京都市の伏見稲荷大社で、外国人観光客らが鳥居の下でダンス動画を撮影し、参拝者の通行を妨げる様子がSNSで拡散している。J-CASTニュースによると、2026年9月2日以降、複数の動画が相次いでX上で取り上げられ、踊りが終わるのを待つ参拝者や、狭くなった通路を横から通り抜ける人の姿が確認された。
伏見稲荷大社は9月7日、日本語と英語で「境内での参拝マナーについてのおねがい」を公表した。境内を1300年以上続く神聖な祈りの場としたうえで、参拝者の通行を妨げるダンスや撮影など、他人の迷惑となる行為を控えるよう求めている。大社の広報担当者は、境内で撮影された事実を確認し、「日本の文化が理解されずに残念」とJ-CASTニュースの取材に答えた。
新人記者ナルカ


今回の騒動の概要
- 場所:京都市伏見区の伏見稲荷大社境内、鳥居が連なる参道
- 確認された行為:外国人観光客らがスマートフォンやカメラに向かってダンスを撮影
- 参拝者への影響:踊りが終わるまで足を止める人や、狭い場所を避けながら通行する人が映っていた
- SNS上の動き:2026年9月2日から7日にかけ、複数の動画がX上で相次いで拡散
- 大社の対応:9月7日、日本語と英語で節度ある行動を求める注意喚起を掲載
- 現場対応:職員らが巡回中に禁止行為を確認した場合、その都度注意
- 被害状況:大社によると、今回確認された範囲で境内施設の破損はなかった
報道で確認されたのは一つの動画だけではない。1人で自撮りしながら踊る人、複数人で鳥居の横から順番に出てきて踊るグループ、大勢の参拝者が通る中で撮影を続ける男女など、別々とみられる映像が複数の日に取り上げられた。
ただし、すべての映像の撮影日、投稿者の国籍、滞在資格、互いの関係などは報道で明らかになっていない。「外国人ら」と報じられていることから、確認されていない国籍を推測したり、外国人観光客全体の行動として一般化したりすることは避ける必要がある。
時系列で見る経緯
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年9月2日 | 鳥居の下で男性が自撮りしながら踊り、通行人が横を通り抜ける動画がX上で取り上げられる。 |
| 9月5日 | 別の女性や複数人が参道上で踊る複数の動画が拡散。後方で参拝者が待つ様子も確認される。 |
| 9月6~7日 | 大勢が行き交う中で男女が踊る映像などが相次いで拡散。国内外の著名人からも批判が出る。 |
| 9月7日 | 伏見稲荷大社が「境内での参拝マナーについてのおねがい」を公式サイトに掲載。日本語と英語で注意を呼びかける。 |
| 9月10日 | 大社の広報担当者がJ-CASTニュースの取材に対応。境内での撮影を確認し、施設の破損はないと説明。 |
伏見稲荷大社が求めている参拝マナー
伏見稲荷大社は、今回の騒動が起きる以前から境内での禁止事項を公式サイトに掲示している。大社が問題としているのは、観光客が外国人か日本人かではなく、神域の尊厳と秩序を損ない、他の参拝者へ迷惑をかける行為である。
| 禁止・注意の対象 | 今回との関係 |
|---|---|
| 大声で騒ぐ、座り込むなどの迷惑行為 | 参拝の静けさを損ない、周囲の祈りや移動を妨げる可能性がある。 |
| 狭い参道での撮影による通行妨害 | 鳥居の下で撮影を続け、参拝者を待たせたり通路を狭めたりする行為が該当し得る。 |
| 営業目的や禁止場所での撮影 | 収益化を含む営業目的の撮影には別の問題が生じる。個々の動画の収益化状況は不明。 |
| 建物、鳥居、樹木などを傷つける行為 | 今回、大社は破損はなかったと説明しているが、鳥居や設置物への接触・損傷は禁止される。 |
| 大社が不適当と認める行為 | 職員が発見した場合は注意し、指示に従わなければ退去を求めるとしている。 |
