客に販売する目的で、糖尿病治療薬「マンジャロ」を必要な許可なく保管していたとして、フィリピン国籍の女が医薬品医療機器等法違反の疑いで逮捕された。
山陰放送/TBS NEWS DIGによると、逮捕されたのは、広島県に住むフィリピン国籍の自営業の女(52)。2026年6月1日、自身が経営する島根県浜田市のマッサージ店で、マンジャロ3本を販売目的で保管していた疑いが持たれている。
女は容疑を認めているとされ、警察は、複数の客に1本1万円でマンジャロを販売した、または販売しようとしていた形跡があるとして捜査している。女は同年6月にも、無資格で客の顔にヒアルロン酸とみられる液体を注入し、まつげエクステを施術したとして、医師法違反と美容師法違反の疑いで逮捕されていた。
新人記者ナルカ


事件の概要
- 逮捕日:2026年7月13日
- 保管が確認されたとされる日:2026年6月1日
- 場所:島根県浜田市にある容疑者経営のマッサージ店
- 容疑:医薬品医療機器等法違反の疑い
- 逮捕者:フィリピン国籍、広島県在住、自営業の女(52)
- 押収・保管品:糖尿病治療薬「マンジャロ」3本
- 警察の見立て:複数の客に1本1万円で販売した、または販売しようとした形跡があるとして捜査
- 認否:報道によると「私がやったことに間違いありません」と容疑を認めている
- 先行事件:無資格でヒアルロン酸とみられる液体を客の顔に注入し、まつげエクステを施術した疑いで2026年6月に逮捕
マンジャロは、成分名をチルゼパチドとする週1回投与の注射薬で、日本では2型糖尿病を効能・効果として承認された医療用医薬品である。近年は体重減少作用が注目され、糖尿病治療とは異なるダイエット目的での利用や、SNSなどを通じた個人間売買が社会問題となっている。
厚生労働省は2026年6月の大臣会見で、マンジャロの個人間売買は一般に違法であると説明し、SNSを含むネットパトロールを強化する方針を示している。また、日本で承認されているマンジャロの効能・効果は2型糖尿病であり、それ以外の目的で使用した場合の安全性と有効性は確認されていないとして、適正使用を呼びかけている。
時系列で見る経緯
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年6月1日 | 浜田市内のマッサージ店で、マンジャロ3本を販売目的で無許可保管していた疑い。 |
| 2026年6月 | 無資格で客の顔にヒアルロン酸とみられる液体を注入し、まつげエクステを施術した疑いで、医師法違反・美容師法違反容疑により逮捕。 |
| 捜査の過程 | 警察がマンジャロの保管状況や販売記録、客とのやり取りなどを確認したとみられる。 |
| 2026年7月13日 | 医薬品医療機器等法違反の疑いで再び逮捕。 |
| 逮捕後 | 複数の客への販売実態、医薬品の入手経路、保管方法、代金の受領状況などを捜査。 |
何が問題になっているのか
医療用医薬品を無許可で販売目的保管した疑い
医薬品の販売は、品質、有効性、安全性を確保するため、薬局や医薬品販売業などの許可制度の下で行われる。単に商品を仕入れて代金を受け取ればよい一般の商品とは異なり、医薬品には適正な流通、保管、情報提供、服薬管理が求められる。
今回の報道では、女がマンジャロ3本を店内で販売目的に保管し、複数の客に1本1万円で販売した、または販売しようとしていた形跡があるとされている。具体的な販売人数、売上額、医薬品の入手先、保管温度などは現時点で明らかになっていない。
マンジャロは2型糖尿病の治療薬
マンジャロは、GIP受容体とGLP-1受容体に作用するチルゼパチドを有効成分とする医療用医薬品で、日本で承認されている効能・効果は2型糖尿病である。通常は患者の状態を医師が確認し、食事療法や運動療法を含む治療方針の中で投与が判断される。
体重減少作用が注目される一方、ダイエット目的の自己判断による使用では、適切な用量調整や副作用への対応が不十分になるおそれがある。医師の診察を受けず、出所や保管状態が分からない薬を購入する行為は、健康被害につながる危険がある。
