富山・神奈川・岐阜の3県警合同捜査本部は17日、偽造されたマイナンバーカードを使い、富山県内の金融機関で不正に口座を開設しようとしたとして、ベトナム国籍の会社員の男(28)を偽造有印公文書行使と詐欺未遂の疑いで逮捕した。報道によると、一連の犯行グループによる逮捕者はこれで7人目とされる。
金融機関から「偽造された個人番号カードで口座開設の不審な申請があった」と黒部警察署に相談があったことが捜査のきっかけだった。警察は余罪があるとみて調べている。
マイナンバーカードは行政手続だけでなく、金融機関の本人確認にも使われる重要な公的身分証である。偽造カードを用いた口座開設が成功すれば、その口座は特殊詐欺、資金洗浄、不正送金、違法就労関連の資金移動などに悪用される恐れがある。今回の事件は、単なる身分証偽造ではなく、金融インフラの信頼性に関わる事案として見る必要がある。
新人記者ナルカ


事件概要:偽造マイナンバーカードで口座開設を申請した疑い
- 逮捕日:2026年6月17日
- 容疑:偽造有印公文書行使、詐欺未遂
- 逮捕者:東京都練馬区の会社員、ベトナム国籍の男(28)
- 捜査機関:富山・神奈川・岐阜県警の合同捜査本部
- 申請先:富山県内の金融機関
- 申請方法:偽造された個人番号カードを使い、オンラインで口座開設を申請した疑い
- 発覚経緯:金融機関から黒部警察署へ「偽造された個人番号カードで口座開設の不審な申請があった」と相談
- 組織性:一連の犯行グループによる逮捕者は7人目と報じられている
チューリップテレビの報道によると、男は氏名不詳者らと共謀し、2024年11月7日午前11時30分ごろ、偽造した個人番号カードを使って富山県内の金融機関にオンラインで口座開設を申請したが、未遂に終わった疑いが持たれている。
時系列で見る事件の流れ
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2024年11月7日 午前11時30分ごろ | 偽造された個人番号カードを使い、富山県内の金融機関にオンラインで口座開設を申請した疑い。 |
| 申請後 | 金融機関が不審な申請を把握し、黒部警察署へ相談。 |
| その後 | 富山・神奈川・岐阜県警の合同捜査本部が捜査を進める。 |
| 2026年6月17日 | ベトナム国籍の男を偽造有印公文書行使と詐欺未遂の疑いで逮捕。 |
今回の特徴は、富山県内の金融機関への申請でありながら、捜査が富山・神奈川・岐阜の3県警合同捜査本部によって進められている点にある。単独の申請ではなく、複数地域にまたがるグループ性や関連事件が疑われている可能性がある。
偽造有印公文書行使とは何か
マイナンバーカードは、氏名、住所、生年月日、顔写真などが記載された公的な本人確認書類である。これを偽造し、金融機関などに提示・送信して使用した場合、刑法上の文書偽造関連の罪が問題となる。
刑法155条は、公務所または公務員の印章・署名を使用して公務所などが作るべき文書を偽造した場合などを処罰対象としている。また、刑法158条は、偽造された公文書を行使した場合を処罰する規定である。
偽造有印公文書行使は、偽造された公的文書を本物であるかのように使う行為を処罰するものです。今回のように本人確認書類として金融機関の手続きに使った疑いがある場合、単なる画像や書類の偽造ではなく、本人確認制度を突破しようとした点が重く見られます。
詐欺未遂が加わる理由
今回の逮捕容疑には、偽造有印公文書行使だけでなく詐欺未遂も含まれている。金融機関に対して偽造カードを使い、正規の本人であるかのように装って口座開設を申請した場合、金融機関を欺いて通帳・キャッシュカード・口座利用権限などを得ようとした行為と評価される可能性がある。
申請が金融機関側の確認で止まったため、報道上は「未遂」とされている。ここで重要なのは、被害金が発生していなくても、偽造身分証を用いた口座開設申請自体が重大な捜査対象になり得るという点である。
なぜ不正口座が問題になるのか
不正に開設された銀行口座は、特殊詐欺、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺、不正送金、闇バイト報酬の受け渡し、犯罪収益の移転などに悪用される恐れがある。口座名義人と実際の利用者が異なれば、資金の流れを追う捜査が難しくなる。
近年は、キャッシュカードを売買する従来型の犯罪だけでなく、偽造身分証、なりすまし、オンライン申請、通信アプリを組み合わせた手口も問題になっている。金融機関側の本人確認が突破されれば、口座は犯罪インフラとして使われかねない。
不正口座が悪用されやすい場面
- 特殊詐欺の被害金の振込先
- SNS型投資詐欺やロマンス詐欺の送金先
- 犯罪グループ内の報酬受け渡し
- 不法就労や資格外活動に関係する資金移動
- 海外送金や暗号資産取引への入口
- 身分を隠した事業口座・個人口座の開設
このため、金融機関から警察へ早期に相談が入ったことは、被害拡大を防ぐうえで重要だったといえる。
