生成AIを使った著名人のフェイク動画で信用させ、東京都内の80代女性から1億円近くをだまし取ったとみられる台湾出身の女が逮捕された。FNNプライムオンラインによると、逮捕されたのは葉彦岑容疑者で、2025年8月、仲間とともに都内に住む80代女性から500万円をだまし取った疑いが持たれている。
女性は、実業家の堀江貴文さんが投資を勧誘しているように見せかけた生成AIによるフェイク動画からLINEに誘導された。その後、「600%の利益達成を約束する」などと投資を促され、最終的に1億円近くをだまし取られたとみられている。
葉容疑者は台湾詐欺グループの一員とみられ、「日本を旅行しながらできる仕事がある、飛行機代を払うと言われ引き受けた」などと供述しているという。生成AIによる著名人なりすまし、LINEへの誘導、高利回りをうたう投資話、海外詐欺グループの関与が重なった、現代型のSNS投資詐欺といえる。
新人記者ナルカ


事件の概要|生成AIの著名人フェイク動画で投資勧誘か
FNNプライムオンラインによると、台湾出身の葉彦岑容疑者は2025年8月、仲間とともに、東京都内に住む80代女性から500万円をだまし取った疑いが持たれている。
女性は、堀江貴文さんが投資を勧誘しているように見せかけた生成AIのフェイク動画をきっかけにLINEへ誘導された。その後、高い利益を約束する投資話を持ちかけられ、被害額は1億円近くに上るとみられている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表・報道日 | 2026年6月23日 |
| 逮捕者 | 台湾出身の葉彦岑容疑者 |
| 逮捕容疑 | 2025年8月、仲間とともに80代女性から500万円をだまし取った疑い |
| 被害者 | 東京都内に住む80代女性 |
| 被害総額 | 1億円近くとみられる |
| 主な手口 | 生成AIの著名人フェイク動画からLINEへ誘導 |
| 勧誘文句 | 高利回りを約束する投資話 |
| 警察の見方 | 台湾詐欺グループの一員とみて捜査 |
本件は、著名人の画像や名前を悪用する従来型の偽広告から一段進み、生成AIによる動画を使って信頼させる点が特徴である。動画は静止画よりも説得力を持ちやすく、本人が語っているように見えることで、被害者の警戒心を下げる効果がある。
LINE誘導と高利回り約束の危険性
FNNの報道では、被害女性は著名人が投資を勧誘しているように見せかけたフェイク動画からLINEに誘導されたとされる。SNS型投資詐欺では、広告や動画で関心を引き、LINEやメッセージアプリに移動させた後、個別に投資を勧誘する手口が多い。
報道では、女性が生成AIのフェイク動画からLINEに誘導され、高い利益を約束する投資話を促されたとされる。
LINEに移動すると、詐欺グループは被害者に対して個別に連絡を取り、投資の成功例、偽の運用画面、架空の利益表示、出金手続き名目の追加送金などを重ねることができる。被害者は、最初に少額の入金をした後、利益が出ているように見せられ、さらに大きな金額を送金してしまうケースがある。
「600%」「必ず利益が出る」「元本保証」「特別枠」「あなただけ」といった表現は、投資詐欺で頻繁に使われる危険信号である。正規の金融商品で、短期間に極端な利益を確約することは通常あり得ない。
台湾詐欺グループの一員か|旅行名目の受け子リスク
FNNは、葉容疑者が台湾詐欺グループの一員とみられると報じている。葉容疑者は「日本を旅行しながらできる仕事がある、飛行機代を払うと言われ引き受けた」などと供述しているという。
この供述が事実であれば、海外の詐欺グループが、来日者を「受け子」「回収役」「口座管理役」「送金役」として使う構図が疑われる。本人が詐欺全体の仕組みをどこまで認識していたかは捜査で確認されるべきだが、少なくとも、旅行や短期滞在を装って日本国内で犯罪収益の回収に関与するリスクは見過ごせない。
国際詐欺グループは、実行役を国境を越えて移動させることで、指示役や資金の流れを見えにくくする。日本側で逮捕される人物が末端役であっても、背後には動画制作、広告出稿、SNS運用、送金口座、暗号資産交換、海外送金を担当する複数の役割が存在する可能性がある。
