群馬県伊勢崎市の県道で、無免許のまま乗用車を運転して追突事故を起こし、相手車両の助手席に乗っていた女性にけがを負わせたとして、群馬県警伊勢崎署は2026年7月20日、パキスタン国籍の64歳の男を自動車運転処罰法違反(無免許過失傷害)の疑いで現行犯逮捕した。
上毛新聞の報道によると、逮捕されたのは、伊勢崎市に住むパキスタン国籍で自動車販売業の男(64)。男は20日午後0時30分ごろ、伊勢崎市内の県道境木島大間々線で乗用車を運転し、前方で減速した同市の男性(46)が運転する乗用車に衝突した疑いが持たれている。
この事故で、男性の車の助手席に乗っていた妻(46)が軽傷を負った。男性が110番通報し、駆け付けた警察官が男の運転資格などを確認した結果、無免許運転が判明したとみられる。
男は警察の調べに対し、「人身事故を起こしたことは認めるが、パキスタンの運転免許があるので運転できると思った」と供述し、容疑を一部否認しているという。
外国で取得した運転免許証を持っていても、それだけで日本国内を運転できるわけではない。日本の運転免許証、一定の国・地域が発給した有効な国際運転免許証、または政令で定められた外国免許証と日本語翻訳文など、道路交通法上の条件を満たす必要がある。
新人記者ナルカ


事件の概要
- 発生日時:2026年7月20日午後0時30分ごろ
- 発生場所:群馬県伊勢崎市内の県道境木島大間々線
- 逮捕容疑:自動車運転処罰法違反(無免許過失傷害)の疑い
- 逮捕者:パキスタン国籍、伊勢崎市在住、自動車販売業の男(64)
- 事故の状況:前方で減速した乗用車に男の車が衝突
- 被害者:相手車両の助手席に乗っていた46歳女性
- 被害の程度:軽傷
- 通報:相手車両を運転していた46歳男性が110番通報
- 逮捕形態:現行犯逮捕
- 供述:「人身事故を起こしたことは認めるが、パキスタンの運転免許があるので運転できると思った」
- 認否:事故の発生は認め、無免許運転の認識について一部否認
報道では、相手の男性が前方で減速した理由、男がどの程度の車間距離を取っていたか、ブレーキ操作をしたか、双方の車両の損傷状況などは明らかになっていない。
また、男が提示したとされるパキスタンの運転免許証の種類、有効期限、国際運転免許証の有無、日本の免許への切り替え手続きを行ったことがあるかどうかも公表されていない。
時系列で見る事故と逮捕
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年7月20日午後0時30分ごろ | 伊勢崎市内の県道境木島大間々線で、男が運転する乗用車が前方で減速した車に衝突したとされる。 |
| 事故直後 | 相手車両を運転していた46歳男性が110番通報。 |
| 警察到着後 | 助手席の46歳女性が軽傷を負っていることを確認。運転者の免許確認などを実施したとみられる。 |
| 同日 | 伊勢崎署が、パキスタン国籍の64歳男を無免許過失傷害の疑いで現行犯逮捕。 |
| 取り調べ | 男は事故を認める一方、「パキスタンの運転免許があるので運転できると思った」と供述し、容疑を一部否認。 |
無免許過失傷害とは
今回の逮捕容疑は、自動車運転処罰法違反の「無免許過失傷害」と報じられている。
自動車運転処罰法は、自動車の運転上必要な注意を怠り、人を死傷させた場合の過失運転致死傷を定めている。さらに、その行為を無免許で行った場合には刑が加重される。
一般的な過失運転致傷では、運転者が前方注視、車間距離の保持、速度調整、ブレーキ操作などの注意義務を怠ったかどうかが問題となる。
本件では、前方で減速した車に衝突したとされているため、警察は、男が安全な車間距離を確保していたか、前方の交通状況を注視していたか、適切な制動操作を行ったかなどを調べるとみられる。
加えて、日本で有効な運転免許を持っていなかったと判断されたことから、無免許運転による加重類型が適用されたと考えられる。
外国の運転免許証だけで日本を運転できるのか
外国で発給された国内運転免許証を持っているだけでは、原則として日本国内を運転することはできない。
外国人が日本で自動車を運転する主な方法は、次の3つに分けられる。
| 運転資格 | 主な条件 |
|---|---|
| 日本の運転免許証 | 日本の運転免許試験に合格するか、外国免許からの切り替え手続きを行い、日本の公安委員会から交付を受ける。 |
| 国際運転免許証 | ジュネーブ条約締約国などが発給し、条約に定められた様式に合致していること。有効期間と日本への上陸日からの期間も条件となる。 |
| 一定の外国運転免許証 | 道路交通法令で認められた一部の国・地域の免許証に、政令で定める者が作成した日本語翻訳文を添付する。 |