注射薬の保管・流通管理
医薬品は、製品ごとに定められた条件で保管する必要がある。とりわけ注射薬は、温度管理、使用期限、包装の状態、偽造品や不正流通品でないことの確認が重要となる。
無許可販売では、仕入れ先や流通経路が記録されていない可能性があり、健康被害が生じても製品の追跡や回収が難しくなる。購入者が正規品と思っていても、保管状態の不備によって品質が損なわれている可能性を外見だけで判断することはできない。
先月の医師法・美容師法違反容疑との関係
女は今回の逮捕に先立ち、医師免許を持たずに客の顔へヒアルロン酸とみられる液体を注入する医療行為を行ったほか、美容師免許を持たずに、接着剤で人工毛を取り付けるまつげエクステの施術を行った疑いで逮捕されていた。
報道によると、女性客から、しわを伸ばす施術を受けた後に顔が痛み、両頬が黒ずんだとの届け出があり、事件が発覚したという。現時点で、注入された液体の成分、施術人数、症状との因果関係、治療経過などの全容は明らかになっていない。
顔への注射は、血管や神経が集中する部位へ針を刺す医療行為であり、感染、血流障害、組織障害などの危険を伴う。まつげエクステも目の近くで接着剤を扱うため、適切な衛生管理と専門知識が不可欠である。料金の安さや身近さだけで、無資格の施術を選ぶことには重大な危険がある。
今回確認されている3つの法制度
| 制度・法律 | 今回の主な論点 |
|---|---|
| 医薬品医療機器等法 | 必要な許可を受けず、医療用医薬品を販売目的で保管・販売した疑い。 |
| 医師法 | 医師免許を持たない者が、客の顔に薬剤とみられる液体を注入した疑い。 |
| 美容師法 | 美容師免許を持たない者が、客へまつげエクステを施術した疑い。 |
これらの制度は、資格者の利益を守ることだけが目的ではない。医薬品や施術による健康被害を防ぎ、事故が起きた場合に責任の所在や流通経路を確認できるようにするための仕組みである。
外国人経営店舗と許認可制度の周知
今回の逮捕者はフィリピン国籍と報じられている。ただし、無許可の医薬品販売や無資格施術は、国籍を問わず法令違反として捜査されるべき問題であり、個別事件をフィリピン人全体や外国人事業者全体へ一般化することは適切ではない。
一方、日本国内で店舗を経営し、有償で医薬品を販売したり美容施術を提供したりする場合、日本の資格・許可制度を守る必要がある。自治体、保健所、業界団体は、外国人事業者を含む開業希望者に対し、医療行為と美容行為の境界、必要な免許、医薬品販売の禁止事項を多言語で周知する必要がある。
制度を知らなかったという説明だけで健康被害が回復するわけではない。開業時の相談窓口、営業許可の確認、保健所による啓発、違法広告やSNS販売の監視を組み合わせ、無資格営業を早期に把握する仕組みが求められる。
国益的視点:医薬品と美容医療の無許可市場を放置しない
医薬品や注射を伴う美容施術が、一般のマッサージ店などで無許可に提供されれば、利用者は正規の医療機関と同等の安全管理が行われていると誤認するおそれがある。健康被害が起きた場合、治療費や後遺症による生活への影響は本人だけでなく、公的医療や地域社会にも及ぶ。
特にマンジャロのように需要が高まっている医療用医薬品は、SNSや口コミを通じた個人売買が拡大しやすい。供給不足、偽造品、不適切な保管、転売目的の処方取得などが生じれば、本来治療を必要とする糖尿病患者の医療にも影響する可能性がある。
日本社会の安全を守るには、無許可販売者だけでなく、仕入れ元、販売先、広告媒体、決済手段まで確認し、不正流通の経路を断つ必要がある。外国人事業者に対しても例外なく法を適用すると同時に、適法に営業する事業者が不利益を受けない明確なルール運用が重要である。
賛成・反対・中立の視点
取り締まり強化を求める視点
無許可の医薬品販売や無資格の注射施術は、利用者の生命や身体に直接影響するため、厳正な捜査と行政対応が必要だという考え方である。販売者だけでなく、薬の入手経路や同様の施術を行う店舗まで調査すべきだとの意見も考えられる。
