日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は2026年7月2日、「反動政権、排外主義に反対する運動のあり方について」と題する論文を掲載し、反排外主義運動などにおける「暴力行為を連想させるようなパフォーマンス」について、党として許容できないとの見解を示した。
産経新聞は、党員を含むグループが高市早苗首相、トランプ米大統領、ネタニヤフ・イスラエル首相の似顔絵を標的にした「射的」ゲームを行ったことを指しているとみられる、と報じている。これにより、反差別・反排外主義を掲げる市民運動のあり方、政治的抗議表現の限界、暴力を想起させる演出の是非が改めて議論となっている。
外国人問題や移民政策をめぐる国内議論では、排外主義への批判と、国民生活・治安・制度運用への懸念がしばしば対立的に語られる。しかし、どの立場であっても、政治的主張を暴力的な表現と結び付ければ、社会的な信頼を損ない、冷静な政策論議を遠ざけるおそれがある。
新人記者ナルカ


何が報じられたのか
産経新聞は2026年7月2日、共産党機関紙「しんぶん赤旗」が同日付で掲載した論文について、「しばき隊」的活動と絶縁したものだと報じた。報道によると、問題視されたのは、党員を自称する女性が6月15日にXへ投稿したとされる「射的」の様子であり、高市早苗首相、トランプ米大統領、ネタニヤフ・イスラエル首相の似顔絵が標的にされていたとされる。
このグループは、JR新宿駅東南口広場などで差別反対や戦争反対を訴えているとされ、産経新聞は、活動スタイルについて、かつて存在した反差別集団「レイシストをしばき隊」の系譜にあるとの指摘があると伝えている。
ただし、「しばき隊的活動」という表現は産経新聞による見出し・評価であり、赤旗の論文本文ではその語は確認できない。本記事では、赤旗が公式に示した範囲と、産経新聞が報じた周辺情報を分けて整理する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載日 | 2026年7月2日 |
| 媒体 | しんぶん赤旗、日本共産党公式サイト |
| 論文名 | 反動政権、排外主義に反対する運動のあり方について |
| 主な論点 | 反排外主義運動における暴力連想表現の是非 |
| 報道上の焦点 | 首脳の似顔絵を標的にした「射的」パフォーマンスをめぐる議論 |
| 注意点 | 「しばき隊的活動」は赤旗本文の表現ではなく、産経新聞の報道表現 |
赤旗論文は何を述べたのか
しんぶん赤旗の論文は、高市政権や「極右・排外主義」に反対する運動のあり方をめぐり、SNSを中心に議論が起きているとして、日本共産党の見解を示したものである。
論文は、市民が政治や排外主義に対して怒りを表明し、抗議することについて、憲法が保障する表現の自由が尊重されるべきだとした。一方で、日本共産党は、社会進歩の事業を暴力ではなく平和的手段で進める党であり、党規約上も市民道徳と社会的道義を守ることを掲げていると説明している。
そのうえで、党員が「暴力行為を連想させるようなパフォーマンス」を行ったり、それを支持したりすることは、党綱領、党規約、中央委員会総会の決定と相いれず、党への信頼を傷つける行為であり、党として許容できないとした。
赤旗論文は、反排外主義運動について、道理と節度をもって発展し、国民多数の理解・共感・支持を得ることが重要だと強調している。
政治的抗議と暴力連想表現の境界線
民主社会では、政治家や政権に対する批判、反戦運動、差別反対運動、移民政策への抗議はいずれも重要な表現活動である。政府や政治家への批判を萎縮させるべきではない。
一方で、政治家の似顔絵を標的にする「射的」など、暴力行為を連想させる演出は、抗議表現としての正当性とは別に、社会的な受け止め方の問題を生む。特に、首相や外国首脳を標的に見立てる表現は、政治的暴力を肯定していると誤解されやすい。
共産党が今回、赤旗論文で「許容できない」と明示したことは、反排外主義や反戦を掲げる運動であっても、暴力を想起させる手法には線を引くという意味を持つ。これは、政治的立場を問わず、街頭活動やSNS発信に求められる最低限の節度ともいえる。
「反排外主義」と「国民生活への懸念」は両立する
外国人受け入れをめぐる議論では、「差別反対」と「制度への懸念」が対立して扱われがちである。しかし、本来この二つは両立する。
外国人住民への差別や暴力的排斥は許されない。同時に、不法滞在、在留資格の悪用、外国人労働制度の不備、地域社会への負担、治安・防犯上の論点を議論することまで封じるべきではない。
反排外主義を掲げる運動が社会的支持を得るには、日本国民の生活不安や地域社会の実感を軽視しないことが必要である。逆に、外国人政策への批判を行う側も、個別事件や制度問題を根拠に、特定国籍や外国人全体を危険視する表現を避けなければならない。
政治運動に求められる説明責任
街頭運動やSNS発信は、少数の強い言葉や過激な演出が拡散されやすい。参加者本人は冗談や風刺のつもりでも、映像や画像だけが切り取られれば、暴力的な印象が残る。
特に政党関係者や党員を名乗る人物が関与した場合、個人の表現であっても、政党全体の姿勢と受け止められやすい。今回の赤旗論文は、共産党がそのリスクを認識し、党員の行動基準として一定の線引きを示したものといえる。
外国人問題、移民政策、排外主義批判をめぐる運動は、今後も各地で続く可能性がある。そのなかで問われるのは、相手を威圧する演出ではなく、国民多数に届く言葉と、事実に基づく政策論議である。
賛成・反対・中立の視点
共産党の線引きを評価する視点
政治的立場を問わず、暴力を連想させるパフォーマンスは社会的支持を失う。共産党が党として許容できないと明示したことは、反排外主義運動の信頼回復や、街頭運動の節度を保つうえで必要な対応だという見方がある。
表現の自由への萎縮を懸念する視点
政治批判や風刺表現は民主社会に不可欠であり、過度に萎縮させれば権力批判が弱まるとの懸念もある。特に反戦運動や差別反対運動では、怒りの表現が一定程度強くなることは避けられないという意見がある。
中立的な視点
問題は政治批判そのものではなく、暴力を想起させる表現が国民多数の理解を得られるかどうかである。表現の自由は守られるべきだが、政党関係者や市民運動が社会的信頼を得るには、相手を脅すように見える演出を避け、政策論点に集中することが現実的である。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 赤旗論文の要点:日本共産党は、反排外主義運動などにおける暴力行為を連想させるパフォーマンスについて、党として許容できないとの見解を示した。
- 報道上の焦点:産経新聞は、首相や外国首脳の似顔絵を標的にした「射的」ゲームをめぐる対応だと報じた。
- 社会的論点:政治批判や反差別運動は表現の自由として尊重されるべきだが、暴力を想起させる演出は国民多数の理解を得にくい。
- 外国人問題との関係:排外主義への反対と、外国人政策への制度的懸念は両立する。双方が威圧的・攻撃的表現を避け、事実と制度に基づく議論を行う必要がある。
出典













コメント