者の摘発は難しくなる。
地下銀行が関与した疑いがある場合、捜査上の焦点は、誰が被害金を持ち込んだのか、どの口座や現金ルートを通ったのか、海外側の受取先が誰なのか、取引記録が残っているのかという点になる。もっとも、これらの具体的な手口や追跡方法を詳細に示すことは、模倣や逃避に使われるおそれがあるため、報道・解説では必要最小限にとどめるべきである。
日本国内では、金融機関や資金移動業者に対し、取引時確認、取引記録の保存、疑わしい取引の届出などが求められている。地下銀行は、こうした制度の外側で資金を移すため、犯罪収益移転防止の観点から重大なリスクを持つ。
在日外国人コミュニティと送金需要
外国人留学生や外国人労働者の増加に伴い、母国への送金や日本国内での両替需要は拡大している。生活費、学費、家族への仕送り、事業資金など、国境を越える資金移動は日常的なニーズである。
しかし、言語の壁、手数料への不満、銀行口座開設の難しさ、在留期間の短さなどから、正規の金融サービスではなく、知人紹介型の送金ルートに流れる人も出やすい。そこに犯罪組織が入り込めば、一般の留学生や労働者が知らないうちに違法な資金移動網へ近づく危険がある。
今回の報道では、中国人留学生から送金された人民元が日本円約120万円に両替されたとされている。ただし、当該留学生が違法行為に関与したかどうかは報道からは確認できない。記事では、利用者側を直ちに違法と扱うのではなく、正規ルートの周知不足や地下銀行利用の危険性という観点で整理する必要がある。
国益的示唆:資金の入口と出口を同時に押さえる必要
本件から見える国益上の課題は、犯罪収益の出口対策である。特殊詐欺は被害者から金をだまし取る段階だけでなく、その金を現金化し、分散し、海外へ移す段階まで含めて一体の犯罪インフラを形成する。
日本国内で被害金が生まれ、地下銀行を通じて海外に移される構図があれば、被害回復は困難になり、犯罪組織に再投資される資金も残る。これは高齢者被害の問題にとどまらず、国内治安、金融制度、在留管理、国際捜査協力にまたがる課題である。
対策としては、無登録の送金業者の摘発、金融機関の疑わしい取引対応、留学生・外国人労働者への正規送金ルート周知、特殊詐欺グループの資金移動役摘発が必要となる。単に「外国人犯罪」として扱うのではなく、制度の隙間を使った資金移動インフラとして把握することが重要である。
賛成・反対・中立の視点
取り締まり強化を求める視点
地下銀行が特殊詐欺の被害金を移す役割を果たしていた疑いがあるなら、厳正な摘発と資金追跡が必要だという立場である。無許可為替取引は、利用者保護を欠くだけでなく、犯罪収益の海外移転を助けるおそれがある。金融機関、警察、入管、海外当局が連携し、資金移動ルートを断つべきだと考える。
外国人コミュニティへの過度な疑念を懸念する視点
一方で、海外送金の需要そのものは正当であり、留学生や外国人労働者の多くは正規の手段で生活している。地下銀行事件を理由に、特定国籍の人々全体を疑うような扱いは避けるべきだという視点である。報道では、逮捕容疑と国籍集団全体を混同しない姿勢が求められる。
制度改善を重視する中立的視点
現実的には、取り締まりと正規ルートの利便性向上を同時に進める必要がある。多言語での正規送金サービス案内、留学生オリエンテーションでの注意喚起、登録業者の確認方法の周知、金融機関側の不審取引検知を組み合わせることで、地下銀行に流れる動機を減らすことができる。
FAQ
地下銀行を使うと必ず違法になりますか
個別の違法性は取引内容や関与の程度によるが、無許可で為替取引を業として行う側は銀行法や資金決済法上の問題になり得る。利用者側も、犯罪収益と知りながら関与した場合などは別の法的責任を問われる可能性がある。
外国人が母国へ送金すること自体は問題ですか
問題ではない。正規の銀行や登録資金移動業者を利用し、必要な本人確認を受けて送金することは通常の生活上の取引である。問題は、無登録・無許可のルートを使い、資金の出所や受取先が不透明になることである。
なぜ特殊詐欺と地下銀行が結び付くのですか
特殊詐欺では、被害金を現金化し、分散し、追跡を困難にする必要がある。地下銀行は正規の金融機関より記録や本人確認が不透明になりやすく、犯罪収益の移転に使われるリスクがあるためである。
留学生はどう注意すべきですか
知人紹介の非公式な両替や送金に安易に応じず、銀行や登録資金移動業者など正規のサービスを使う必要がある。手数料が安い、手続きが簡単、現金ですぐ受け取れるといった誘いには、犯罪資金に巻き込まれるリスクがある。
クロ助とナルカの視点


















編集部まとめ
- 事件の概要:警視庁は、いわゆる地下銀行を運営したなどの疑いで、中国籍の男3人を逮捕した。
- 主な容疑:曾聡容疑者ら2人は、中国人留学生から送金された人民元を日本円約120万円に両替し、無許可で為替取引を行った疑いが持たれている。
- 関連する詐欺容疑:何清星容疑者は、警察官を装って80代女性から500万円をだまし取った疑いで逮捕された。
- 捜査の焦点:警視庁は、特殊詐欺の被害金が地下銀行に持ち込まれ、マネーロンダリングされた疑いがあるとみて調べている。
- 国益的示唆:外国人の送金需要を正規ルートへ誘導しつつ、無登録送金、特殊詐欺、犯罪収益移転を一体で抑える制度運用が必要である。
出典
- FNNプライムオンライン「『地下銀行』運営か 中国籍の男3人逮捕 無許可為替取引で詐欺資金マネロン疑い」2026年6月17日
- FNNプライムオンライン/YouTube「『地下銀行』運営か 中国籍の男3人逮捕」2026年6月17日
- HOME広島ホームテレビ/ANN「無許可で“地下銀行”営業か 中国籍の男3人を逮捕」2026年6月17日
- 日本資金決済業協会「資金移動業の概要」
- 金融庁「資金移動業者登録一覧」令和8年5月31日現在
- 警察庁JAFIC「疑わしい取引の届出と届出先行政庁」
- e-Gov法令検索「銀行法」
- e-Gov法令検索「資金決済に関する法律」
- e-Gov法令検索「犯罪による収益の移転防止に関する法律」










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