マイナンバーカードの本人確認はどこが狙われるのか
マイナンバーカードには券面情報とICチップがある。券面の見た目だけを確認する場合、精巧な偽造画像や偽造カードを見抜くには限界がある。デジタル庁は、マイナンバーカードのICチップを読み取り、格納された氏名などの本人情報を確認するための「マイナンバーカード対面確認アプリ」を提供している。
本人確認の実務では、券面の目視確認だけでなく、ICチップ情報の読み取り、顔写真との照合、申請端末・IP・連絡先・住所の整合性確認、不審申請の検知などを組み合わせる必要がある。特にオンライン口座開設では、本人確認が遠隔で行われるため、偽造画像やなりすましへの対策が重要となる。
合同捜査本部が示す組織性
今回の事件では、富山・神奈川・岐阜の3県警合同捜査本部が捜査にあたっている。報道では、一連の犯行グループによる逮捕者は7人目とされており、単独犯ではなく、偽造カードの作成、申請、連絡、口座利用、資金移動などが分担されていた可能性がある。
外国人犯罪をめぐっては、実行役だけが表に出て、背後の指示役や偽造書類の供給元、口座利用者、資金回収役が見えにくいケースがある。今回のような合同捜査では、口座開設申請という入口だけでなく、偽造カードの入手経路、通信履歴、報酬の有無、過去の申請履歴、他県での類似事案まで追うことが焦点となる。
外国人受け入れ拡大と本人確認制度の課題
日本で暮らす在留外国人は増加しており、生活口座の開設、給与振込、家賃支払い、携帯契約、送金など、金融サービスの利用は不可欠である。まじめに働く外国人にとって、銀行口座は生活基盤そのものだ。
一方で、身分証の偽造やなりすましによる不正口座開設が増えれば、金融機関は外国人名義の申請に対して慎重にならざるを得ない。その結果、適法に働く外国人まで手続きが遅れたり、余計な確認を求められたりする恐れがある。
つまり、不正な口座開設を厳しく取り締まることは、外国人排斥ではなく、正規に生活する外国人の信用を守るためにも必要である。制度の信頼を壊す偽造行為を放置すれば、最終的に不利益を受けるのは、ルールを守って働く外国人と日本社会の双方である。
国益的視点:金融インフラを犯罪に使わせない体制が必要
今回の事件から見える最大の論点は、本人確認と金融インフラの防衛である。銀行口座は、給与振込や生活費管理に必要な一方、犯罪組織にとっては資金移動の入口にもなる。偽造マイナンバーカードによる口座開設が成功すれば、被害は金融機関だけでなく、詐欺被害者、企業、自治体、警察、社会全体に広がる。
日本としては、外国人を受け入れる以上、在留管理、本人確認、雇用管理、金融取引の整合性を高める必要がある。身分証偽造、名義貸し、不正口座、違法送金を個別事件として処理するだけでは不十分であり、行政・金融機関・警察・入管当局の情報連携が重要になる。
特に、オンライン口座開設は利便性が高い反面、偽造画像やなりすましに狙われやすい。利便性を維持しながら、ICチップ確認や不審申請検知を標準化することが、金融犯罪対策と外国人の適正な生活支援の両立につながる。
賛成・反対・中立の視点
厳格な本人確認を求める視点
偽造マイナンバーカードによる口座開設申請は、特殊詐欺や資金洗浄に直結する恐れがあるため、金融機関の本人確認を一段と厳格化すべきだという考え方がある。ICチップ読み取り、顔認証、申請履歴の照合、不審申請の警察通報を徹底する必要がある。
過度な手続き負担を懸念する視点
本人確認を厳しくしすぎれば、正規に在留する外国人や留学生、技能実習生、特定技能外国人が生活口座を開きにくくなるとの懸念もある。犯罪対策の名目で、外国人全体への過剰な疑いにつながらないよう配慮が必要である。
制度改善を重視する中立的視点
必要なのは、国籍による一律の扱いではなく、書類・データ・行動パターンに基づくリスク管理である。偽造カードや不審申請を検知する仕組みを強化しつつ、正規の外国人利用者には分かりやすく迅速な手続きを提供することが望ましい。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 事件の概要:富山・神奈川・岐阜の3県警合同捜査本部は、偽造マイナンバーカードを使って富山県内の金融機関で不正に口座を開設しようとした疑いで、ベトナム国籍の男を逮捕した。
- 捜査の焦点:偽造カードの入手経路、申請の役割分担、犯行グループ内での位置づけ、余罪の有無が焦点となる。
- 制度上の課題:オンライン口座開設では、券面確認だけでなく、ICチップ読み取りや申請データの整合性確認が重要になる。
- 国益的示唆:不正口座は特殊詐欺や資金洗浄の基盤となるため、金融機関・警察・行政・入管当局の連携を強化し、犯罪インフラ化を防ぐ必要がある。
- 報道上の注意:容疑段階であり、国籍による一般化は避ける。一方で、偽造身分証と不正口座開設の組織性は、社会全体の安全に関わる問題として継続的に検証する。










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