「母国で有効な免許証を持っている」「運転経験が長い」「自動車販売業をしている」といった事情だけでは、日本での運転資格にはならない。
日本で使える国際運転免許証の条件
警察庁や警視庁によると、日本で運転に使用できる国際運転免許証は、原則としてジュネーブ条約締約国が発給し、同条約に定められた様式に合致するものでなければならない。
国際運転免許証という名称が書かれていても、ウィーン条約様式など、日本が認めていない方式で発給されたものでは運転できない場合がある。
さらに、国際運転免許証で日本国内を運転できる期間は、次のうち短い方とされる。
- 国際運転免許証の発給日から1年間
- 日本へ上陸した日から1年間
住民基本台帳に記録されている人が短期間だけ出国し、外国で新たな国際運転免許証を取得して再入国しても、出国期間が3カ月未満の場合は、再入国日が新たな起算日にならないことがある。これは、いわゆる「3カ月ルール」と呼ばれる。
したがって、書類自体の有効期限が残っていても、日本国内での運転可能期間が終了していれば無免許運転となる可能性がある。
パキスタン免許を持っていたという供述の意味
男は「パキスタンの運転免許があるので運転できると思った」と供述している。この供述は、無免許であることを知らなかった、または日本でも有効だと誤解していたという主張とみられる。
しかし、道路交通法上の無免許運転については、単に「母国の免許があると思っていた」という事情だけで直ちに責任を免れるとは限らない。
捜査では、次の点が確認される可能性がある。
- 男が実際に所持していた免許証の種類
- パキスタンの国内免許証の有効期限
- 国際運転免許証を所持していたか
- 国際運転免許証の発給国と様式
- 日本へ上陸した日
- 日本国内での居住期間
- 過去に日本の免許取得や外国免許切り替えを申請したか
- 警察や行政から運転資格について説明を受けたことがあるか
- 過去に交通違反や免許確認を受けたことがあるか
一部否認をどう読むべきか
男は「人身事故を起こしたことは認める」と供述しているため、車を運転し、衝突事故を起こした事実については争っていないとみられる。
一方、「パキスタンの運転免許があるので運転できると思った」と述べていることから、無免許運転の認識、つまり日本で有効な免許がないことを知っていたかどうかについて争う趣旨と考えられる。
刑事事件では、次の点を区別して報じる必要がある。
- 男が車を運転したこと
- 前方車両へ衝突したこと
- 女性に軽傷を負わせたこと
- 日本で有効な運転資格がなかったこと
- 男が無免許状態を認識していたこと
現行犯逮捕となった理由
男は事故当日に現行犯逮捕された。交通事故の現場で運転者の免許を照会し、日本で有効な運転免許が確認できず、負傷者がいた場合、無免許過失傷害の疑いが現場で明らかになることがある。
現行犯逮捕は、有罪が確定したことを意味しない。警察は逮捕後、免許資料、出入国記録、事故状況、診断書などを確認し、検察へ送致する。検察は、証拠や本人の供述を踏まえて、起訴・不起訴を判断する。
自動車販売業者としての安全管理
逮捕された男の職業は自動車販売業と報じられている。
自動車販売業では、仕入れ車両の移動、試運転、納車、展示場内外の移動など、業務で車を運転する機会が多い。本人だけでなく、従業員や顧客の運転免許を適切に確認することが求められる。
事業者としては、次のような管理が必要となる。
- 運転する本人の日本で有効な免許証を確認する
- 免許証の有効期限と運転可能車種を確認する
- 国際運転免許証の場合は様式、発給日、上陸日を確認する
- 外国免許のみを所持する従業員には外免切替を案内する
- 無免許者に業務車両や商品車を運転させない
- 試乗者の免許証を確認し、記録を残す
- 自賠責保険、任意保険の運転者条件を確認する
無免許事故と保険の問題
交通事故では、被害者の治療費や慰謝料、車両修理費などの賠償が問題となる。
自賠責保険は被害者救済を目的としており、運転者が無免許だった場合でも、直ちに被害者への補償が全て失われるとは限らない。一方、任意保険では契約内容や事故状況により、保険会社が運転者本人へ求償するなどの問題が生じる可能性がある。
今回、男が運転していた車の所有者、自賠責保険や任意保険への加入状況、被害女性への補償状況は報じられていない。
被害女性が軽傷と報じられていても、事故後に痛みが増したり、通院が必要になったりする場合がある。警察の捜査とは別に、治療費、休業損害、慰謝料などの損害賠償手続きが進められることになる。
外国人運転者への免許制度周知
今回の事件はパキスタン国籍の男による個別事件であり、パキスタン人や外国人全体を無免許運転と結び付ける根拠にはならない。
