佐賀市内で計画されているモスク設置をめぐり、市民から多くの意見や問い合わせが寄せられている。佐賀市は2026年5月1日、公式ホームページ上で「佐賀市内におけるモスク設置に関するお問い合わせについて」とする資料を公表し、市としての基本的な考え方と、これまで寄せられた質問への回答を示した。
市は、宗教施設の設置そのものについては、日本国憲法が保障する信教の自由に関わるため、行政が可否を判断するものではないと説明。一方で、建築物としての設置については、建築基準法や都市計画法など関係法令に基づき、公平かつ適切に審査するとしている。
新人記者ナルカ


佐賀市のモスク設置問題とは
- 公表日:2026年5月1日
- 対象:佐賀市内におけるモスク設置に関する問い合わせ
- 公表主体:佐賀市
- 主な論点:宗教施設の設置可否、建築許可、住民説明会、周辺環境、治安、学校生活、多文化共生
- 市の対応:市の基本的な考え方と個別質問への回答を公式ホームページに掲載
- 今後の対応:重複する問い合わせについては、掲載資料をもって回答とし、個別回答は差し控える方針
経緯・時系列
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年5月1日 | 佐賀市が「ご意見・お問い合わせ」ページを更新し、モスク設置に関する市の考え方を掲載 |
| 2026年5月1日 | 佐賀市がPDF資料「佐賀市内におけるモスク設置に関するお問い合わせについて」を公表 |
| 2026年5月2日 | 佐賀市議会議員のみくりや洋行氏が、選挙ドットコム上で市の対応内容を紹介 |
佐賀市の基本方針は「宗教の自由」と「法令審査」
佐賀市は、宗教に関する活動は日本国憲法により信教の自由が保障されているため、宗教施設の設置そのものについて市が可否を判断するものではないと説明している。
その一方で、モスクも建築物である以上、設置にあたっては関係法令に基づく審査や手続きが必要になる。市は、建築基準法や都市計画法などに基づき、法令に則って公平かつ適切に対応するとしている。
| 論点 | 佐賀市の考え方 |
|---|---|
| 宗教施設そのものの可否 | 信教の自由が保障されているため、市が設置の可否を判断するものではない |
| 建築物としての扱い | 建築基準法・都市計画法など関係法令に基づき審査 |
| 周辺環境への影響 | 関係法令に基づき対応し、必要に応じて事業者へ配慮を求める |
| 市民からの問い合わせ | 市の考え方をホームページに掲載し、重複する個別回答は差し控える |
住民説明会は義務ではないが、調整は求める方針
市の回答で注目されるのは、住民説明会に関する部分だ。佐賀市は、建築計画に伴う住民説明会について、建築基準法や都市計画法には規定がないと説明している。
ただし、市は規定がない場合であっても、必要に応じて事業者などに対し、住民説明会を開催し、近隣住民との調整を図るよう求めるとしている。これは、法令上の義務と、地域社会での納得形成を分けて整理したものといえる。






土葬・騒音・治安への回答も公表
市民からは、土葬による衛生面、モスクによる騒音、外国人増加による治安悪化などへの不安も寄せられている。
佐賀市は、遺体については許可された墓地以外に埋葬することはできず、新規墓地の設置には市の許可と条例上の基準を満たす必要があると説明した。また、騒音については、騒音規制法や佐賀県の拡声器に関する条例の対象となる場合、周辺住民の意見を伺いながら、関係機関と協力して対応するとしている。
治安面については、市は「外国人であるかどうかに関わらず、犯罪行為に対しては警察により法令に基づいた適切な対応が行われている」とし、警察や関係機関と連携して防犯対策に取り組むと説明している。
| 市民の不安 | 市の回答要旨 |
|---|---|
| 土葬による衛生面 | 許可された墓地以外への埋葬は不可。新規墓地設置には市の許可と条例上の基準が必要 |
| モスクによる騒音 | 騒音規制法や県条例の対象となる場合、関係機関と協力して指導 |
| 外国人増加による治安悪化 | 犯罪は国籍を問わず警察が法令に基づき対応。市は防犯対策に取り組む |
| 交通ルール違反 | 違法駐車などは警察が指導・取り締まり。市は交通安全啓発を進める |
| 学校での礼拝や給食対応 | 礼拝場所は現在要望なし。給食は各学校や給食センターの実情に応じ個別対応 |
背景にある佐賀県の外国人住民増加
佐賀県の資料によると、県内の在留外国人数は2025年1月1日現在で1万1175人となっている。2016年の4543人から約2.5倍に増えており、外国人住民の増加は県内でも明確な傾向となっている。
| 年 | 佐賀県の在留外国人数 |
|---|---|
| 2016年 | 4543人 |
| 2020年 | 7205人 |
| 2024年 | 9601人 |
| 2025年 | 1万1175人 |
国籍別では、2025年1月1日現在でベトナムが26%、インドネシアが19%、ネパールが12%、ミャンマーが10%、中国が9%などとなっている。就労や就学を目的とした外国人住民が増える中で、宗教、生活習慣、地域ルールをめぐる調整は今後も各地で課題になり得る。
クロ助とナルカの視点


















賛否・中立の見方
| 立場 | 主な見方 |
|---|---|
| 肯定的な見方 | 信教の自由は憲法で保障されており、宗教施設であることを理由に行政が排除することはできない。外国人住民が地域社会で安定して暮らすための宗教的拠点も必要という考え方。 |
| 慎重な見方 | 騒音、交通、周辺環境、生活習慣の違いに対する不安は軽視できない。住民説明会や利用ルールの明確化がなければ、地域の不信感が強まる可能性がある。 |
| 中立的な見方 | 宗教の自由と地域の安心は対立させるべきではない。行政は法令審査を厳格に行い、事業者は地域説明と生活ルールの共有を進める必要がある。 |
編集部でまとめ
- 事実確認:佐賀市は2026年5月1日、市内のモスク設置に関する基本的な考え方と問い合わせへの回答を公式資料として公表した。
- 行政判断:市は、宗教施設そのものの可否は信教の自由に関わるため判断しない一方、建築物としては関係法令に基づき審査するとしている。
- 地域課題:住民説明会、騒音、交通、衛生、治安などの不安には、事業者の説明責任と行政の継続的な監督が必要になる。
- 国益的示唆:外国人住民の増加が進む地域では、多文化共生を掲げるだけでなく、日本人住民の生活環境と安心を守る制度運用が不可欠である。











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