ベトナム国籍の介護士の男が、医師免許がないにもかかわらず、妊娠中の女性に採血を行ったとして逮捕された。FNNプライムオンラインによると、男は出生前検査を受けたい人をSNSで募集し、採血や検査結果の提供に対して料金を受け取っていたとされる。
逮捕されたのは、ベトナム国籍で介護士のレー・ヴァン・ティン容疑者(36)。2025年9月、埼玉県本庄市内の駐車場で、医師免許を持たずに妊娠中の女性(当時34)から採血した医師法違反の疑いが持たれている。警察は余罪があるとみて捜査している。
本件は、単なる無資格行為にとどまらない。妊娠中の女性を対象とした出生前検査、SNSを通じた募集、駐車場での採血、料金受領という要素が重なっており、外国人コミュニティ内での無許可医療行為や、医療制度へのアクセス、在留外国人向け情報提供の課題を浮き彫りにしている。
新人記者ナルカ


事件の概要
FNNプライムオンラインの報道によると、レー・ヴァン・ティン容疑者は2025年9月、埼玉県本庄市の駐車場で、医師免許を持っていないにもかかわらず、妊娠中の女性に採血を行った疑いが持たれている。
容疑者は介護士として働いていたとされる。報道では、出生前検査を受けたい人をSNSで募集し、採血を行ったうえで、検査結果を依頼者に渡す対価として料金を受け取っていたとされている。調べに対し、ベトナムにいた頃に採血や点滴の経験があり、日本でも可能だと思っていた趣旨の供述をしているという。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 逮捕容疑 | 医師法違反の疑い |
| 容疑者 | ベトナム国籍の介護士の男(36) |
| 発生時期 | 2025年9月 |
| 発生場所 | 埼玉県本庄市内の駐車場 |
| 対象者 | 妊娠中の女性(当時34) |
| 行為の概要 | 医師免許なく採血した疑い |
| 募集方法 | SNSで出生前検査を受けたい人を募集していたとされる |
| 料金 | 検査結果を渡す対価として料金を受け取っていたと報道 |
| 捜査状況 | 警察が余罪を捜査 |
医師法違反とは何が問題なのか
医師法は、医師でなければ医業を行ってはならないと定めている。採血は身体への侵襲を伴う行為であり、感染、出血、体調悪化、検体管理の不備など、専門的な知識と安全管理が求められる。
特に今回の対象は妊娠中の女性である。出生前検査をめぐっては、検査の目的、結果の意味、検査後の相談体制、心理的負担への配慮が必要となる。単に血液を採るだけではなく、医療機関としての管理、説明、同意、検体の取り扱い、結果通知の方法が問われる。
医療行為をめぐる資格制度は、職業上の独占を守るためだけにあるのではない。患者や利用者の身体、生命、健康を守るための最低限の安全装置である。無資格者が「経験がある」「母国ではやっていた」と考えても、日本国内で医療行為を行える理由にはならない。
出生前検査とSNS募集の危うさ
出生前検査は、胎児の染色体疾患などに関する情報を得る検査として知られている。一方で、検査結果は妊婦や家族の意思決定に大きな影響を与える可能性があるため、十分な説明と相談体制が不可欠とされている。
厚生労働省も、NIPT等の出生前検査について、妊婦への情報提供のあり方や実施体制を検討する専門委員会を設けて議論してきた。出生前検査認証制度等運営委員会のサイトでは、出生前検査を考える際に役立つ情報や、相談できる医療機関のリストが案内されている。
今回の事件で問題となるのは、出生前検査への需要そのものではない。問題は、SNS上で希望者を集め、医師免許を持たない人物が、医療機関ではない場所で採血を行った疑いがある点である。こうした行為が広がれば、妊婦本人だけでなく、検査結果の信頼性、個人情報管理、検体の流通経路にも不安が生じる。
外国人コミュニティ内の「非公式サービス」化
在留外国人が増えるなか、日本語に不慣れな妊婦や家族が、母語で相談できる相手を探すことは自然なことだ。医療機関の予約、検査内容の理解、費用への不安、家族への説明など、外国人住民にとって医療アクセスの壁は小さくない。
しかし、その隙間を無資格者が料金を取って埋める形になれば、制度外の医療サービスが広がる恐れがある。特にSNSは、同じ国籍や言語圏の利用者同士で情報が拡散しやすい。口コミや知人紹介を通じて「便利」「安い」「母語で対応してくれる」と認識されれば、違法性や安全性が確認されないまま依頼が増える可能性がある。
外国人住民を受け入れる以上、行政や医療機関は、多言語での正確な情報提供、医療通訳、相談窓口の周知を強化する必要がある。一方で、無資格医療、無許可検査、違法な仲介ビジネスに対しては、早期に摘発し、再発防止策を講じることが求められる。
介護士資格と医療行為の境界
報道では、容疑者は介護士とされている。介護現場では、利用者の生活支援や健康観察など、医療に近い場面に接することがある。しかし、介護士であることは医師免許を意味しない。介護職が行える行為と、医師や看護師などの医療資格者が行うべき行為は明確に区別される。
今回のように、採血や点滴の経験が母国であったとしても、日本国内での資格、業務範囲、医療制度に従う必要がある。外国での職務経験を理由に、日本の医療行為規制を自己判断で超えることは認められない。
厚生労働省は、医師・歯科医師の資格確認検索システムを公開している。氏名が揃っている場合に医師等の資格を確認できる仕組みで、外国籍の医師についても通称名が登録されている場合があると説明されている。医療行為を依頼する側も、資格確認や医療機関の正規性を確認する意識が重要になる。
賛成・反対・中立の視点
厳正な取り締まりを求める視点
妊婦を対象に無資格で採血した疑いがある以上、医療安全の観点から厳正な捜査と処分が必要だという立場である。SNSを使って希望者を集め、料金を受け取っていたとされる点から、単発の誤解ではなく、継続的な無許可ビジネスの可能性を重く見るべきだとする。
外国人住民の医療アクセス不足を指摘する視点
日本語が十分でない妊婦や家族が、母語で相談できる医療機関や制度情報にたどり着きにくい現実があるとの見方である。違法行為は許されないが、正規の相談先につながれない人がSNS上の非公式サービスに流れる背景も検証すべきだとする。
制度改善を重視する中立的視点
必要なのは、無資格医療を放置しないことと、外国人住民が正規医療へアクセスしやすい環境整備を同時に進めることである。医療通訳、多言語説明、資格確認、SNS上の違法募集への監視、医療機関リストの周知を組み合わせる必要がある。
クロ助とナルカの視点


















編集部まとめ
- 事件の概要:ベトナム国籍の介護士の男が、医師免許なく妊娠中の女性に採血した医師法違反の疑いで逮捕された。
- 報道上の焦点:SNSで出生前検査希望者を募集し、採血や検査結果提供の対価として料金を受け取っていたとされる。
- 制度上の課題:無資格医療行為、出生前検査の安全管理、外国人住民向け医療情報、SNS上の非公式サービス化が問われる。
- 国益的示唆:外国人材の受け入れでは、資格制度、業務範囲、医療・介護分野の法令順守教育を徹底する必要がある。
出典
- FNNプライムオンライン「医師免許なく妊娠中の女性に採血か ベトナム国籍の男逮捕」2026年7月1日
- e-Gov法令検索「医師法」
- 厚生労働省「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」
- 出生前検査認証制度等運営委員会「一緒に考えよう、お腹の赤ちゃんの検査」
- 厚生労働省「医師等資格確認検索」











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