MENU
目次
カテゴリー

外国人412万人時代、入管管理を一層厳格化へ 第二次基本計画「6つの柱」を徹底解説

第二次出入国在留管理基本計画の6つの基本方針とJESTA・在留管理・不法滞在者対策
  • URLをコピーしました!

法務省が2026年7月に「第二次出入国在留管理基本計画」を公表した。

在留外国人数が2025年末に412万5395人と初めて400万人を突破する一方、2026年1月1日時点の不法残留者は6万8488人。政府は今後も外国人の入国・在留が増えることを前提に、入国前審査、在留中の情報連携、不法滞在者の摘発・送還、難民審査、外国人受け入れ規模のあり方まで含め、出入国在留管理を再設計する。

自由民主党も8月21日、「出入国在留管理の一層の厳格化を」と題して同計画を紹介し、党外国人政策本部による提言が大きく反映されたと説明した。

計画の柱は6つ。

  1. デジタル技術等を活用した厳格かつ円滑な出入国審査
  2. 本邦に在留する全ての外国人についての適正な在留管理
  3. 外国人との秩序ある共生社会に向けた受け入れ環境整備
  4. 厳格かつ適正な退去強制、不法滞在者等への対策強化
  5. 難民・補完的保護対象者等の適正かつ迅速な保護と支援
  6. 社会構造・経済活動の変化を踏まえた外国人受け入れの基本的なあり方の検討

中でも注目されるのが、電子渡航認証制度「JESTA」、マイナンバーを活用した情報連携、永住許可制度の適正化、「不法滞在者ゼロプラン」の強化、日本語・生活ルール学習プログラム、そして外国人受け入れの「基本的なあり方」そのものを中長期的に検討すると明記した点だ。

これは「外国人受け入れ停止」を意味する計画ではない。政府は必要な外国人材の受け入れを続けながら、入国前、在留中、違反発生後、出国・送還までを一体的に管理する方向へ進んでいる。

新人記者ナルカ
外国人を増やしながら、入管は厳しくするってこと?

編集長クロ助
そういう設計にゃ。正規に入国・在留する外国人の手続はDXで円滑化しつつ、不法滞在や制度悪用には情報連携と摘発・送還を強める方針にゃ。

目次

第二次出入国在留管理基本計画とは

「出入国在留管理基本計画」は、出入国管理及び難民認定法に基づき、外国人の入国・在留管理に関する施策の基本となる計画を法務大臣が定めるものだ。

現在の名称による第一次計画は2019年4月に策定された。その後、新型コロナ禍を経て外国人の入国が再び増加し、技能実習、特定技能、留学、就労、家族滞在など在留外国人の構成も大きく変化した。

2026年7月に公表された第二次計画は、こうした環境変化を踏まえ、今後の入国・在留管理政策を6つの基本方針に整理したものとなる。

在留外国人は412万5395人、過去最多

出入国在留管理庁によると、2025年末の在留外国人数は412万5395人。前年末の376万8977人から35万6418人、9.5%増加し、初めて400万人を突破した。

日本の総人口が減少する中で在留外国人は増えており、外国人政策は一部地域だけの問題ではなく、全国の雇用、教育、医療、税・社会保険、住宅、防災、治安などに関係する政策分野になっている。

一方、不法残留者は6万8488人

2026年1月1日時点の不法残留者は6万8488人。前年の7万4863人から6375人、8.5%減少している。

減少していることは重要だが、依然として数万人規模で不法残留者が存在する。

政府は、入国時に不法滞在リスクの高い人物をできるだけ排除し、在留中には実態を把握し、違反が確認された場合には摘発・退去強制を進める「入口から出口まで」の管理強化を目指している。

基本方針1 JESTAで「入国前」に審査

第一の柱は、デジタル技術を活用した厳格かつ円滑な出入国審査だ。

中心となるのが電子渡航認証制度「JESTA(ジェスタ)」である。

JESTAは、査証免除対象国・地域から観光など短期滞在目的で来日する外国人に対し、渡航前にオンラインで情報を申告させ、認証を求める制度。2026年5月29日に関連する入管法改正が成立し、6月5日に公布された。

