取引が規制されている絶滅危惧種「アデレードアオジタトカゲ」1匹を、必要な登録票とともに行わず譲り受けたとして、警視庁生活環境課は韓国籍で大阪市淀川区のペットショップ経営者、禹大樹容疑者(36)を種の保存法違反の疑いで逮捕した。
FNNプライムオンラインなどの報道によると、容疑者は2025年12月、別のペットショップ関係者から、国際希少野生動植物種に指定されているアデレードアオジタトカゲ1匹を違法に譲り受けた疑いが持たれている。店のSNSには「世界一珍しい幻のアオジタトカゲ」「まず出回らない激レア種」「今回なんと販売しています」などと投稿され、それを見た人物からの情報提供で発覚したという。
容疑者は「国際希少野生動植物種に指定されていることは知らなかった」という趣旨の供述をしていると報じられている。希少動物を扱う専門業者が、取引前に種名、規制対象、登録票を確認する責任をどこまで負うのかが焦点となる。
新人記者ナルカ


事件の概要
- 譲受時期:2025年12月
- 容疑:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律違反(譲渡し等の禁止)の疑い
- 逮捕者:韓国籍、大阪市淀川区のペットショップ経営者の男(36)
- 対象:アデレードアオジタトカゲ1匹
- 主な疑い:必要な登録票を伴わない状態で、別のペットショップ関係者から譲り受けた疑い
- 発覚の端緒:販売を告知する店のSNS投稿を見た人物からの情報提供
- 供述:報道によると、国際希少野生動植物種の指定を知らなかったという趣旨の説明
アデレードアオジタトカゲはオーストラリア原産で、世界でも特に希少なアオジタトカゲの一種とされる。野生個体の減少や生息域の限定性から国際取引が厳しく規制され、日本国内でも種の保存法に基づく管理対象となっている。
現時点の報道では、個体の入手価格、譲渡した側の人物、国内繁殖個体か輸入個体か、登録票が存在しなかったのか別個体の登録票だったのか、実際に第三者へ販売されたのかは明らかになっていない。警察は、入手経路と販売目的、ほかの希少動物の取扱状況を調べるとみられる。
時系列で見る経緯
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年12月 | 容疑者が別のペットショップ関係者からアデレードアオジタトカゲ1匹を譲り受けた疑い。 |
| その後 | 経営する店のSNSに、希少性を強調して販売を告知する内容が投稿された。 |
| 情報提供後 | SNS投稿を見た人物から警視庁へ情報が寄せられ、生活環境課が取引経緯を捜査。 |
| 2026年9月25日まで | 警視庁が種の保存法違反の疑いでペットショップ経営者を逮捕。 |
何が問題になっているのか
国際希少野生動植物種の取引規制
種の保存法では、国内希少野生動植物種と国際希少野生動植物種について、譲渡、売買、貸し借り、販売目的の陳列や広告を原則として禁止している。希少な個体が高値で取引されると、野生個体の違法捕獲や密輸を誘発するためである。
国際希少野生動植物種のうち、規制適用前から国内にいた個体、適法に輸入された個体、国内繁殖個体など一定の要件を満たすものは、環境大臣の登録を受けることで取引できる場合がある。この場合も、個体と登録票を対応させ、譲渡し等は登録票と一緒に行う必要がある。
SNS上の販売告知も規制対象になり得る
種の保存法は実際の売買だけでなく、取引につながる販売・頒布目的の陳列や広告も規制する。店舗内の展示だけでなく、ウェブサイト、通販ページ、SNSでの販売告知も対象になり得る。
今回、店のSNSでは「世界一珍しい」「激レア」「今回なんと販売」と希少性を強調していたと報じられている。SNS投稿が捜査の端緒となったことは、希少動物市場が実店舗だけでなく、オンライン上でも監視されていることを示す。
「知らなかった」で済むのか
刑事責任の成立には、行為や規制対象についての認識が争点になる場合がある。容疑者は指定を知らなかったと説明しているとされるが、ペットショップ経営者は動物取引の専門事業者であり、一般の飼育者より高い確認責任が求められるとの見方がある。
