在留資格「特定技能1号」で働く外国人への支援体制が、2027年4月1日から大きく厳格化される。
出入国在留管理庁は2026年7月28日、1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の主な改正点を公表した。改正後は、支援を行う事業所ごとに常勤の「支援責任者」と「支援担当者」を選任し、支援業務に従事できる者を原則としてこれらの担当者に限定する。
さらに、登録支援機関が受託できる特定技能所属機関は支援責任者等1人当たり10機関未満、支援できる1号特定技能外国人は1人当たり50人未満とする人数基準が導入される。
支援責任者には、入管法や労働関係法令などを学ぶ養成講習の受講も義務付けられる。
これまで特定技能制度では、外国人本人への生活オリエンテーション、住居確保、日本語学習機会、相談・苦情対応など10項目の義務的支援が求められてきた。一方、受け入れ人数が急増する中、「担当者1人で何十社・何百人を抱えて実質的な支援ができるのか」という問題が指摘されていた。
2027年4月の改正は、支援を単なる書類上の手続きではなく、実際に外国人へ届く体制へ変えるための規制強化といえる。
新人記者ナルカ


2027年4月から何が変わるのか
| 項目 | 2027年4月1日以降 |
|---|---|
| 支援責任者・担当者 | 支援を行う事業所ごとに常勤の役員・職員から各1人以上選任 |
| 支援業務を行える者 | 原則として支援責任者等に限定 |
| 養成講習 | 支援責任者に受講義務 |
| 登録支援機関の受託先 | 支援責任者等1人当たり10機関未満 |
| 支援対象外国人数 | 支援責任者等1人当たり50人未満 |
「1人で何百人支援」を防ぐ制度
今回の改正で特に大きいのが人数基準だ。
入管庁資料では、登録支援機関が25社から支援業務を委託される場合、少なくとも3人の支援責任者等が必要になる例を示している。
また、支援責任者等1人が担当できる1号特定技能外国人は50人未満。
これにより、少人数の担当者が大量の企業・外国人を抱え、相談対応が形骸化することを防ぐ狙いがある。
なぜ今、支援体制を厳格化するのか
特定技能の在留外国人は制度開始以降急増している。
JP News Focusでも2025年、特定技能外国人が30万人に迫り、入管・受け入れ側の管理体制が追いつくかを検証した。
その後も特定技能は拡大し、2028年度末までの特定技能と育成就労を合わせた受入れ見込数は123万1900人とされている。
人数を増やす以上、支援体制を「外国人1人1人に届く規模」に再設計しなければ制度は維持できない。
特定技能1号の支援内容
1号特定技能外国人への義務的支援には、主に次のような項目がある。
- 事前ガイダンス
- 出入国時の送迎
- 住居確保・生活契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続への同行
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援
- 定期面談・行政機関への通報
書面や動画だけで済む支援ではなく、生活上の問題を把握し、必要な相談先につなぐ役割がある。
北海道の農場問題ともつながる論点
2026年8月には、北海道京極町の農場で特定技能のミャンマー人女性4人が暴力・ハラスメント被害を訴え、労働組合が保護、札幌入管が調査に着手したと報じられた。
この事件の事実関係は調査中だが、外国人本人が職場で問題を抱えた際、受け入れ機関や登録支援機関の相談機能が実際に機能したのかという問題を突き付けている。
2027年改正は、こうした「名目上は支援制度があるが、実際に相談できない」という状況を減らせるかが問われる。
登録支援機関の「丸投げ」を防げるか
特定技能1号では、受け入れ企業が支援計画を自ら実施することも、登録支援機関へ全部または一部を委託することもできる。
制度上、委託自体が問題なのではない。
問題は、低価格競争などにより、担当者が大量の外国人を抱え、面談・相談・日本語支援が形式化することだ。
人数上限は、支援サービスの質を確保するための最低ラインとして機能する可能性がある。
企業側のコストは上がる可能性
一方、厳格化によって登録支援機関の人件費は増える可能性がある。
担当者を増やし、常勤配置し、講習を受けさせる必要があるためだ。
そのコストが委託料へ反映されれば、特定技能外国人を雇用する企業の負担も増える。
しかし、外国人労働者を大量に受け入れる一方で、支援コストを極限まで下げる運用では、職場トラブル、失踪、生活問題の早期把握が難しくなる。
外国人本人にも「支援先が誰か」を明確に
制度改正だけでなく、外国人本人が自分の支援責任者・担当者を把握できる仕組みも重要になる。
問題が起きたとき、「誰に連絡すればよいか分からない」状態では支援制度は機能しない。
母語での連絡先、相談時間、緊急時の対応、外部相談機関を明確にする必要がある。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 2027年4月1日から1号特定技能外国人への支援体制要件を厳格化。
- 支援を行う事業所ごとに常勤の支援責任者・支援担当者を選任。
- 支援業務に従事できる者を原則として支援責任者等に限定。
- 支援責任者に入管法・労働法等の養成講習受講を義務付け。
- 登録支援機関の委託先は担当者1人当たり10機関未満。
- 支援対象の1号特定技能外国人は担当者1人当たり50人未満。
- 厳格化により支援品質向上が期待される一方、企業・支援機関のコスト増も想定される。
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