鹿児島県内で働く外国人が増えている。鹿児島労働局がまとめた2025年10月末時点の外国人雇用状況によると、外国人労働者は1万6,562人で過去最多となった。2016年の4,386人と比べると約3.8倍で、報道で示された「10年で約4倍」という規模感と整合する。
県内では人口減少と人手不足が続き、外国人材は製造業、農林業、建設、医療・福祉などを支える存在になっている。一方、賃金やキャリア、生活環境を理由に都市部へ移る人もいる。受け入れ人数を増やすだけでなく、選ばれる職場と地域をどうつくるかが課題だ。
新人記者ナルカ


外国人労働者は1万6,562人、過去最多
| 項目 | 2025年10月末 | 前年からの変化 |
|---|---|---|
| 外国人労働者 | 16,562人 | 2,322人増、16.3%増 |
| 外国人を雇用する事業所 | 2,679所 | 252所増、10.4%増 |
| 2016年の外国人労働者 | 4,386人 | 2025年は約3.8倍 |
この統計は、外国人を雇用する事業主がハローワークへ届け出た内容を集計したものだ。特別永住者と在留資格「外交」「公用」の人は対象外であり、県内の外国籍住民総数を示す統計ではない。また、外国人労働者が増えたことだけで労働力不足が解消したとは評価できない。
「10年で約4倍」を原表で確認
鹿児島労働局の推移表では、2016年4,386人、2017年5,542人、2018年6,862人、2019年8,387人、2020年8,761人、2021年8,880人、2022年9,900人、2023年1万2,015人、2024年1万4,240人、2025年1万6,562人となっている。
2016年から2025年までの9年間で3.78倍となる。暦年の数え方では2016年から2025年までを10年分のデータとして扱うため、「10年で約4倍」という報道表現は妥当だ。ただし、厳密な期間と倍率を示す場合は「2016年比で約3.8倍」と書くのが分かりやすい。
国籍別ではベトナムとインドネシアが中心
| 国籍 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|
| ベトナム | 5,106人 | 30.8% |
| インドネシア | 4,486人 | 27.1% |
| フィリピン | 2,215人 | 13.4% |
| ミャンマー | 1,734人 | 10.5% |
上位4か国で全体の81.8%を占める。前年から特に増えたのはインドネシアで、1,228人増加した。一方、ベトナムはわずかに減少している。送り出し国の賃金上昇や他国との人材獲得競争によって、受け入れ国・地域の構成は変化する。
技能実習46.7%、特定技能も増加
在留資格別では技能実習が7,740人で全体の46.7%を占め、最も多い。専門的・技術的分野の在留資格は5,781人で34.9%。そのうち特定技能は4,491人で、前年から1,392人増えた。
技能実習から特定技能へ移行する人が増えれば、同じ職場・地域に残るケースもある一方、一定の条件下で転職の選択肢が広がる。企業は「来てもらう」だけでなく、他社や都市部と比較されたときに選ばれる待遇を提示する必要がある。
製造業6,000人、食料品製造が大部分
| 産業 | 外国人労働者数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 製造業 | 6,000人 | 36.2% |
| うち食料品製造業 | 4,629人 | 27.9% |
| 農業・林業 | 2,456人 | 14.8% |
| 建設業 | 1,810人 | 10.9% |
| 医療・福祉 | 1,803人 | 10.9% |
製造業の外国人労働者6,000人のうち、食料品製造は4,629人で77.2%を占める。水産加工、畜産、食品工場など地域の基幹産業と外国人雇用が強く結び付いていることが分かる。医療・福祉は前年比448人増、33.1%増で、介護分野でも存在感が高まっている。
鰹節工場では37人中17人が外国人
KTS鹿児島テレビは、指宿市の鰹節工場で従業員37人のうち17人が外国人だと伝えた。外国人材がいなければ生産体制の維持が難しい企業が現実に存在する。
取材を受けたインドネシア人男性は、母国中心部の月給が日本円換算で2万~3万円ほどで、日本との賃金差は約7倍だと説明した。一方、3年の契約終了後は、より高い給料や都市での生活を求め、神奈川県の食品工場へ移る予定だという。これは個人の事例だが、地方企業の定着課題を具体的に示す。
留学生392人、卒業後の県内就職も焦点
報道によると、取材先の専門学校では外国人留学生が392人と過去最多で、卒業生の半数近くが県内で就職している。留学生は日本語と専門知識を身につけ、地域企業との接点も持つため、県内定着の有力な人材となる。
ただし、残りの卒業生が県外へ出る理由や、希望職種と県内求人のミスマッチも分析する必要がある。奨学金や就職イベントだけでなく、昇給、職務内容、在留資格の変更支援、家族帯同、住居確保など、生活設計を支える政策が重要だ。
人口150万人割れと人材獲得競争
鹿児島県の推計人口は2026年7月末、約101年ぶりに150万人を下回ったと報じられた。人口減少で地域の働き手が減るなか、外国人材への需要はさらに高まる可能性がある。
しかし、外国人労働者も地域を選ぶ。最低賃金との差、手取り額、家賃や交通費、日本語教育、相談窓口、地域との交流、差別のない職場環境が総合的に比較される。地方は海外だけでなく、東京・神奈川・大阪など国内の他地域とも人材を競う。
企業と自治体に必要な定着策
- 仕事内容と賃金控除を母語を含む理解可能な形で説明する
- 技能に応じた昇給・役割・キャリア経路を示す
- 住居、交通、医療、行政手続きの生活支援を整える
- 勤務時間内も含めた日本語学習機会を検討する
- ハラスメントや相談への多言語窓口を設ける
- 特定技能への移行や在留手続きを適正に支援する
- 地域住民との交流を一方的な「同化」にしない






編集部まとめ
- 鹿児島県の外国人労働者は2025年10月末に1万6,562人となり、過去最多を更新した。
- 2016年の4,386人から約3.8倍で、「10年で約4倍」という報道と整合する。
- 技能実習は7,740人、特定技能は4,491人。産業別では製造業が最多で、食料品製造だけで4,629人を占める。
- 地域産業を支える一方、賃金や将来性を求めて都市部へ移る例もある。
- 採用数だけでなく、賃金、キャリア、生活支援を含む定着政策が必要である。
出典
- KTS鹿児島テレビ「人口減少の鹿児島を支える外国人労働者 10年で約4倍」2026年8月26日
- 鹿児島労働局「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」
- 鹿児島労働局・別添1(推移、国籍、在留資格、産業別)
内部関連記事













コメント