中国への送金依頼を受け、国の免許を受けずに日本円を人民元へ換える為替取引を繰り返したとして、京都府警は会社役員の高橋孟容疑者(56)、姉で中国籍の会社役員・孟海燕容疑者(57)ら男女3人を銀行法違反の疑いで逮捕した。警察は、中国人向けのいわゆる「地下銀行」を営んでいた可能性があるとみて捜査している。
逮捕容疑は、2023年から2024年にかけて、複数の依頼者から日本円約1億5000万円を受け取り、中国側で用意した資金から計737万7000人民元を依頼者指定の口座へ12回にわたり送金したというもの。警察は、容疑者らの口座からこのほかにも約6億円相当の人民元が送金されていたとみて、余罪を調べている。つまり、約1億5000万円は今回報じられた逮捕容疑の取引規模、約6億円は捜査中の総取引規模であり、同じ数字ではない。
新人記者ナルカ


事件の概要
- 逮捕発表:2026年9月9日
- 家宅捜索:2026年9月10日、京都市内の関連会社
- 逮捕者:会社役員の男(56)、姉で中国籍の女(57)ら男女3人
- 容疑:銀行法違反(無免許営業)の疑い
- 容疑対象期間:2023年から2024年
- 容疑対象の取引:12回、日本円約1億5000万円を受け取り、計737万7000人民元を中国側口座から送金
- 警察が調べる総取引規模:約6億円相当
- 主な手口:日本で円を受け取り、中国で保有する人民元を依頼者の口座へ振り込む
報道によると、京都府警は9月10日、高橋容疑者が経営し、不動産業などを手がける関連会社を家宅捜索した。預かった日本円が日本国内の不動産購入や事業運営資金に充てられていた可能性も調べている。
時系列で見る経緯
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2023~2024年 | 複数の外国人から日本円を受け取り、中国側口座から相当額の人民元を送る取引を12回行った疑い。 |
| 捜査過程 | 高橋容疑者らの関係口座から、ほかにも約6億円相当の人民元送金が確認されたと報じられる。 |
| 2026年9月9日 | 京都府警が銀行法違反の疑いで男女3人を逮捕したと発表。 |
| 2026年9月10日 | 警察が京都市内の関連会社を家宅捜索。資金の流れや不動産取引との関係を捜査。 |
| 今後 | 顧客数、手数料、総取引額、資金の原資、犯罪収益や脱税との関連の有無などを確認。 |
地下銀行の仕組みとは
今回報じられた仕組みでは、日本から中国へ銀行送金をする代わりに、日本国内で依頼者から円を受け取る。同時に、中国国内では運営側があらかじめ用意していた人民元を、依頼者が指定する口座へ振り込む。国境をまたいで同じ資金が直接移動しなくても、日本側と中国側の資金を相殺することで、実質的な海外送金が成立する。
| 正規の送金 | 無免許の地下銀行型取引 |
|---|---|
| 銀行や登録を受けた資金移動業者を利用 | 無免許・無登録の個人や事業者が反復して依頼を受ける |
| 本人確認や取引記録を作成 | 本人確認や記録が不十分な場合がある |
| 疑わしい取引の監視対象 | 資金の原資・送金目的が見えにくくなる |
| 手数料、為替レート、補償条件が示される | 持ち逃げや口座凍結が起きても救済が困難 |
なぜ無免許の為替取引が問題なのか
本人確認と資金追跡を回避しやすい
正規の金融機関や資金移動業者には、本人確認、取引記録、疑わしい取引の届出などが求められる。地下銀行は、こうした管理を通さずに国境を越えた価値移転を可能にするため、犯罪収益の移転、詐欺被害金の換金、脱税、違法な資本移動などに悪用される危険がある。
ただし、今回の約6億円すべてが犯罪収益だったと確定したわけではない。警察が調べているのは、無免許で為替取引を行った疑いと、その資金がどこから来て何に使われたかである。取引利用者についても、利用した事実だけで直ちに別の犯罪が成立するとは限らず、認識や目的を個別に確認する必要がある。
日本国内の不動産資金に回った可能性
報道では、容疑者らが日本で受け取った円を不動産の購入や事業資金に充てていた可能性があるとされる。中国側で人民元を支払い、日本側に円を残せば、海外送金の形式を取らずに日本で使える円資金を確保できる。警察は、個々の不動産取引が適法だったか、資金源や実質的な購入者は誰かを調べるとみられる。
「約1億5000万円」と「約6億円」を混同しない
事件の見出しでは「6億円」が強調されやすいが、逮捕容疑として報じられたのは約1億5000万円分、12回の為替取引である。約6億円は、関係口座の送金記録などから警察が余罪として調べている規模とされる。捜査が進めば数字が変わる可能性もあり、起訴対象や裁判で認定される金額とは区別しなければならない。
利用者が確認すべき送金サービス
- 金融庁の免許・登録を受けた銀行または資金移動業者か
- 運営会社の名称、住所、問い合わせ先が確認できるか
- 本人確認を避けるよう求められていないか
- 個人名義口座への振込や現金手渡しを指定されていないか
- 為替レート、手数料、返金条件が書面で示されるか
- 「銀行より安い」「送金上限を回避できる」と違法な便宜を売りにしていないか
金融庁は、免許のある銀行や登録を受けた資金移動業者以外の送金サービスは違法だとして、外国人利用者向けにも注意を呼びかけている。安い手数料や速さだけで選ばず、登録状況を確認することが重要だ。
賛成・反対・中立の視点
厳格な摘発を求める視点
地下銀行は、本人確認や資金追跡を回避するインフラになり得る。取引額が大きく反復性も疑われる以上、運営者だけでなく顧客、資金源、関連する不動産取引まで徹底的に解明すべきだという意見がある。
利用者保護を重視する視点
正規送金の手数料、言語の壁、送金上限などから、違法性を十分理解せず地下銀行を利用する人もいる可能性がある。摘発と同時に、多言語で利用可能な正規サービスを周知し、相談先を整備する必要がある。
中立的な視点
国籍や不動産購入そのものを問題視するのではなく、免許の有無、資金源、取引記録、納税、犯罪収益との関係を証拠に基づいて判断すべきである。透明なルールを適用することが、正規利用者と市場の信頼を守る。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 事件の要点:無免許で日本円を受け取り、中国側から人民元を送る為替取引を行った疑いで、京都府警が男女3人を逮捕した。
- 金額の整理:逮捕容疑は約1億5000万円分・12回の取引。約6億円は警察が余罪として調べている総規模とされる。
- 手口の特徴:日本の円と中国の人民元を別々に動かして相殺し、正規の国際送金を介さず価値を移転する。
- 今後の焦点:資金源、顧客、手数料、関連会社や不動産取引との関係、犯罪収益が含まれるかが捜査される。
出典
- MBS/TBS NEWS DIG「中国人向け“地下銀行”か 会社役員と中国籍男女を逮捕」2026年9月9日
- 関西テレビ「日本円を人民元に換金する『地下銀行』営んだ疑い」2026年9月10日
- MBS/TBS NEWS DIG「逮捕した男の会社を家宅捜索 1.5億円不正送金の疑い」2026年9月10日
- 金融庁「外国人の方の預貯金口座・送金利用について」
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