電子渡航認証制度「JESTA(ジェスタ)」の創設などを盛り込んだ入管難民法改正案が、2026年4月28日、衆議院を通過した。改正案は、査証免除対象国・地域から短期滞在で来日する外国人に対し、渡航前のオンライン認証を求める仕組みを導入する内容だ。
あわせて、在留資格の変更許可・在留期間更新許可・永住許可などに関する手数料の法定上限額も引き上げられる。出入国在留管理庁の資料では、在留資格変更許可と在留期間更新許可の上限を10万円、永住許可の上限を30万円とする内容が示されている。JESTAは短期入国者への事前審査、手数料引き上げは在留管理コストの負担見直しという位置づけであり、今後の外国人受け入れ政策に大きな影響を与える。
新人記者ナルカ


入管難民法改正案が衆院通過、JESTA創設へ
- 法案名:出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案
- 国会提出日:2026年3月10日
- 衆議院通過:2026年4月28日
- 主な内容:電子渡航認証制度「JESTA」の創設
- 対象:査証免除対象国・地域から短期滞在で来日する外国人など
- あわせて盛り込まれた内容:在留手続き手数料の法定上限額引き上げ
- 今後:参議院で審議。成立すれば具体的な運用や手数料額は政令・省令等で定められる見通し
JESTAとは何か
JESTAとは、日本版の電子渡航認証制度である。査証免除対象国・地域から、観光や短期商用などの短期滞在目的で日本に入国しようとする外国人に対し、渡航前にオンラインで渡航目的や滞在情報などを申告させ、入国前の段階で確認する仕組みだ。
米国のESTAのように、ビザ免除で自由に入国できる国・地域の渡航者についても、事前に情報を取得し、不法残留や不法就労、治安上のリスクを抑えることが狙いとされる。自民党は、改正案について、短期滞在で入国したまま不法残留した外国人を退去させるには多大な労力と費用が必要であり、入国前に渡航目的等を申告させる制度だと説明している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | JESTA、日本版電子渡航認証制度 |
| 対象 | 査証免除対象国・地域からの短期滞在者など |
| 手続き | 渡航前にオンラインで情報を申告し、認証を受ける仕組み |
| 目的 | 不法残留、不法就労、入国管理上のリスクを事前に把握すること |
| 影響 | 訪日観光客、短期商用、親族訪問、航空会社、旅行業界などに及ぶ可能性 |
なぜJESTAが導入されるのか
背景には、訪日外国人の増加と、入国管理の負担増がある。査証免除制度は観光やビジネスの利便性を高める一方、入国前に詳細な審査を行いにくい。短期滞在で入国した後に不法残留や不法就労へ移るケースがあれば、摘発や退去強制には行政コストがかかる。
JESTAは、こうしたリスクを入国前に確認し、問題がある可能性のある渡航者を早期に把握する仕組みといえる。衆議院法務委員会の附帯決議でも、JESTA導入により、難民を含む真に保護を必要とする者の渡航・入国が不当に妨げられないよう、国際機関と連携し、制度運用の公平性を確保するよう求めている。
在留手続き手数料の上限も引き上げ
今回の改正案では、JESTA創設だけでなく、在留手続きに関する手数料の法定上限額引き上げも大きな論点になっている。出入国在留管理庁の資料では、在留資格の変更許可と在留期間の更新許可について上限10万円、永住許可について上限30万円と示されている。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
現行法では、これらの手数料上限は1万円とされてきた。改正後、実際にいくら徴収するかは、法律成立後に政令で定められる見通しである。つまり、直ちに全ての更新手続きが10万円、永住許可が30万円になるという意味ではなく、法律上の上限枠を拡大する改正である点に注意が必要だ。
| 手続き | 現行の法定上限 | 改正案の法定上限 |
|---|---|---|
| 在留資格変更許可 | 1万円 | 10万円 |
| 在留期間更新許可 | 1万円 | 10万円 |
| 永住許可 | 1万円 | 30万円 |
手数料引き上げは何を意味するのか
手数料引き上げの背景には、入管業務のデジタル化、審査体制の強化、在留外国人増加に伴う行政コストの拡大がある。政府側は、出入国・在留管理のための事務負担が増える中、受益者負担の観点から手数料を見直す必要があると説明している。
一方で、外国人本人や雇用企業、支援団体からは、負担増への懸念も出ている。特に、在留期間更新や資格変更は、日本で働き続けるために必要な手続きであり、低所得者、留学生、難民申請者、家族滞在者などには重い負担になる可能性がある。日本難民支援協会は、手数料引き上げが難民申請者に過度な負担を求めるものだとして懸念を示している。
JESTAと手数料引き上げの違い