第二次基本計画では、JESTAを2028年度中に着実に導入する方針が示されている。

JESTAで何を防ぐのか

これまで査証免除対象者は、日本へ到着した後の上陸審査が中心だった。

JESTAが導入されれば、渡航前の段階で本人情報、渡航目的、入国拒否歴などの関連情報を確認し、問題がある場合には航空機への搭乗前から対応しやすくなる。

自民党は、外務省との連携により「不法滞在を企図する外国人等の入国阻止」を図るとしている。

一方、JESTAは外国人を一律に入国させない制度ではなく、正規の旅行者についてはデジタル化によって審査を円滑にする目的も持つ。

基本方針2 マイナンバーを活用した在留管理DX

第二の柱は、日本国内に在留する外国人の適正な在留管理である。

第二次計画では「公共サービスメッシュ」を活用したマイナンバーによる情報連携を2027年から運用開始するとしている。

これにより、行政機関が保有する情報を必要な範囲で連携し、在留審査や実態把握を効率化する方向だ。自民党は、各種保険料の納付情報などの情報連携も盛り込まれたとしている。

税・社会保険の履行状況も在留審査へ

政府の外国人材受け入れ・共生施策では、外国人の社会保険料の納付義務履行状況を確認し、在留審査へ適切に反映する仕組みの検討が進んでいる。

特定技能については受け入れ機関と外国人本人の納税義務の履行状況を確実に把握する方向も示されている。

外国人に日本で長期生活する資格を認める以上、日本人と同様に税・社会保険などの公的義務を適切に履行しているかを審査するという考え方だ。

永住許可制度もさらに適正化

第二次計画は「永住者」の在留資格取消しに関するガイドラインによる予見可能性・透明性の向上に加え、永住許可そのもののあり方や要件見直しの検討を掲げている。

2027年4月からは、故意に税金・社会保険料などの公租公課を支払わない場合や、一定の犯罪で拘禁刑に処せられた場合などを対象とする永住資格取消し制度が施行される予定だ。

ただし、一度の滞納や逮捕だけで即時取消しとなる制度ではなく、悪質性や個別事情を確認して判断する。

「経営・管理」など在留資格の実態も確認

第二次計画では、在留資格の制度趣旨と実態に乖離がみられる問題について必要な措置を取る方針も明記された。

特に「経営・管理」については、事業実態の把握と改善に向けたさらなる方策を実施する。

形式的に会社を設立するだけで実際の事業活動が乏しいケースなど、在留資格が本来の趣旨から外れて利用されることへの対策が今後も進むことになる。

基本方針3 外国人に日本語・生活ルールを学ぶ仕組み

第三の柱は「外国人との秩序ある共生社会」のための受け入れ環境整備である。

第二次計画では、外国人生活支援ポータルサイトなどによる情報発信・相談対応を強化するとともに、在留外国人が日本語、日本の制度、生活上のルール、社会規範などを学ぶプログラムについて「試行的な導入」を検討するとしている。

政府は8月18日、この「日本語・生活学習プログラム(仮称)」の有識者ワーキンググループ初会合を開催しており、基本計画に書かれた政策が具体化し始めている。

「共生」は外国人への支援だけではない

共生政策というと外国人への行政サービス拡充だけが注目されやすい。

しかし今回の基本計画では、日本で生活する外国人側にも、日本語や制度・ルールの理解を求める方向が明確になっている。

外国人が増える中で、地域住民だけにごみ出し、騒音、交通、税、社会保険などの説明・調整負担を負わせるのではなく、入国・在留する外国人自身にも日本社会の基本ルールを理解してもらうことが政策課題になっている。

基本方針4 「不法滞在者ゼロプラン」を強力推進

第四の柱は、安全・安心な社会の実現に向けた退去強制と不法滞在者対策だ。

入管庁は2025年5月に「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を公表し、2026年には「強力推進パッケージ」を進めている。