容疑段階と確定事実を分ける視点
女は容疑を認めていると報じられているが、販売人数、医薬品の入手先、過去の売上、客の症状との因果関係は捜査中である。報道段階では、確認された容疑と警察が調べている事項を区別し、未確認の被害や余罪を断定しない必要がある。
制度周知と消費者教育を重視する視点
摘発だけでなく、医療用医薬品を個人から買わないこと、注射を伴う施術は医療機関で受けること、まつげエクステの施術者資格を確認することなど、消費者側への継続的な周知が必要である。安価なサービスを求める需要が残る限り、別の無許可業者が現れる可能性がある。
利用者が確認すべきポイント
- マンジャロなどの医療用医薬品をSNS、知人、一般店舗から購入しない
- 医薬品は医師の診察と処方、正規の薬局を通じて入手する
- 顔や身体への注射を伴う施術は、医療機関かどうかを確認する
- 施術者の資格、医療機関名、使用製剤、リスク説明を確認する
- まつげエクステは美容師免許を持つ施術者か確認する
- 施術後に痛み、腫れ、変色、視覚異常などがあれば速やかに医療機関を受診する
- 無許可販売や無資格施術が疑われる場合は、警察や保健所へ相談する
よくある質問
マンジャロはダイエット薬として承認されていますか?
日本で承認されているマンジャロの効能・効果は2型糖尿病である。糖尿病以外の目的で使用した場合の安全性と有効性は確認されていないとして、厚生労働省が適正使用を呼びかけている。
余ったマンジャロを知人へ売ることはできますか?
医療用医薬品を個人間で売買することは認められていない。厚生労働省も、マンジャロの個人間売買は一般に違法であると明示している。
ヒアルロン酸注入は美容サービスではないのですか?
注射器などを用いて薬剤を体内へ注入する行為は医療行為に当たり、無資格者が業として行うことはできない。サロンやマッサージ店という名称でも、無資格で注射施術を行うことは認められない。
まつげエクステは誰でも施術できますか?
まつげエクステは美容行為として扱われ、施術には美容師免許が必要となる。利用前に施術者の資格や店舗の衛生管理を確認することが重要である。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 事件の要点:浜田市のマッサージ店で、マンジャロ3本を販売目的で無許可保管した疑いにより、フィリピン国籍の女が逮捕された。
- 販売実態:警察は、複数の客に1本1万円で販売した、または販売しようとした形跡があるとして調べている。
- 先行事件:女は無資格でヒアルロン酸とみられる液体を客の顔に注入し、まつげエクステを施術した疑いでも逮捕されていた。
- 制度上の論点:医療用医薬品の販売、注射を伴う医療行為、まつげエクステには、それぞれ許可や資格が必要である。
- 国民生活への影響:無許可市場では医薬品の品質、保管、施術者の技術、健康被害時の責任が確保されない。仕入れ元と販売網を含む実態解明が必要である。
- 報道上の原則:容疑者は認めていると報じられているが、販売人数、入手経路、健康被害との因果関係は捜査中であり、断定を避ける。
出典
- 山陰放送/TBS NEWS DIG「販売目的『マンジャロ』を無許可で保管した疑い…フィリピン国籍の女(52)を逮捕」2026年7月13日
- 厚生労働省「上野大臣会見概要」2026年6月5日
- 医薬品医療機器総合機構「マンジャロ皮下注アテオス」医療用医薬品情報
- 厚生労働省「医薬品医療機器等法違反の疑いがあるインターネットサイトについて」
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
- e-Gov法令検索「医師法」
- e-Gov法令検索「美容師法」













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