JESTAと手数料引き上げは同じ改正案に含まれるが、対象者と目的は異なる。JESTAは主に、これから日本へ短期滞在で入国しようとする外国人を対象とする制度である。一方、手数料引き上げは、すでに日本に在留している外国人や、在留資格を変更・更新する人、永住許可を申請する人に関係する。
| 項目 | JESTA | 手数料上限引き上げ |
|---|---|---|
| 対象 | 査証免除で来日する短期滞在者など | 在留資格変更・更新、永住許可申請者など |
| 目的 | 渡航前の事前審査、入国管理リスクの把握 | 在留管理コストの負担見直し、財源確保 |
| 影響を受ける層 | 観光客、短期商用、親族訪問、航空・旅行業界 | 在留外国人、雇用企業、学校、支援団体、行政書士など |
| 主な論点 | 利便性、観光影響、難民・保護対象者への配慮 | 負担増、低所得者配慮、永住申請のハードル |
観光・短期滞在への影響
JESTAが導入されれば、査証免除対象国・地域の外国人でも、来日前にオンライン認証を済ませる必要が出る。これにより、訪日旅行の手続きは一段増えることになる。
一方で、事前審査によって入国審査場での確認が効率化される可能性もある。観光立国を進める日本にとって、入国管理の厳格化と訪日利便性をどう両立するかが焦点になる。
| 期待される効果 | 懸念される影響 |
|---|---|
| 入国前にリスクを確認できる | 訪日前の手続きが増える |
| 不法残留・不法就労対策になる可能性 | 観光客や旅行会社の負担が増える |
| 入国審査の円滑化につながる可能性 | 制度周知不足で渡航トラブルが起きる恐れ |
| 航空会社・入管の情報連携が進む | 真に保護が必要な人への配慮が必要 |
永住許可申請への影響
永住許可の手数料上限が30万円に引き上げられることは、長期在留者にとって大きな関心事である。永住許可は、日本で長期的に生活し、納税や社会保険料納付などの公的義務を果たしてきた外国人が申請する重要な在留手続きである。
実際の手数料額は政令で定められるため、現時点では最終額を断定できない。ただし、上限が30万円に広がることで、永住申請の費用負担が大きく上がる可能性はある。外国人本人だけでなく、外国人材の長期定着を進めたい企業にとっても、キャリア設計や支援費用に影響する。
企業・学校・行政書士への影響
在留資格変更や更新の手数料上限引き上げは、外国人本人だけでなく、外国人を雇用する企業、日本語学校・専門学校、行政書士などにも影響する。企業が手数料を本人負担とするのか、会社負担とするのかによって、採用・定着コストは変わる。
| 関係者 | 想定される影響 |
|---|---|
| 外国人本人 | 在留更新、資格変更、永住申請の費用負担が増える可能性 |
| 雇用企業 | 更新手数料を誰が負担するか、社内規定の整備が必要 |
| 学校 | 留学生の在留手続き負担、説明責任、相談対応が増える可能性 |
| 行政書士 | 制度変更の説明、申請時期の相談、減免制度確認などの需要が増える |
| 自治体・支援団体 | 低所得者や困難事例への相談対応が増える可能性 |
反対・慎重意見の論点
手数料引き上げに対しては、弁護士会や支援団体などから懸念が示されている。日本弁護士連合会は、在留期間更新や在留資格変更について上限10万円、永住許可について上限30万円とする改正案に対し、外国人の権利や生活への影響を踏まえた慎重な対応を求めている。
主な懸念は、低所得外国人、難民申請者、家族滞在者、留学生などに過度な負担がかかること、在留資格の更新が事実上難しくなる人が出ること、手数料収入の使途や減免制度が不透明なことである。
| 慎重意見の論点 | 内容 |
|---|---|
| 低所得者への負担 | 更新・変更手続きが生活費を圧迫する可能性 |
| 難民申請者への影響 | 手数料負担が保護を求める人の手続きを妨げる懸念 |
| 永住申請のハードル | 長期定着を望む外国人に大きな費用負担が生じる可能性 |
| 減免制度の不透明さ | どのような場合に減額・免除されるのか明確化が必要 |
| 社会分断 | 外国人だけに過度な負担を求めているとの受け止めが広がる可能性 |
賛成・推進側の論点
一方で、制度を推進する側は、外国人の入国・在留が増える中で、入管行政の負担が増している点を重視する。不法残留、不法就労、偽装滞在、在留審査の厳格化、オンライン申請システムの維持などには、相応の行政コストがかかる。
そのため、在留手続きを利用する外国人本人が一定の費用を負担することは、受益者負担の考え方から妥当だという見方がある。また、JESTAによって事前審査を強化すれば、不法残留や不法就労を企図する外国人の入国抑止につながる可能性がある。
| 推進側の論点 | 内容 |
|---|---|
| 入管行政コスト | 在留外国人増加により審査・管理コストが拡大 |
| 受益者負担 | 在留手続きを利用する本人が一定の費用を負担すべきとの考え方 |
| 不法残留対策 | JESTAにより短期滞在からの不法残留を防ぐ効果が期待される |
| 審査体制強化 | 手数料収入を入管機能強化に活用できる可能性 |