特に、世界的に希少で流通量が少ないことを販売上の価値として強調していたのであれば、学名、原産国、ワシントン条約の附属書、種の保存法上の指定、登録票の有無を仕入れ前に確認すべきだったとの指摘は避けられない。一方で、故意の有無や譲渡側から受けた説明は、証拠に基づいて判断される必要がある。
ワシントン条約と種の保存法の違い
| 制度 | 主な対象 | 役割 |
|---|---|---|
| ワシントン条約 | 国境を越える野生動植物の国際取引 | 絶滅のおそれに応じ、輸出入許可や商業取引を規制 |
| 種の保存法 | 日本国内の捕獲・譲渡・販売・広告など | 国内希少種と国際希少種の保存、国内流通の管理 |
| 個体等登録制度 | 一定要件を満たす国際希少野生動植物種 | 登録個体に限り、登録票を伴う取引を可能にする |
ワシントン条約の手続きにより適法に輸入された動物でも、日本国内で自由に売買できるとは限らない。反対に、国内繁殖個体であっても、種の保存法の対象であれば登録が必要になる場合がある。輸入時の書類と国内取引の登録票は、役割が異なる。
購入者にも確認責任がある
希少動物を購入する際は、販売者が「国内CB」「合法個体」と説明するだけで信用せず、学名と登録票を確認する必要がある。登録票の種名、個体識別情報、写真、マイクロチップ番号などが現物と一致するかを見なければならない。
- 和名だけでなく学名を確認する
- 環境省の国際希少野生動植物種一覧を確認する
- 登録票の原本と個体情報が一致するか確認する
- 譲受け後に必要な届出期限を確認する
- SNSの個人取引や「書類なし」「格安」の販売を避ける
- 疑わしい場合は環境省や登録機関へ照会する
違法な個体を購入すると、購入者も捜査対象となる可能性がある。動物が押収されるだけでなく、適切な飼育先の確保にも負担が生じる。希少種を守るためには、販売者だけでなく需要側が合法性を確認することが欠かせない。
賛成・反対・中立の視点
厳格な取引規制を支持する視点
希少種は一度絶滅すれば回復できない。高額なペット市場が密猟や密輸を誘発する以上、登録票のない取引やSNS広告は厳しく取り締まり、専門業者には重い確認責任を負わせるべきだという立場である。
適法な繁殖・飼育への過度な負担を懸念する視点
国内繁殖による保存や研究に取り組む飼育者にとって、複雑な登録手続きや更新費用が過度な負担になるとの意見もある。違法取引を防ぎながら、適法な繁殖個体を明確に流通させる分かりやすい制度が必要である。
トレーサビリティーを重視する中立的視点
全面禁止か自由化かではなく、個体識別、登録票、譲渡届、事業者記録をデジタルで連結し、出生から販売・死亡まで追跡できる仕組みが現実的である。書類の使い回しや別個体への流用を防ぐため、マイクロチップとの照合も重要になる。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 事件の要点:絶滅危惧種のアデレードアオジタトカゲ1匹を違法に譲り受けた疑いで、韓国籍のペットショップ経営者が逮捕された。
- 発覚の端緒:店のSNSに希少性を強調する販売告知が掲載され、それを見た人物からの情報提供で捜査が始まった。
- 制度上の論点:国際希少野生動植物種は原則取引禁止で、登録個体も登録票とともに譲渡する必要がある。
- 国益的示唆:生物多様性を守るには、輸入段階だけでなく国内販売、SNS広告、登録票、個体識別まで一体的に管理する必要がある。
出典
- FNNプライムオンライン「絶滅危惧種のトカゲを違法に譲り受けたか ペットショップ経営者の36歳男逮捕」2026年9月25日
- 環境省「ワシントン条約と種の保存法」
- 環境省「個体等の登録制度について」
- 環境省「国際希少野生動植物種一覧」
- e-Gov法令検索「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」










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