日本人住民が減少する一方、外国人住民は増加している。総務省が2026年7月29日に公表した住民基本台帳人口によると、2026年1月1日時点の日本人住民は1億1973万6483人となり、前年から91万6744人減少した。一方、外国人住民は403万1159人で、前年から35万3696人増え、過去最多を更新した。
ユーザー提供のYahoo!ニュース記事では、2025年1月1日から2026年1月1日までの1年間で、「日本人住民が減少し、外国人住民が増加した自治体」が全国で1400以上に上ると報じている。人口減少を外国人住民の増加が補う構図が、全国の自治体で広がっている。
では、外国人住民が増えたことで、日本の治安は悪化したのだろうか。
結論から言えば、全国の刑法犯認知件数が近年増加していること、来日外国人による犯罪の検挙件数・人員も増えていることは警察庁統計で確認できる。しかし、「外国人が増えたから日本全体の治安が悪化した」と因果関係まで断定できるデータは、現時点では確認できない。
一方で、来日外国人による組織窃盗、特殊詐欺、薬物、犯罪インフラなど、特定の犯罪類型で警察が警戒を強めていることも事実である。重要なのは、「外国人が増えた=犯罪が増えた」と単純化することでも、「外国人増加と治安は無関係」と切り捨てることでもなく、人口比、在留資格、地域、犯罪類型を分けて検証することである。
新人記者ナルカ


外国人住民は403万人、過去最多
2026年1月1日時点の日本人住民は1億1973万6483人で、42年ぶりに1億2000万人を下回った。
一方、外国人住民は403万1159人となり、前年から35万3696人増えた。外国人住民は全都道府県で増加している。
| 区分 | 2026年1月1日 | 前年比 |
|---|---|---|
| 日本人住民 | 1億1973万6483人 | 91万6744人減 |
| 外国人住民 | 403万1159人 | 35万3696人増 |
| 総人口 | 1億2376万7642人 | 56万3048人減 |
「日本人減・外国人増」の自治体が1400以上
ユーザー提供のYahoo!ニュース記事では、日本人住民が減少する一方で外国人住民が増加した自治体が1400以上に達したとされる。
人口構成の変化は一部の大都市だけでなく、多くの自治体で進んでいることになる。工場、農業、物流、介護、宿泊、建設などの人手不足を背景に、外国人住民が少なかった地域でも比率が上昇するケースがある。
人口構成が短期間で変化すれば、日本語教育、ごみ、交通、学校、住宅、医療、宗教施設、地域ルールなど、行政が対応しなければならない分野も増える。「外国人が増えた自治体で何が起きているのか」を検証すること自体は必要である。
日本全体の刑法犯は4年連続で増加
警察庁によると、2025年の刑法犯認知件数は77万4142件で、前年から3万6463件、4.9%増加した。
刑法犯認知件数は2003年から2021年まで長期的に減少していたが、2022年から増加へ転じ、2025年まで4年連続で増えている。
| 年 | 刑法犯認知件数 |
|---|---|
| 2021年 | 56万8104件 |
| 2022年 | 60万1331件 |
| 2023年 | 70万3351件 |
| 2024年 | 73万7679件 |
| 2025年 | 77万4142件 |
人口千人当たりの刑法犯認知件数も2025年は6.3件となり、前年の6.0件から上昇した。したがって、日本の治安を刑法犯認知件数で見ると、少なくとも2021年の底からは悪化方向にあると言える。
ただし、2025年の77万件は、刑法犯認知件数が約285万件に達した2002年と比較すれば、依然として大幅に低い水準である。
来日外国人犯罪の検挙人員も増加
警察庁の「令和7年における組織犯罪の情勢」によると、2025年の来日外国人犯罪は、総検挙状況と刑法犯検挙状況で前年より件数・人員が増加した。
総検挙人員は1万2777人だった。
| 国籍等 | 総検挙人員 | 構成比 |
|---|---|---|
| ベトナム | 4167人 | 約32.6% |
| 中国 | 2062人 | 16.1% |
| フィリピン | 714人 | 5.6% |
| タイ | 642人 | 5.0% |
| ブラジル | 561人 | 4.4% |
警察庁は、2025年の刑法犯検挙件数が増えた主な要因として、ベトナムやタイなどによる窃盗犯の増加を挙げている。
ただし「来日外国人」と「外国人住民403万人」は別の統計
警察庁の「来日外国人」は、日本にいる外国人全員ではない。永住者、永住者の配偶者等、特別永住者などの定着居住者、在日米軍関係者、在留資格不明者などを除いた独自の区分となっている。
そのため、住民基本台帳上の外国人住民403万1159人を分母にし、来日外国人の検挙人員1万2777人を割って「外国人犯罪率」を計算することは統計上不適切である。
異なる統計を割り算しない
総務省の「外国人住民」と警察庁の「来日外国人」では対象範囲が異なる。403万人を分母、来日外国人検挙人員を分子として犯罪率を算出すると、比較対象が一致しない。
外国人犯罪には「組織化」という特徴もある
警察庁によると、2024年の来日外国人による刑法犯検挙件数のうち、共犯事件の割合は41.1%だった。日本人は12.5%で、来日外国人は約3.3倍となっている。
万引きでは、来日外国人の共犯率22.6%に対し、日本人は3.4%だった。
少数の犯罪グループが大量・広域の事件を起こすことで、犯罪件数を押し上げる可能性がある。これは外国人全体の犯罪傾向と同じ意味ではない。
外国人住民が増えたから治安が悪化したのか
全国レベルでは、外国人住民が大幅に増えていることと、刑法犯認知件数が2022年以降増えていることは同時に確認できる。
しかし、二つが同時に増えたというだけでは因果関係は証明できない。刑法犯増加には、コロナ禍からの人流回復、店舗・観光客の増加、自転車盗、万引き、特殊詐欺、SNS型犯罪、経済状況など複数の要因がある。
「外国人増加が治安悪化を引き起こした」と確認するには、市区町村ごとに、外国人比率の変化と人口当たり犯罪認知件数の変化を長期間比較する必要がある。
本当に必要なのは自治体単位の犯罪率分析
- 市区町村別の外国人住民数・比率
- 外国人住民の増加率
- 市区町村別または警察署別の刑法犯認知件数
- 人口1000人または10万人当たり犯罪率
- 窃盗、暴行、性犯罪、詐欺、薬物など犯罪類型別件数
- 外国人被疑者の在留資格、国籍、居住地
- 観光客など住民票を持たない短期滞在者
- 地域の昼間人口、繁華街、観光客数
外国人住民が10%増えた自治体で、人口当たり犯罪率が減っているなら、「外国人増加=治安悪化」という説明は成立しにくい。逆に、外国人比率の急上昇と特定犯罪の増加が複数自治体で一貫して確認されれば、在留資格や産業構造を含めた詳しい分析が必要となる。
地域住民が感じる「治安」は刑法犯だけではない
住民が「治安が悪くなった」と感じる要因は、刑法犯だけではない。
- 危険運転や無免許運転
- 騒音や深夜の集団行動
- ごみ出しや路上駐車
- 無許可営業
- 違法建築や資材置き場
- 不法就労
- 学校や公園でのトラブル
- 行政窓口での相談増加
これらの一部は刑法犯に含まれず、道路交通法、入管法、建築基準法、廃棄物処理法、自治体条例など別の統計になる。そのため「刑法犯認知件数が増えていないから地域問題は存在しない」とするのも適切ではない。
外国人増加地域では行政能力も問われる
外国人住民が短期間で増える自治体では、日本語教育、交通安全、学校、住宅、医療、自治体窓口、警察通訳などの需要が急増する。
問題は外国人が存在すること自体ではなく、人口構成の変化に行政の管理能力が追いついているかである。
受け入れ企業が外国人労働者を増やす一方、生活支援や地域教育を自治体へ任せれば、地元住民の負担感が高まる。外国人受け入れ政策を続けるのであれば、政府と企業は受け入れ人数だけでなく、治安、学校、住宅、医療、日本語教育へのコストまで負担する必要がある。
クロ助とナルカの視点
























