千葉県松戸市内のアパートで、ベトナム国籍の男女15人が出入国管理及び難民認定法違反(不法残留)で摘発された。
千葉県警が2026年8月21日に公表した「最新事件・事故ファイル」によると、摘発を行ったのは松戸警察署と東京出入国在留管理局。松戸市内に所在するアパートで、ベトナム国籍の男女15人を不法残留で摘発したという。
現時点の県警発表は非常に簡潔で、15人の年齢、男女別人数、入国時の在留資格、在留期限をどの程度超過していたのか、仕事に就いていたのか、アパートを誰が用意したのかなどは明らかにされていない。
また、県警の表現は「摘発」であり、15人全員が刑事事件として逮捕されたとする発表ではない。入管法違反では、警察による刑事手続だけでなく、入管当局による退去強制手続や出国命令手続が進められる場合もあるため、「15人逮捕」と言い換えるのは正確ではない。
今回注目されるのは、1人や2人の在留期限超過ではなく、同じアパートでベトナム国籍の男女15人が一度に摘発された点だ。
千葉県では2026年5月にも、旭市のアパートで外国籍の男女14人が不法滞在として摘発されている。複数人が同じ住宅・アパートに集まって生活している事案では、本人の在留状況だけでなく、住居の手配者、就労先、雇用主、仕事のあっせん者が存在したのかも重要な確認事項になる。
新人記者ナルカ


松戸市のアパートでベトナム国籍15人を合同摘発
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 摘発日 | 2026年8月21日 |
| 場所 | 千葉県松戸市内のアパート |
| 摘発機関 | 千葉県警松戸警察署・東京出入国在留管理局 |
| 対象 | ベトナム国籍の男女15人 |
| 違反内容 | 出入国管理及び難民認定法違反(不法残留) |
| 年齢 | 非公表 |
| 元の在留資格 | 非公表 |
| 就労状況 | 非公表 |
| 認否 | 非公表 |
千葉県警の発表は、「8月21日、松戸市内に所在するアパートで、ベトナム国籍の男女15人を出入国管理及び難民認定法違反(不法残留)で摘発」とする内容にとどまっている。
今後、入管や警察から追加発表があれば、15人がどの在留資格で入国し、いつから不法残留状態になっていたのかなどが明らかになる可能性がある。
「摘発」と「逮捕」は同じではない
今回の記事で特に注意したいのが、「摘発」という言葉だ。
千葉県警は今回、15人を「摘発」と発表しており、「15人を逮捕」とはしていない。
外国人の不法残留が確認された場合、事案によっては警察が逮捕・送検することもある一方、地方出入国在留管理局が身柄や在留状況を確認し、退去強制手続や出国命令手続を進めるケースもある。
したがって、続報がない段階で「ベトナム人15人逮捕」「15人を強制送還」と断定することはできない。
不法残留とは
不法残留とは、適法に日本へ入国・在留した外国人が、認められた在留期間を過ぎた後も、更新や在留資格変更などの許可を得ず国内に残る状態を指す。
例えば、短期滞在、留学、技能実習、特定技能などには、それぞれ在留期間が設定されている。
在留期間の満了日を超えて適法な手続きをせず滞在すれば、入管法上の不法残留に該当する可能性がある。
ただし今回の15人について、どの在留資格から不法残留になったのかは公表されていない。
日本の不法残留者は6万8488人
出入国在留管理庁によると、2026年1月1日時点の不法残留者は全国で6万8488人。
前年の7万4863人から6375人、8.5%減少している。
全体としては減少しているものの、依然として約6万8000人が不法残留者として統計上把握されている。
不法残留となる直前の在留資格では、短期滞在が4万1607人で最多。次いで技能実習9323人、特定活動7306人、留学2173人などとなっている。
ベトナム人の不法残留者は1万1601人で国籍別最多
2026年1月1日時点の国籍・地域別不法残留者数では、ベトナムが1万1601人で最多となっている。
| 順位 | 国籍・地域 | 不法残留者数 |
|---|---|---|
| 1位 | ベトナム | 11,601人 |
| 2位 | タイ | 10,907人 |
| 3位 | 韓国 | 10,020人 |
| 4位 | 中国 | 5,827人 |
| 5位 | フィリピン | 4,393人 |
ベトナム人は前年の1万4296人から2695人減少しているため、「ベトナム人の不法残留が増え続けている」と表現するのは正確ではない。
一方で、人数そのものは現在も国籍・地域別で最多だ。
2025年中の「新規不法残留」もベトナム2692人で最多
入管庁は、2025年1月1日以降に新たに不法残留となり、2026年1月1日時点でも不法残留状態にあった外国人を「新規不法残留者」として集計している。
その総数は9748人。
国籍別では、ベトナムが2692人で最多、タイが2497人、インドネシアが908人だった。
既存の不法残留者の出国・送還によって総数が減少しても、新たに不法残留状態となる外国人が一定数生じていることを示している。
2025年の入管法違反手続でもベトナム6599人
2025年中に、入管法違反によって退去強制手続または出国命令手続を受けた外国人は1万8442人。
国籍・地域別ではベトナムが6599人で最も多く、全体の35.8%を占めた。
退去強制事由では不法残留が1万7031人で、全体の92.3%だった。
この統計からも、不法残留対策の中でベトナム人への対応が大きな割合を占めていることが分かる。
15人が同じアパートにいた理由は未公表
今回の松戸市の事案では、15人が同じアパートで摘発された。
ただし、
- 全員が同じ部屋・建物で共同生活していたのか
- 部屋数はいくつだったのか
- 家賃の契約者は誰だったのか
- 知人・親族関係があったのか
- 同じ就労先で働いていたのか
などは公表されていない。
「不法残留者向けの集団居住拠点だった」「ブローカーが住居を提供していた」などと断定できる段階ではない。
