埼玉県本庄市の民家で大麻草を営利目的で所持したとして、兵庫県警国際捜査課と加西署などは2026年7月16日、麻薬取締法違反の疑いで、いずれもベトナム国籍で住所不定・無職の男2人を現行犯逮捕した。逮捕されたのは31歳と25歳の男で、兵庫県警は2人を薬物密売グループの一員とみて捜査している。
神戸新聞の報道によると、2人は本庄市の民家で袋に入った大麻草を所持した疑いが持たれている。31歳の男は「見つかった大麻草は25歳の男の物」、25歳の男は「一緒に住んでいただけで関係ない」と話し、いずれも容疑を否認しているという。現時点では大麻草の押収量や末端価格、販売先、在留資格などは明らかにされておらず、密売グループとの関係も県警が捜査している段階である。
新人記者ナルカ


事件の概要
- 逮捕日:2026年7月16日
- 捜索・発見場所:埼玉県本庄市の民家
- 容疑:麻薬取締法違反(営利目的所持)の疑い
- 逮捕者:ベトナム国籍で住所不定・無職の男2人(31歳、25歳)
- 押収物:袋に入った大麻草
- 県警の見立て:薬物密売グループの一員とみて捜査
- 31歳の男の供述:「見つかった大麻草は25歳の男の物」として容疑を否認
- 25歳の男の供述:「一緒に住んでいただけで関係ない」として容疑を否認
兵庫県警国際捜査課と加西署などは、7月16日早朝に本庄市の民家を捜索した。民家から袋に入った大麻草が見つかり、現場にいたとみられる2人を営利目的所持の疑いで現行犯逮捕した。
ただし、逮捕は有罪が確定したことを意味しない。2人は所持への関与を否定しており、今後は大麻草が置かれていた場所、住居の使用実態、所持を認識していたか、販売を目的として管理していたか、第三者からの指示や資金の流れがあったかなどが捜査の焦点になる。
時系列で見る捜査の経緯
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年11月~2026年1月 | 兵庫県加西市北条町の民家で男性に暴行を加え、現金10万円を奪ったとして、ベトナム国籍の20~30代の男4人が強盗致傷の疑いで逮捕された。 |
| 強盗致傷事件の捜査過程 | 逮捕された4人のうち1人が覚醒剤を所持していたことが判明。兵庫県警が覚醒剤の購入先を捜査した。 |
| 購入先の追跡 | 埼玉県本庄市の民家が薬物密売の拠点として浮上したとされる。 |
| 2026年7月16日早朝 | 兵庫県警が本庄市の民家を捜索し、袋に入った大麻草を発見した。 |
| 同日 | ベトナム国籍の男2人を麻薬取締法違反(営利目的所持)の疑いで現行犯逮捕した。 |
強盗致傷事件から薬物密売拠点の捜索へ
今回の逮捕は、単独の大麻所持事件として始まったものではない。発端は、兵庫県加西市で発生した強盗致傷事件だった。兵庫県警は、民家で男性に暴行を加えて現金10万円を奪ったとして、ベトナム国籍の男4人を逮捕していた。
そのうち1人が覚醒剤を所持していたため、警察は薬物の購入先を捜査した。薬物事件では、所持者だけを摘発しても供給網が残れば別の購入者へ販売が続く可能性がある。このため、購入履歴、通信記録、送金、受け渡し場所、関係者の移動などを確認し、供給側へ捜査を広げることが重要となる。
今回、兵庫県警の捜査が県境を越えて埼玉県本庄市に及んだことは、薬物の仕入れ、保管、販売が一つの地域だけで完結していない可能性を示している。県警は本庄市の民家を「薬物密売の拠点」とみているが、誰が拠点を管理し、どの薬物を、どの地域へ、どの程度流通させていたのかは今後の捜査で確認される。
「営利目的所持」とは何が違うのか
今回の容疑は、単なる大麻草の所持ではなく「営利目的所持」とされている。営利目的とは、自分で使用するためだけではなく、販売や譲渡などによって利益を得る目的で所持していたと判断される場合を指す。