一方、外国人住民が増加し、仕事や生活で自動車を利用する機会が広がる中、外国免許と日本で有効な運転資格の違いを多言語で周知する必要性は高い。
特に注意すべき誤解には、次のようなものがある。
- 母国の免許証があれば日本でも運転できる
- 国際運転免許証と書かれていれば全て有効である
- 有効期限内なら上陸から1年を超えても運転できる
- 一度出国すれば運転可能期間が自動的にリセットされる
- 外国免許の写真やコピーを携帯すればよい
- 短距離や仕事中なら無免許でも問題ない
自治体、外国人雇用企業、登録支援機関、自動車販売店、レンタカー会社、保険会社は、外国人が車を取得・使用する段階で、日本で有効な免許証を確認する仕組みを整える必要がある。
車の購入時に免許確認は義務なのか
一般に、自動車の購入や所有と、運転免許の保有は別の制度である。運転免許を持たない人でも、車両を購入・所有すること自体は可能である。
そのため、自動車販売店が車を売っただけで、購入者の無免許運転について直ちに責任を負うわけではない。
しかし、販売店側が無免許と知りながら試乗や納車運転をさせた場合、車両提供の責任が問題となる可能性がある。特に外国人顧客へ販売する際は、「母国免許だけでは運転できない場合がある」と説明し、有効な免許を確認することが事故防止につながる。
再発防止に必要な対策
同様の無免許事故を防ぐため、次の対応が考えられる。
- 外国人住民向けに免許制度を多言語で案内する
- 車両購入・保険加入・車検時に運転資格を再確認する
- 外国免許切り替えの手続きを案内する
- 国際運転免許証の様式と有効期間を警察窓口で確認する
- 事業者が従業員の免許証原本を定期確認する
- 免許期限を一覧で管理し、更新前に通知する
- 「母国免許があるから大丈夫」という自己判断で運転しない
賛成・反対・中立の視点
厳正な処分を求める視点
日本で有効な免許を持たないまま車を運転し、実際に人へけがを負わせた疑いがある以上、「母国の免許で運転できると思った」という主張だけで責任を軽くすべきではない。自動車販売業として車を扱う立場だったことも踏まえ、厳正な捜査と処分を求める立場である。
故意の有無を慎重に確認する視点
男が有効だと誤信するに至った経緯、所持していた免許証、行政や第三者から受けた説明を確認し、単なる弁解なのか、制度上の誤解があったのかを証拠に基づいて判断すべきだという考え方である。
制度周知と事業者管理を重視する中立的視点
処罰だけでなく、外国人住民、自動車販売業者、雇用企業に対して、国際運転免許証の様式、有効期間、3カ月ルール、外免切替を周知する必要がある。免許確認を個人任せにせず、車両を扱う事業者側でも確認する仕組みを整える立場である。
クロ助とナルカの視点
























編集部まとめ
- 事件の要点:伊勢崎市の県道で、無免許運転中に前方車両へ衝突し、助手席の女性へ軽傷を負わせた疑いで、パキスタン国籍の64歳男が現行犯逮捕された。
- 容疑者の主張:男は人身事故を認める一方、「パキスタンの運転免許があるので運転できると思った」と述べ、無免許の認識を一部否認している。
- 免許制度:外国の国内免許証を持っているだけでは、日本国内を運転できない。日本の免許、有効な国際運転免許証、一定の外国免許と翻訳文などの条件が必要となる。
- 不明点:男が国際運転免許証を持っていたか、免許の様式、有効期限、上陸時期、警察が無免許と判断した具体的理由は報道されていない。
- 今後の焦点:事故の過失、女性のけが、男の運転資格、無免許状態への認識、保険と被害弁償の状況が捜査・司法手続きで確認される。
- 再発防止:外国人本人への多言語案内だけでなく、自動車販売店、雇用企業、保険会社などが日本で有効な免許を確認する仕組みが必要である。
出典
- 上毛新聞「無免許運転で衝突事故、けが負わせた疑いでパキスタン国籍男を逮捕 群馬県警伊勢崎署」2026年7月
- 警察庁「運転免許に関するQ&A」国際運転免許証・外国運転免許証で運転できる期間
- 警視庁「外国で取得した国際運転免許証で日本国内を運転するには」
- 警視庁「ジュネーブ条約締約国等に関する情報」
- 警視庁「外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切り替えるには」
- e-Gov法令検索「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」
- e-Gov法令検索「道路交通法」













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