第二次計画では、護送官付き国費送還の計画的・確実な実施、自発的な出国の促進、速やかな送還と摘発強化のための体制整備、デジタル技術を用いた不法滞在者の摘発、情報収集・分析機能の強化、不適正ヤードへの関係機関連携、不法就労助長者への摘発強化などを掲げる。

退去強制確定者を2030年末までに半減目標

不法滞在者ゼロプランでは、退去強制が確定した外国人について、2024年末の3122人から2030年末までに半減を目指すとしている。

また、護送官付き国費送還については3年後に倍増を目指し、難民認定審査についても新規申請を原則6カ月以内で処理する方向を掲げている。

「ゼロプラン」という名称ではあるが、直ちに全不法滞在者をゼロにする数値計画ではなく、送還・審査・摘発を段階的に迅速化する政策パッケージとなる。

不法就労を雇う側にも対策

不法滞在問題では、本人だけを摘発しても、不法就労者を雇う企業や仲介者が残れば需要が消えない。

2025年に退去強制手続等を受けた外国人1万8442人のうち、不法就労の事実が認められた者は1万3435人、72.9%に上った。

第二次計画では、不法就労助長者への摘発強化に加え、不法就労助長罪と各業法の欠格事由のあり方についても検討する。

外国人本人だけでなく、違法雇用を成立させる雇用主・ブローカー側を締める方向が明確になっている。

出身国政府にも悪質ブローカー排除を申し入れ

自民党は基本計画について、不法滞在者が多い出身国などへ悪質なブローカー排除等の申し入れを行うと説明している。

これは日本国内だけでなく、送り出し国側にも対策を求めるものだ。ベトナム政府が2026年9月から海外就労者の違法残留対策を強化する政令283号を施行するなど、送り出し国側でも管理強化の動きが出ている。

基本方針5 難民審査を「迅速化」と「適正化」

第五の柱は、難民・補完的保護対象者等の適正かつ迅速な保護・支援である。

第二次計画では、難民認定事務を担当する人員の確保、研修の充実、執務環境の改善、デジタル技術の活用などを進める。

また、出身国情報を充実させ、認定手続の透明性や職員の専門性を高める方針だ。本当に保護を必要とする人を迅速に認定する一方、誤用・濫用的な申請への対策も強化するという二つの方向を掲げている。

基本方針6 外国人を「何人受け入れるか」も検討へ

今回の基本計画で長期的に最も重要になる可能性があるのが第六の柱だ。

法務省は、社会構造や経済活動の変化を踏まえ、出入国在留管理行政の観点から外国人受け入れの基本的なあり方を、中長期的かつ多角的に検討するとした。

自民党も、諸外国の制度や実態を把握したうえで取り組むとしている。

これは現時点で「外国人総数の上限を設定する」と決定したものではない。

しかし、これまで主に業種別・在留資格別で議論されてきた外国人受け入れについて、人口、地域集中、社会保障、教育、住宅、治安、行政負担なども含め、国全体の受け入れ規模をどう考えるのかという議論につながる可能性がある。

受け入れ拡大だけでは持続しない

日本では人手不足を背景に特定技能や育成就労による外国人材の受け入れが進む。

一方、外国人住民が短期間に増えれば、地方自治体には日本語教育、学校、医療、生活相談、防災、住宅、地域トラブルへの対応など新たな行政需要が発生する。

受け入れ人数を決める際には「企業が何人欲しいか」だけでなく、「地域社会がどこまで受け入れ可能か」という視点も必要になる。

自民党「党の提言が大きく反映」

自民党外国人政策本部は2026年1月と6月、政府へ外国人政策に関する提言を提出してきた。

8月21日の党記事では、今回の第二次基本計画について「党の提言が大きく反映」と説明している。

具体的には、JESTA、在留管理DX、マイナンバーによる情報連携、在留資格審査の適正化、永住許可制度見直し、不法滞在者対策、SNS等を利用した情報収集・分析などが党提言と政府計画の双方に盛り込まれている。