営利目的の有無は、大麻草の量だけで自動的に決まるものではない。小分けされた袋、計量器、販売記録、顧客とのメッセージ、現金、送金履歴、梱包資材、複数種類の薬物など、周辺証拠を総合して判断される。今回の報道では押収量や関連物品は公表されていないため、兵庫県警がどの証拠から営利目的を認定したのかは現時点で不明である。
大麻の所持に関する主な罰則
| 違反態様 | 主な罰則 |
|---|---|
| 単純所持・譲渡・譲受 | 7年以下の拘禁刑 |
| 営利目的の所持・譲渡・譲受 | 1年以上10年以下の拘禁刑、情状により300万円以下の罰金、またはその両方 |
| 単純施用(使用) | 7年以下の拘禁刑 |
| 営利目的の輸出入・製造 | 1年以上の有期拘禁刑、情状により500万円以下の罰金、またはその両方 |
政府広報オンラインによると、2024年12月12日から大麻は「麻薬及び向精神薬取締法」による規制へ移行し、単純所持の法定刑も従来の5年以下から7年以下の拘禁刑へ引き上げられた。営利目的所持は、薬物の流通と利益獲得につながる行為として、単純所持より重い罰則が設けられている。
なぜ「大麻取締法」ではなく「麻薬取締法」なのか
大麻事件について、以前は「大麻取締法違反」と報じられるのが一般的だった。しかし法改正により、2024年12月12日から大麻の所持、譲渡、譲受、使用などは「麻薬及び向精神薬取締法」の規制対象となった。
旧大麻取締法は「大麻草の栽培の規制に関する法律」へ名称が変わり、主に栽培免許や大麻草の管理を規定する法律となった。一方、大麻や基準値を超えるTHCを含む製品の不正な所持、譲渡、使用などは、麻薬として取り締まられる。今回の報道で「麻薬取締法違反」と表記されているのは、この制度変更によるものだ。
また、法改正によって大麻の不正な使用も処罰対象となった。ただし、医薬品として承認され、医師から処方された大麻草由来医薬品まで違法になったわけではない。医療上の正規利用と、無許可の所持・使用・流通は明確に区別する必要がある。
2025年の大麻事犯は過去最多
警察庁の「令和7年における組織犯罪の情勢」によると、2025年の大麻事犯の検挙人員は6,832人で、前年より754人増加し過去最多となった。このうち外国人は527人で、全体の7.7%だった。
違反態様別では所持事犯が5,354人と最も多く、施用事犯700人、密輸入事犯192人、譲渡事犯180人、栽培事犯126人、譲受事犯103人と続く。年齢別では20歳代が3,633人、20歳未満が1,373人で、20歳代以下が全体の73.3%を占めた。
ただし、これらは全国の検挙統計であり、今回逮捕された2人の所属組織、国籍別の犯罪率、在留外国人全体の傾向を直接示すものではない。外国人527人という数字にも、国籍、在留資格、居住期間、事件類型の違いが含まれている。個別事件の事実と統計上の傾向を混同しないことが必要である。
薬物密売グループの捜査で確認される点
供給元と販売先
薬物密売事件では、押収された大麻草がどこから持ち込まれたのか、国内栽培品なのか、海外から密輸されたものなのか、別の中継拠点を経由したのかが調べられる。販売先についても、対面取引、SNS、匿名性の高い通信アプリ、宅配便など、どの方法が使われていたかが焦点となる。
役割分担と資金の流れ
グループ型の犯罪では、仕入れ、保管、小分け、運搬、販売、集金、送金などの役割が分かれている場合がある。現場で大麻草が見つかっただけでは、誰が所有・管理していたか、誰が販売を指示したかまでは確定しない。このため、携帯電話の解析、金融口座、現金、車両、住居の契約関係などを通じて、指示系統と犯罪収益の流れを解明する必要がある。
複数の薬物が同じ供給網で扱われていたか