SNS型投資詐欺は急増|警察庁統計で被害1274億円超
警察庁のSOS47特殊詐欺対策ページによると、2025年のSNS型投資詐欺の認知件数は9538件で、前年より3125件、48.7%増加した。被害額は1274.7億円で、前年より403.6億円、46.3%増加している。
警察庁は、被害増加の主な要因として、バナー広告やダイレクトメッセージを当初の接触手段とする被害が増えていることを挙げている。特に、著名人の画像や動画を無断で使用した広告、「必ずもうかる」「元本保証」などの文言を含む広告が確認されている。
| 項目 | 2025年の数値 | 前年比 |
|---|---|---|
| SNS型投資詐欺の認知件数 | 9538件 | 3125件増、48.7%増 |
| SNS型投資詐欺の被害額 | 1274.7億円 | 403.6億円増、46.3%増 |
| 主な接触手段 | バナー等広告、ダイレクトメッセージ | 両者で全体の約8割 |
| 確認される広告内容 | 著名人の画像・動画の無断使用、高利回り文言 | 生成AI悪用との親和性が高い |
今回の事件は、まさに警察庁が警戒している「著名人の画像や動画を無断使用した投資広告」の延長線上にある。生成AIの進歩により、静止画だけでなく、本人が語っているように見える動画まで作られるようになり、従来よりも真偽の判断が難しくなっている。
金融庁もSNS投資詐欺への情報受付窓口を設置
金融庁は、著名人等になりすましたSNS上の投資広告や投稿による詐欺被害が多発しているとして、「SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報受付窓口」を設置している。金融庁は、著名人等になりすました偽広告を含む投資詐欺目的のSNS広告について、金融商品取引法に違反する可能性があると説明している。
また、金融庁はSNS上の投資勧誘について、取引する業者が金融商品取引業や暗号資産交換業の登録を受けているか確認するよう呼びかけている。金融庁によると、証券会社が入金時に個人名義の銀行口座を指定することはない。
警察庁も、著名人などになりすました詐欺広告をクリックして被害に遭うケースが相次いでいるとして、投資を勧めている著名人がなりすましでないか、本人の公式アカウントからの発信情報を確認するよう注意喚起している。
生成AIフェイク動画の危険性
生成AIによるフェイク動画は、被害者に「本人が話している」と誤認させる力がある。音声、表情、口の動き、字幕、ニュース番組風の演出が組み合わされると、短時間で真偽を判断することは難しくなる。
詐欺グループにとって、生成AIは次のような点で悪用しやすい。
- 著名人の顔や声を使い、信用を借りられる
- 広告素材を短時間で大量に作れる
- ニュース番組やインタビュー風に加工しやすい
- 日本語、英語、中国語など多言語展開しやすい
- SNS広告からLINEへ誘導し、個別勧誘につなげられる
利用者側は、動画の自然さだけで判断してはならない。むしろ、「著名人が投資を勧めている」「LINE登録を求める」「短期間で高利回りを約束する」「入金先が個人名義」「出金前に手数料を要求する」といった要素が重なれば、詐欺とみるべきである。
国際詐欺と日本の高齢者被害
今回の被害者は東京都内に住む80代女性と報じられている。高齢者は、SNSや生成AIの仕組みに不慣れな場合があり、著名人の映像やニュース風広告を信用してしまう危険がある。
一方で、SNS型投資詐欺は高齢者だけの問題ではない。若年層や現役世代でも、暗号資産、FX、副業、AI投資、株式自動売買などの名目で被害に遭うケースがある。生成AIによる映像が高度化すれば、年齢にかかわらず判断が難しくなる。
家族や周囲が確認すべきなのは、本人が急にLINEの投資グループに参加していないか、頻繁にATMやネットバンキングを使っていないか、知らない個人名義口座や暗号資産口座へ送金していないかである。特に高額な送金が始まった場合、早期に警察、金融機関、消費生活センターへ相談する必要がある。