写真や短い動画を撮ることが一律に禁止されているわけではない。問題は、撮影のために人の流れを止める、長時間場所を占有する、大声や音楽で周囲へ負担をかける、立入禁止区域へ入るといった行為である。人気の撮影場所ほど「自分の画面に他人を入れたくない」という意識が働きやすいが、公共性の高い参道で他の参拝者を待たせる権利が生じるわけではない。
なぜ「ただのダンス」では済まないのか
鳥居の下は撮影スタジオではなく参道
伏見稲荷大社は、全国の稲荷神社の総本宮として信仰を集める宗教施設である。千本鳥居は世界的に知られる観光名所でもあるが、本来は参拝者が祈りを捧げ、稲荷山を巡拝するための道でもある。
観光地として有名であることと、どのような演出や撮影も許されることは同じではない。教会、モスク、寺院などでも、礼拝や通行を妨げるパフォーマンスが問題になるのと同様、神社でも施設の目的と現場のルールを尊重する必要がある。
通行妨害が安全上の問題になる
鳥居が連なる参道には幅の狭い場所が多い。撮影のため数人が立ち止まれば、人の列が詰まり、逆方向から来る人との接触や転倒につながる可能性がある。特に混雑時は、高齢者、子ども、足の不自由な人にとって、わずかな滞留も大きな負担になる。
今回の映像では、参拝者が通れない状態が長時間続いたかまでは確認できない。しかし、実際に足を止めて待つ人や、狭い横を通る人が映っている以上、「誰も困っていない撮影だった」とは言い切れない。
SNSの再生数が迷惑行為を誘発する構造
短い動画では、強い動き、意外な場所、派手な演出が注目を集めやすい。人気スポットで他人のいない映像を撮ろうとすれば、撮影者が通路を事実上占有する場面も生まれる。投稿が拡散されるほど、同じ構図や演出をまねる人が現れ、現場の負担が繰り返されるおそれがある。
対策には現場での注意だけでなく、旅行予約サイト、航空会社、宿泊施設、動画投稿サービスなどを通じ、訪日前や移動中に「宗教施設は祈りの場」「狭い参道を撮影でふさがない」と具体的に伝える仕組みが必要になる。
SNSでは批判が相次ぐ
J-CASTニュースによると、X上では「パフォーマンス会場ではない」「祈りの場を尊重してほしい」「通行を妨げる撮影はやめるべきだ」といった趣旨の批判が多く寄せられた。一方、「人がいない時間帯ならよいのではないか」とする意見も一部にあった。
元メガデスのギタリスト、マーティ・フリードマン氏は9月6日、拡散された動画を引用して中止を求めた。ニュージーランド出身のプロレスラーHENARE氏も、注目を集めるために敬意を欠いているとの趣旨で批判した。外国出身者からも厳しい声が上がっていることは、この問題が単純な「日本人対外国人」ではなく、訪問先の宗教・文化と他者への配慮をめぐる問題であることを示している。
同時に、SNS上で当事者の個人情報を特定し、集団で攻撃する行為には慎重さが必要だ。迷惑行為への批判と、国籍・人種を理由に無関係の人まで侮辱することは分けて考えなければならない。
警察沙汰や犯罪になったのか
9月10日時点の報道では、今回のダンス撮影を理由とする逮捕、書類送検、器物損壊は伝えられていない。大社も境内で壊された場所はないと説明している。このため、現段階では刑事事件として断定するのではなく、大社の規則に反する可能性がある迷惑行為、参拝マナーの問題として捉えるのが適切である。
一方、大社の禁止事項では、職員の注意や指示に従わない場合、退去を求めるとしている。行為がエスカレートし、施設を壊す、立入禁止場所へ侵入する、職員や参拝者へ暴力を振るうなど別の事実が加われば、法的責任が問われる可能性もある。今回の映像だけから犯罪名を決めつけるべきではない。
京都では以前から観光マナー対策
