出入国在留管理庁と外国人技能実習機構は2026年8月28日、2027年4月に始まる育成就労制度について、物流倉庫分野の運用要領を掲載した。対象業務には入出庫貨物の受渡し・検品、貨物移動、保管庫への格納、ピッキング、流通加工などが含まれる。
物流倉庫分野では育成就労と特定技能1号で外国人を受け入れられるが、現時点で特定技能2号は対象外。育成就労の開始前には日本語能力A1相当、JLPT・N5などへの合格、または同等の日本語講習受講が必要となる。対象事業者にも条件があり、単に倉庫内作業を行う会社なら全て受け入れられるわけではない。
新人記者ナルカ


物流倉庫分野の制度概要
- 運用要領掲載日:2026年8月28日
- 育成就労制度の開始:2027年4月1日
- 対象制度:育成就労、特定技能1号
- 特定技能2号:現時点では対象外
- 育成就労開始前の日本語:A1相当、JLPT・N5など、または同等の講習
- 特定技能1号:技能評価試験とA2相当、JLPT・N4などが必要
- 技能試験の詳細:2026年8月時点で一部調整中
物流倉庫分野は2026年1月23日の閣議決定で、特定産業分野と育成就労産業分野に追加された。人手不足対策として外国人材を受け入れる一方、対象業務、事業者、技能、日本語、協議会加入などを限定し、無制限な単純労働受入れにならないよう制度化している。
外国人材が従事できる主な業務
| 区分 | 具体例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 入出庫 | 貨物の受渡し、数量や外観の検品 | 物流倉庫で行われる作業に限る |
| 移動・格納 | 貨物の移動、保管庫や棚への格納 | 資格が必要な機械操作は別途要件を確認 |
| ピッキング | 指示書に従った商品の取り出し | 誤出荷防止の教育が必要 |
| 流通加工 | 仕分け、包装など物流過程の加工 | 対象外の製造業務との線引きが必要 |
| 関連業務 | 報告、整理整頓、清掃、安全衛生会議への参加 | 関連業務だけに専従させない |
国土交通省は、台風接近時の貨物移動や雨水侵入防止措置なども、通常の倉庫作業に付随する関連業務として例示している。ただし、在留資格で認められた中心業務を行わせず、清掃や雑務だけに従事させる運用は認められないと考えるべきである。
受入れ可能な事業者は4類型
| 類型 | 受入れ事業者の概要 |
|---|---|
| A | 倉庫業の登録を受け、自ら倉庫作業を実施する倉庫業者 |
| B | 登録倉庫業者が営業に使用する倉庫で、委託を受けて倉庫作業を実施する者 |
| C-1 | 一般・特定貨物自動車運送事業の許可を受け、自ら占有する倉庫で作業する者 |
| C-2 | 許可を受けた貨物自動車運送事業者で、事業に関連して有償で倉庫作業を行う者 |
受入れを検討する企業は、自社の法人登記や業務内容だけで判断せず、倉庫業登録、運送事業許可、倉庫の使用関係、委託契約を確認する必要がある。派遣先で作業させるだけの事業モデルが該当するとは限らない。
育成就労と特定技能1号の違い
| 項目 | 育成就労 | 特定技能1号 |
|---|---|---|
| 制度目的 | 就労を通じた人材育成と人材確保 | 一定の技能を持つ即戦力人材の確保 |
| 開始時の日本語 | A1相当・N5等、または相当する講習 | A2相当・N4等 |
| 技能 | 就労後に段階的に習得 | 原則として評価試験合格が必要 |
| 到達目標 | 特定技能1号水準への移行を目指す | 現場で一定の専門性・技能を発揮 |
| 2号への道 | 物流倉庫では現時点で直接の2号区分なし | 物流倉庫の2号は現時点で対象外 |
技能評価試験は一部未確定
物流倉庫分野では、育成就労開始後1年経過時までの習熟を確認する「育成就労技能評価試験(初級)」と、特定技能1号に必要な技能水準を確認する評価試験が予定されている。
一方、2026年8月時点で試験実施要領や特定技能1号評価試験の開始時期は調整中である。育成就労計画を作る企業は、試験日程や受験料、会場が未公表の部分を確定事項としてスケジュールに組み込まないよう注意が必要だ。
分野別協議会への加入も必要
特定技能所属機関と育成就労実施者には、物流倉庫分野の協議会への加入が求められる。協議会は法令遵守、優良事例、人手不足、地域別の受入れ状況などを共有し、特定地域への過度な集中があれば調整を検討する。
ただし、2026年8月時点では協議会の加入要件、提出書類、受付開始時期が調整中である。受入れ企業は、在留申請や計画認定だけでなく、分野別協議会の手続きも継続して確認しなければならない。
企業が準備すべきチェック項目
- 自社が国の示す受入れ事業者4類型に該当するか
- 外国人に担当させる業務が物流倉庫分野の範囲内か
- 育成計画と3年間の技能到達目標を説明できるか
- N5相当からN4相当へ日本語能力を引き上げる教育体制があるか
- 安全教育、誤出荷防止、労災防止を理解できる言語で提供できるか
- 監理支援機関、登録支援機関との役割分担は明確か
- 協議会加入と技能試験の最新情報を確認しているか
賛成・慎重・中立の視点
受入れを評価する視点
物流現場では人手不足が続き、倉庫の自動化だけで全工程を代替することは難しい。業務範囲と育成目標を明確にした外国人受入れは、物流網の維持に役立つという考え方である。
低賃金固定化を懸念する視点
外国人を安価な労働力として扱えば、賃金改善や省力化が遅れ、失踪や転籍トラブルにつながる。日本人と同等以上の報酬、適切な労働時間、安全教育を徹底すべきだという意見がある。
制度運用を確認する中立的視点
試験や協議会の詳細が未確定なため、受入れ人数だけを先行させず、施行前申請、監理体制、転籍、費用負担を含む最終ルールを確認する必要がある。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 物流倉庫分野の育成就労運用要領が2026年8月28日に掲載された。
- 検品、貨物移動、格納、ピッキング、流通加工などが対象となる。
- 開始前の日本語はN5相当または講習、特定技能1号はN4相当と技能試験が必要。
- 受入れ可能な事業者は登録倉庫業者や一定の運送事業者などに限定される。
- 試験と協議会の詳細には未確定部分があり、最新資料の継続確認が必要である。
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