編集部まとめ
- 人口変化:2026年1月1日時点で日本人住民は1億1973万6483人、外国人住民は403万1159人。外国人は35万3696人増加した。
- 自治体:ユーザー提供記事では、日本人が減り外国人が増えた自治体は1400以上とされる。
- 治安:2025年の刑法犯認知件数は77万4142件で4年連続増加。人口千人当たりも6.3件へ上昇した。
- 外国人犯罪:2025年の来日外国人犯罪は総検挙・刑法犯検挙とも前年より増加し、総検挙人員は1万2777人だった。
- 特徴:警察庁は、ベトナム・タイなどによる窃盗増加を要因として挙げている。来日外国人犯罪は共犯率が高いという特徴も確認されている。
- 統計上の注意:「外国人住民」と「来日外国人」は対象範囲が異なるため、単純に割って犯罪率を算出できない。
- 因果関係:外国人住民の増加と刑法犯増加は同時に起きているが、外国人増加が全国の治安悪化を引き起こしたと証明するデータは確認できない。
- 必要な検証:市区町村ごとの外国人比率、人口当たり犯罪率、在留資格、犯罪類型を組み合わせた分析が必要。
出典
- Yahoo!ニュース「日本人住民が減る一方、外国人住民が増える自治体1400以上」2026年
- 警察庁「令和7年の犯罪情勢について」
- 警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢について」
- 警察庁「来日外国人犯罪の情勢」












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