焦点は「どこで働き、誰が雇っていたのか」
不法残留者の集団摘発では、在留期限の超過だけでなく、就労実態が重要となる。
2025年に退去強制手続等を受けた外国人1万8442人のうち、不法就労の事実が認められた者は1万3435人で、72.9%に上っている。
不法残留が長期化するためには生活費が必要であり、実際の摘発事案では農業、建設、製造などで働いていたケースも確認されている。
今回の15人について就労の有無は公表されていないが、今後は、
- 国内で仕事をしていたのか
- 雇用主は在留カードを確認していたのか
- 仕事を紹介した人物がいたのか
- 不法就労を知りながら雇用していた人物がいたのか
などが確認される可能性がある。
不法就労させる側にも罰則
入管法では、就労資格がない外国人を働かせるなどした場合、「不法就労助長罪」に問われる可能性がある。
雇用主には外国人を採用する際、在留カードや在留資格、在留期間、就労制限の有無などを確認することが求められる。
「本人が大丈夫と言った」「外国人だとは知らなかった」というだけで、確認義務を無視してよいわけではない。
外国人本人への在留管理と同時に、違法な雇用需要を作る企業・事業者・仲介者への対策も不可欠となる。
千葉県では5月にもアパートで外国人14人を摘発
千葉県では2026年5月、旭市のアパートで外国籍の男女14人が不法滞在として摘発された。
この事案では、タイ、インドネシア、カンボジア国籍の20代~50代の男女14人が、8部屋あるアパートのうち6部屋で生活していたと報じられた。
13人は短期滞在、1人は技能実習で入国し、中には約7年間不法滞在していた者もいたとされる。
今回の松戸市事件との直接の関連は確認されていないが、千葉県内で複数人が同一の集合住宅に居住した状態で摘発される事案が再び発生したことになる。
大阪ではベトナム国籍男女7人を不法残留容疑で摘発
2026年6月には、大阪ミナミのベトナム人関連店舗などが入るビルへの捜索で、ベトナム国籍の男女7人が不法残留の疑いで逮捕された。
報道では、技能実習などの在留資格で入国後、在留期間を過ぎても国内に残っていたとされる。
松戸市の15人については元の在留資格が公表されていないため、同じ経路だったと推測することはできない。
岩手ではベトナム人13人とブローカー関与を捜査
2025年10月には、岩手県でベトナム国籍の男女13人が不法残留・資格外活動などで摘発され、中国人ブローカーが農業分野の就労先をあっせんしていた可能性が捜査された。
こうした事案では、本人だけを摘発しても、違法な就労先や住居を用意するネットワークが残れば、同様の問題が繰り返される可能性がある。
入管庁は「不法滞在者ゼロプラン」を推進
出入国在留管理庁は、不法滞在者を減少させるため「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を進めている。
その後の強化策では、警察など関係機関との連携、摘発の強化、不法就労助長者への対策、SNS上の不法就労募集・あっせん情報の収集などを進める方針が示されている。
今回の松戸市の事案も、松戸警察署単独ではなく東京出入国在留管理局との「合同摘発」だった。
警察が地域情報や犯罪捜査を担当し、入管が在留履歴・入国記録を確認することで、より効率的に不法残留者を把握する仕組みといえる。
ベトナム政府側でも海外不法滞在対策
ベトナム政府も2026年、契約に基づいて海外で働くベトナム人労働者の違法残留などに対する行政処分制度を再整備している。
9月10日施行の政令283/2026/NĐ-CPでは、一定の違法残留行為について高額の罰金対象となり得るほか、海外就労分野の行政違反について処罰時効を2年とする。
ただし、今回松戸市で摘発された15人が同政令の対象となる海外就労契約者なのかは不明であり、直接関連付けることはできない。
日本側の摘発・送還と、送り出し国側の違反者・ブローカー対策を両輪で進められるかが今後の焦点となる。
正規に暮らすベトナム人とは区別が必要
日本には数十万人規模のベトナム人が、適法な在留資格で生活・就労している。
今回摘発された15人や、不法残留者1万1601人という数字をもって、日本で暮らすすべてのベトナム人を同一視することはできない。
むしろ不法残留・不法就労を厳格に取り締まることは、正規の手続を守って働く外国人との公平性を確保する意味を持つ。
今後確認すべきポイント
今回の県警発表は情報が限られている。続報で注目したいのは次の点だ。
- 15人の年齢と男女別内訳
- 入国時・直前の在留資格
- 不法残留期間
- 15人の就労先と仕事内容
- アパートの契約者・住居提供者
- 仕事や住居を紹介したブローカーの有無
- 雇用主が不法残留を認識していたか
- 東京入管による収容・退去強制手続の状況
特に、15人が同じアパートに集まった経緯が明らかになれば、単なる個人の在留期限超過なのか、住居・就労を含む組織的なネットワークが存在したのかを判断する材料になる。
クロ助とナルカの視点


















編集部まとめ
- 摘発日:2026年8月21日。
- 場所:千葉県松戸市内のアパート。
- 実施:松戸警察署と東京出入国在留管理局の合同摘発。
- 対象:ベトナム国籍の男女15人。
- 違反:出入国管理及び難民認定法違反(不法残留)。
- 注意:県警発表は「摘発」であり、15人全員を逮捕したとは発表していない。
- 未公表:年齢、在留資格、不法残留期間、就労先、認否、収容状況。
- 全国統計:2026年1月1日時点の不法残留者は6万8488人。
- ベトナム:1万1601人で国籍別最多。ただし前年比2695人減。
- 新規不法残留:ベトナム2692人で国籍別最多。
- 今後:住居提供者、就労先、雇用主、あっせん者の有無が注目される。
出典
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