| 秩序ある共生 | 適正な入国・在留管理を前提に外国人受け入れを進める |
国益視点で見るJESTAと入管手数料改正
国益の観点では、JESTA導入は一定の合理性がある。観光や短期商用の利便性を維持しつつ、不法残留や不法就労のリスクを入国前に把握する仕組みは、今後の入国管理に必要なインフラとなり得る。
一方で、手数料引き上げは慎重な運用が必要である。日本で適正に働き、納税し、社会保険料を納めている外国人にとって、在留更新や永住申請は生活基盤に関わる手続きである。過度な負担になれば、外国人材の定着や企業の人材確保にも影響する。
重要なのは、入管行政の厳格化と、適正に暮らす外国人の安定した在留を両立させることだ。JESTAで入口管理を強化し、手数料収入を審査の迅速化・不法滞在対策・多言語対応・オンライン化に使うなら、国民への説明もしやすい。一方、負担増だけが先行すれば、制度への不信を招く。
クロ助とナルカの視点


















賛否・中立の見方
| 立場 | 主な見方 |
|---|---|
| 賛成・推進の見方 | 訪日外国人と在留外国人が増える中、不法残留や不法就労を防ぐにはJESTAによる事前審査が必要。入管行政コストが増えている以上、手数料の見直しも受益者負担として合理性がある。 |
| 慎重・反対の見方 | 在留資格更新や永住許可の手数料上限引き上げは、低所得外国人、留学生、家族滞在者、難民申請者に過度な負担を与える可能性がある。JESTAも、真に保護が必要な人の渡航を妨げない配慮が必要。 |
| 中立的な見方 | 入口管理の強化と在留管理コストの見直しは必要だが、実際の手数料額、減免制度、使途、審査迅速化の効果を明確に示すべき。厳格化と適正在留者の保護を両立させる運用が求められる。 |
JESTA・入管法改正Q&A
Q1. JESTAとは何ですか?
JESTAは、日本版の電子渡航認証制度です。査証免除対象国・地域から短期滞在で来日する外国人などに、渡航前のオンライン認証を求める仕組みです。
Q2. JESTAはビザと同じですか?
ビザそのものではありません。査証免除対象者に対し、渡航前に情報を申告させ、認証を受ける制度です。ただし、認証がなければ渡航や入国手続きに影響する可能性があります。
Q3. すべての外国人がJESTAの対象になりますか?
すべての外国人が対象になるわけではありません。主に査証免除対象国・地域から短期滞在で来日する外国人などが想定されています。具体的な対象範囲は、今後の制度設計で確認が必要です。
Q4. なぜJESTAを導入するのですか?
短期滞在で入国した後に不法残留や不法就労に移るリスクを抑え、入国前に渡航目的や滞在情報を確認するためです。入国審査の円滑化も期待されています。
Q5. 在留手続きの手数料はどう変わりますか?
改正案では、在留資格変更許可と在留期間更新許可の法定上限が10万円、永住許可の法定上限が30万円に引き上げられます。実際の金額は法律成立後に政令で定められる見通しです。
Q6. すぐに更新手数料が10万円、永住許可が30万円になるのですか?
上限額が引き上げられるという意味であり、実際の手数料額は今後政令で決まります。直ちに全件が上限額になるとは限りません。
Q7. 外国人本人にはどんな影響がありますか?
在留期間更新、在留資格変更、永住許可申請の費用負担が増える可能性があります。特に低所得者、留学生、家族滞在者、永住申請者には影響が大きくなる可能性があります。
Q8. 企業にはどんな影響がありますか?
外国人従業員の在留更新や資格変更の費用を本人負担にするのか、会社負担にするのか、社内規定の見直しが必要になる可能性があります。採用・定着コストにも影響します。
Q9. 反対意見は何を問題視していますか?
低所得外国人や難民申請者への過度な負担、永住申請のハードル上昇、減免制度の不透明さ、手数料収入の使途などが問題視されています。
Q10. 国として必要な対応は何ですか?
JESTAによる入口管理の強化と、適正に在留する外国人の生活安定を両立させることです。実際の手数料額、減免制度、収入の使途、審査迅速化の効果を明確に説明する必要があります。
編集部でまとめ
- 事実確認:JESTA創設などを盛り込んだ入管難民法改正案は、2026年3月10日に国会提出され、4月28日に衆議院を通過した。
- JESTAの内容:査証免除対象国・地域からの短期滞在者などに、渡航前のオンライン認証を求める制度である。
- 手数料改正:在留資格変更許可・在留期間更新許可の法定上限は10万円、永住許可の法定上限は30万円に引き上げられる内容となっている。
- 影響:JESTAは訪日外国人や旅行業界に、手数料引き上げは在留外国人、雇用企業、学校、行政書士、支援団体に影響する。
- 国益的示唆:不法残留や不法就労を防ぐ入口管理の強化は必要だが、適正に働き生活する外国人への過度な負担にならないよう、減免制度、使途、審査迅速化を明確にする必要がある。










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