ただし、基本計画自体は法務大臣が入管法に基づき定める行政計画であり、自民党の政策文書そのものではない。この点は分けて理解する必要がある。

「厳格化」と「円滑化」は矛盾しない

第二次計画では「厳格化」という言葉と同時に「円滑化」が繰り返されている。

政府が目指しているのは、ルールを守る外国人についてはデジタル化で手続きを速くし、制度悪用や虚偽申請には情報連携で審査を厳しくし、不法滞在・不法就労には摘発・送還を強化するという選別型の管理である。

正規滞在者まで一律に審査を遅くするのではなく、リスクの高い申請・人物に行政資源を集中させることがDXの目的となる。

外国人政策の「入口・在留中・出口」を一体化

段階主な政策
入国前JESTA、情報分析、不適正入国の阻止
入国時デジタル技術を使った厳格・円滑な上陸審査
在留中マイナンバー連携、税・社会保険、在留資格実態把握
長期在留永住許可・取消制度の適正化
共生日本語・制度・生活ルール学習、相談支援
違反時摘発、不法就労助長者対策、退去強制
出国・送還自発的出国、護送官付き国費送還の促進

外国人を受け入れるか否かという単純な二択ではなく、入国から出国まで一貫して管理できる制度へ変えることが第二次基本計画の核心といえる。

計画を作るだけでは意味がない

今後確認すべきなのは、JESTAでどれだけ不適正入国を防げるか、マイナンバー情報連携で虚偽申請・未納を把握できるか、永住許可制度の適正化が機能するか、不法残留者数がさらに減少するか、不法就労を雇う側の摘発が増えるか、難民審査期間が短縮するか、外国人受け入れ総量について具体的基準が示されるかという実績である。

クロ助とナルカの視点

新人記者ナルカ
今回の計画って、かなりいろいろな外国人政策が一つにまとまってるね。

編集長クロ助
そうにゃ。JESTA、マイナンバー連携、永住審査、日本語・生活ルール、不法滞在者ゼロプラン、難民審査まで全部つながっているにゃ。

新人記者ナルカ
外国人を減らす計画なの?

編集長クロ助
そこは違うにゃ。必要な外国人は受け入れつつ、ルールを守る人と違反する人をより明確に分けて管理する計画にゃ。受け入れ人数そのものは今後さらに検討する段階にゃ。

新人記者ナルカ
一番注目するならどこ?

編集長クロ助
短期ではJESTAとマイナンバー情報連携、不法滞在者対策にゃ。長期では「外国人を日本社会としてどの程度受け入れるのか」という第6の柱が大きな政策論点になりそうにゃ。

編集部まとめ

  1. 公表:法務省は2026年7月、第二次出入国在留管理基本計画を公表。
  2. 背景:2025年末の在留外国人数は412万5395人で初の400万人超。
  3. 不法残留:2026年1月1日時点で6万8488人。前年から8.5%減少。
  4. JESTA:電子渡航認証制度を2028年度中に着実に導入する方針。
  5. 在留管理DX:公共サービスメッシュを活用したマイナンバー情報連携を2027年から開始予定。
  6. 永住:永住資格取消しガイドライン、永住許可の要件・あり方見直しを進める。
  7. 共生:日本語や日本の制度・生活ルール等を学ぶプログラムの試行的導入を検討。
  8. 不法滞在:不法滞在者ゼロプランを強力推進し、摘発、送還、不法就労助長者対策を強化。
  9. 難民:審査人員・専門性を高め、適正かつ迅速な難民・補完的保護審査を目指す。
  10. 受け入れ規模:外国人受け入れの基本的なあり方を中長期的・多角的に検討。
  11. 位置付け:「外国人受け入れ停止」ではなく、正規受け入れと厳格な在留管理を両立する政策。

出典

内部関連記事

あわせて読みたい
JP NEWS FOCUS データベース一覧 JP News Focusでは、日本国内で報じられた外国人関連の事件、在留制度、移民政策、外国人労働、地域社会への影響を継続的に整理しています。 このページは、当サイトに...
第二次出入国在留管理基本計画の6つの基本方針とJESTA・在留管理・不法滞在者対策

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次