伏見稲荷周辺では今回初めて観光問題が表面化したわけではない。京都市は、観光客の増加に伴う交通混雑、ごみの散乱、路上飲酒、喫煙などが地域住民の生活へ影響していると説明している。地域住民、商店、伏見稲荷大社、行政などで構成する協議会も、安心・安全と観光のにぎわいを両立させる取り組みを進めてきた。
京都市と京都市観光協会は「京都観光行動基準」を設け、観光客、事業者、市民が互いを尊重し、持続可能な観光をつくる考え方を示している。今回の問題は、注意看板を増やすだけで十分か、投稿される前の段階でルールを届けられるか、違反を見つけた際に迅速に対応できるかを改めて問うものとなった。
今後考えられる対策
- 多言語表示の具体化:抽象的な「マナーを守って」ではなく、「ダンス・ライブ配信・長時間撮影で参道をふさがない」と例示する。
- 混雑地点での案内強化:千本鳥居など滞留しやすい場所で、巡回員やデジタル表示により即時に案内する。
- 旅行前の周知:航空券、宿泊、ツアー予約、地図アプリなど、旅行者が訪日前から見る媒体へルールを掲載する。
- 動画サービスとの連携:位置情報や人気撮影スポットの表示画面に、施設の撮影ルールを案内する。
- 違反対応の明確化:注意、撮影中止、退去要請、悪質な場合の警察相談まで、現場対応の基準を整える。
- 国籍を問わない運用:日本人、外国人を問わず同じルールを適用し、行為に基づいて対応する。
賛成・反対・中立の視点
厳格な規制を求める視点
宗教施設の参道を撮影目的でふさぎ、参拝者を待たせる行為は明確に制止すべきだという立場である。注意に従わない場合は退去を求め、悪質な撮影者には一定期間の立ち入り制限や撮影禁止など、より実効性のある対応を検討すべきとの声も考えられる。
一律禁止に慎重な視点
写真や短時間の動画撮影まで全面的に禁止すれば、一般の参拝者や観光客の楽しみを過度に制限する。混雑状況、音量、撮影時間、通行への影響を基準にし、他人へ迷惑をかけない撮影は認めるべきだという考え方である。
中立的な視点
「ダンスだから禁止」「外国人だから問題」と単純化するのではなく、参道の占有、騒音、礼拝への影響、施設の尊厳という具体的な行為で判断する必要がある。分かりやすい多言語表示と国籍を問わない公平な運用を組み合わせることが、対立を広げずに秩序を守る現実的な方法となる。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 騒動の要点:伏見稲荷大社の鳥居の下で外国人観光客らがダンス動画を撮影し、参拝者が足を止めたり狭い場所を通ったりする映像がSNSで拡散した。
- 大社の対応:9月7日に日英両言語で注意喚起し、通行を妨げるダンスや撮影などをやめるよう要請した。
- 既存のルール:大社は以前から、大声、座り込み、迷惑行為、狭い参道での撮影による通行妨害を禁止し、指示に従わない場合は退去を求めるとしている。
- 確認されていない点:動画投稿者らの詳しい国籍や撮影日、収益化の有無は不明で、今回の行為を理由とする刑事事件も報じられていない。
- 今後の課題:訪日前からの多言語周知、混雑地点での巡回、動画サービスとの連携、国籍を問わない公平なルール運用が必要となる。
出典
- J-CASTニュース「参拝者ら足止め、鳥居の下でノリノリダンス 外国人ら迷惑行為に伏見稲荷大社『日本の文化が理解されず残念』」2026年9月10日
- ライブドアニュース(J-CASTニュース配信)「参拝者ら足止め、鳥居の下でノリノリダンス」2026年9月10日
- 伏見稲荷大社「境内での参拝マナーについてのおねがい」2026年9月7日
- 伏見稲荷大社「伏見稲荷大社からのお願い」
- 京都市伏見区役所「伏見稲荷周辺の観光課題対策」
- 京都市「京都観光行動基準(京都観光モラル)の特設サイト」
内部関連記事













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