国益的視点|AI詐欺は治安・金融・情報空間の問題
生成AIを使った投資詐欺は、単なる個人被害にとどまらない。著名人の信用、SNS広告の信頼性、金融市場への信頼、国内の高齢者資産、そして日本の情報空間の安全に関わる問題である。
日本社会では、個人金融資産の多くを高齢者が保有している。そこを海外詐欺グループが狙い、AI技術とSNS広告を使って資金を奪う構図は、国民生活の安全と資産防衛の観点から重大である。
国益上重要なのは、個々の受け子を摘発するだけではない。偽動画の制作拠点、広告出稿アカウント、LINEグループの管理者、送金口座、暗号資産の移転先、海外の指示役まで追跡し、犯罪収益を回収・凍結する仕組みを強化することである。
また、プラットフォーム事業者には、著名人なりすまし広告や生成AIフェイク動画への迅速な削除対応、広告審査の強化、通報窓口の整備が求められる。警察、金融庁、消費者庁、SNS事業者、金融機関が連携しなければ、被害拡大を止めることは難しい。
賛成・反対・中立の視点
取り締まり強化を求める視点
生成AIを使った著名人フェイク動画は、被害者の判断力を奪う高度な詐欺手口であり、厳正な捜査と国際連携が必要だという立場である。受け子や回収役だけでなく、動画制作、広告運用、LINE誘導、送金管理を担う背後グループまで摘発しなければ、同種被害は繰り返される。
慎重な報道を求める視点
葉容疑者は逮捕段階であり、台湾詐欺グループの一員かどうか、詐欺全体への認識がどこまであったかは、今後の捜査と司法判断を待つ必要がある。また、台湾出身であることは報道上の事実だが、台湾出身者全体への一般化は避けるべきである。
中立的な視点
本件の本質は、国籍ではなく、生成AI、SNS広告、LINE誘導、国際詐欺グループ、金融口座を組み合わせた犯罪インフラにある。被害者保護と厳正な法執行を両立させ、同時に、利用者教育とプラットフォーム対策を強める必要がある。
被害を防ぐための確認ポイント
- 著名人が投資を勧める動画でも、本人の公式サイトや公式SNSで確認する
- LINEや非公開グループへ誘導された時点で警戒する
- 「必ずもうかる」「元本保証」「数百%の利益」などの表現は疑う
- 金融庁登録業者かどうかを確認する
- 個人名義の口座や、振込先が頻繁に変わる場合は送金しない
- 出金手数料、税金、保証金などを理由に追加送金を求められたら相談する
- 被害に気づいたら、警察、金融機関、消費生活センターに早急に連絡する
警察庁は、不安を感じた場合の相談先として警察相談専用電話「#9110」や消費者ホットライン「188」を案内している。金融庁も、SNS上の投資詐欺が疑われる広告や投稿に関する情報受付窓口を設けている。
今後の焦点
- 葉容疑者が詐欺グループ内でどのような役割を担っていたか
- 被害額1億円近くの送金経路や回収先がどこまで解明されるか
- 生成AIフェイク動画の制作・配信者が特定されるか
- LINEグループの管理者や指示役が国内外で摘発されるか
- 台湾詐欺グループとの関係や国際捜査の進展
- 著名人なりすまし広告へのプラットフォーム側の対応
現時点では、逮捕容疑は2025年8月に500万円をだまし取った疑いであり、1億円近くとされる被害総額やグループ関与の全体像は捜査中とみられる。
クロ助とナルカの視点


















編集部まとめ
- 事件の概要:生成AIを使った著名人フェイク動画で80代女性を信用させ、500万円をだまし取った疑いで台湾出身の葉彦岑容疑者が逮捕された。
- 被害規模:女性は最終的に1億円近くをだまし取られたとみられ、FNNは台湾詐欺グループの関与を報じている。
- 手口:堀江貴文さんが投資を勧誘しているように見せかけた生成AIフェイク動画からLINEへ誘導し、高利回りをうたって投資を促したとされる。
- 国益的示唆:AIフェイク動画による投資詐欺は、国民の資産、情報空間、金融制度への信頼を脅かす。国際捜査とSNS広告対策の強化が必要である。











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