今回の捜査は、強盗致傷事件で逮捕された人物の覚醒剤所持を端緒としている一方、本庄市の民家で見つかったのは大麻草だった。覚醒剤と大麻草が同じ人物や組織によって販売されていたのか、別の供給者が同じ場所を利用していたのかは重要な確認点になる。
県境を越える薬物犯罪への対応
兵庫県内の事件から埼玉県内の拠点疑いへ捜査が広がった今回の事案は、都道府県単位の捜査だけでは薬物供給網の全体像を把握しにくいことを示している。密売グループが複数地域を移動し、短期間だけ民家や集合住宅を保管場所として利用すれば、地域住民からは実態が見えにくい。
対策には、都道府県警間の情報共有、税関や麻薬取締部との連携、通信・金融情報の分析、犯罪収益の没収が欠かせない。外国人が関係する組織事件では、国際捜査部門が言語、海外送金、国外の関係者、偽造身分書類などを確認する場合もある。ただし、今回の2人の在留資格や国際的な供給網の存在は報じられておらず、推測で補うべきではない。
取り締まりと制度改善の論点
密売網の上流まで追うべきとの視点
薬物所持者の摘発だけでは、供給元や販売網が残る可能性がある。今回のように購入先を追跡し、県境を越えて拠点を捜索する捜査は、薬物の流通を止めるうえで重要である。押収物だけでなく、指示役、資金管理者、密輸ルート、犯罪収益まで解明し、組織全体を摘発することが求められる。
容疑段階の権利を守るべきとの視点
2人はいずれも容疑を否認している。共同生活をしていたことと、室内にあった違法薬物を認識し管理していたことは同じではない。営利目的所持を立証するには、本人と押収物の結び付き、販売目的、共謀関係を証拠によって示す必要があり、国籍や同居関係だけで判断してはならない。
地域・行政・捜査機関の連携を重視する視点
薬物拠点として使われる住宅は、短期賃貸、名義貸し、又貸し、空き家などが悪用される可能性がある。貸主や不動産事業者に過度な監視責任を負わせるのではなく、不審な契約や違法行為を把握した場合に警察へ相談できる仕組み、本人確認の適正化、犯罪収益移転防止の運用を進める必要がある。
クロ助とナルカの視点


















編集部まとめ
- 事件の要点:埼玉県本庄市の民家で大麻草を営利目的で所持した疑いで、ベトナム国籍の男2人が現行犯逮捕された。兵庫県警は薬物密売グループの一員とみている。
- 捜査の経緯:兵庫県加西市の強盗致傷事件で逮捕された人物から覚醒剤が見つかり、購入先を追跡した結果、本庄市の民家が密売拠点として浮上した。
- 法制度上の論点:2024年12月12日以降、大麻の所持や使用は麻薬及び向精神薬取締法で規制されている。営利目的所持は1年以上10年以下の拘禁刑などの重い罰則対象となる。
- 今後の焦点:押収された大麻草の量と入手先、販売先、2人の認識と役割、覚醒剤と大麻草の供給網、指示役や犯罪収益の有無が確認される。
- 報道上の原則:2人はいずれも容疑を否認している。薬物密売グループとの関係は捜査段階であり、逮捕事実と有罪認定を区別する必要がある。
出典
- 神戸新聞NEXT「大麻草を所持した容疑、ベトナム国籍の男2人を逮捕 薬物密売グループの一員か 兵庫県警」2026年7月16日
- 政府広報オンライン「大麻の所持・譲渡、使用、栽培は禁止!法改正の内容も紹介します」
- 厚生労働省「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の施行に関する案内
- e-Gov法令検索「麻薬及び向精神薬取締法」
- 警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」2026年













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