大阪・関西万博の電子チケットを不正に取得したなどとして、福井県警は2026年6月29日、電子計算機使用詐欺と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)の疑いで、中国籍の飲食業の男(47)を再逮捕した。産経新聞の報道によると、男は東京都新宿区西早稲田に住み、仲介サイトを通じて万博チケット60枚以上を転売していた疑いがある。
再逮捕容疑は、2025年10月1日から2日にかけて、氏名不詳者らと共謀し、福井県在住の50代男性のアカウントにひも付けられた大阪・関西万博の電子チケット2枚を不正に取得し、自身らが管理するアカウントへ送信した疑いである。男は「わたしではありません」と容疑を否認しているという。
男は2026年6月9日にも、万博のチケット販売サイトへ不正ログインしたとして、不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕されていた。単なる転売問題ではなく、万博ID、電子チケット、アカウント乗っ取り、犯罪収益の隠匿が絡むデジタル型の財産被害として、今後の大規模イベント運営にも影響を及ぼす事案といえる。
新人記者ナルカ


事件の概要
産経新聞の報道によると、福井県警は2026年6月29日、中国籍の飲食業の男(47)を電子計算機使用詐欺と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)の疑いで再逮捕した。対象となったのは、2025年に開催された大阪・関西万博の電子チケットである。
容疑では、男は氏名不詳者らと共謀し、福井県に住む50代男性のアカウントにひも付けられた電子チケット2枚を不正に取得し、自身らが管理するアカウントへ送信した疑いが持たれている。県警は、仲介サイトを通じて60枚以上のチケットを転売していた可能性があるとみて調べている。
福井テレビ・FNNは先行報道で、同じ男が2025年10月1日、福井県内の50代男性のログインIDとパスワードを使い、万博の電子チケット公式販売サイトに不正ログインし、チケットを転売した疑いで逮捕されたと報じていた。被害者は「購入した万博の電子チケット2枚が第三者に譲渡されている」と福井署に届け出たという。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 逮捕日 | 2026年6月29日再逮捕 |
| 容疑 | 電子計算機使用詐欺、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿) |
| 被疑者 | 中国籍の飲食業の男(47) |
| 被害対象 | 大阪・関西万博の電子チケット2枚 |
| 被害者 | 福井県在住の50代男性 |
| 関連する前回逮捕 | 2026年6月9日、不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕 |
| 認否 | 「わたしではありません」と否認 |
| 余罪の見方 | 仲介サイトを通じ60枚以上を転売していた疑い |
万博IDと電子チケットの仕組み
大阪・関西万博の公式サイトでは、入場チケット購入から来場までの流れとして、万博ID登録、チケット購入、来場日時予約、パビリオンなどの観覧予約、当日入場という手順が案内されていた。公式サイトによると、電子チケットは万博IDを持つ者同士で受け渡しが可能とされていた。
この仕組みは、家族や同行者へのチケット共有、スマートフォンでの入場、来場日時予約との連動など、利用者の利便性を高めるものだった。一方で、万博IDやパスワードが第三者に悪用された場合、購入者本人の意思と無関係にチケットが移されるリスクも生じる。
公式サイトでは、ログイン時に万博IDとパスワードだけでなく本人確認が必要で、生体認証やワンタイムパスワードを利用したログイン機能も備えると説明していた。しかし、どれだけ仕組みを整えても、利用者側がパスワードを使い回したり、偽サイトに入力したりすれば、アカウント乗っ取りの入口になり得る。
「勝手に譲渡」被害は閉幕前から問題化
大阪・関西万博の電子チケットを巡っては、閉幕前の2025年9月にも「チケットが勝手に譲渡された」とする被害が報じられていた。関西テレビは、公式サイトにログインできなくなった後、チケットが第三者へ譲渡されていた事例や、購入済みのチケットが使用済みになっていた事例を伝えている。
同報道では、博覧会協会側がシステムの脆弱性による不正アクセスとは認識していないと説明し、返金についても「考える状況にない」と述べたとされる。つまり、被害者側から見れば「購入したチケットが消えた」ように見えても、運営側が正規ログインか不正ログインかを直ちに判別できない構造があった。
今回の再逮捕は、こうした電子チケット被害が単なる利用者トラブルではなく、アカウント不正利用、チケット転売、収益化まで含む犯罪として立件され得ることを示した点で重要である。
不正アクセス事件の統計から見る位置づけ
国家公安委員会、総務省、経済産業省が公表した「令和7年における不正アクセス行為の発生状況等」によると、2025年の不正アクセス禁止法違反事件の検挙件数は431件、検挙人員は248人だった。前年より検挙件数は132件減少したが、不正アクセス行為そのものは407件で、全体の90%以上を占めた。
不正アクセス後に行われた行為別では、2025年は「インターネットバンキングでの不正送金等」が4,747件で最多、「証券会社のインターネット取引サービスでの不正取引等」が1,484件、「インターネットショッピングでの不正購入」が228件とされている。電子チケットの不正取得も、構造としては「アカウントを奪い、経済的価値のあるデジタル資産を移す」点で同種のリスクを持つ。
| 統計項目 | 2025年の数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 不正アクセス禁止法違反事件の検挙件数 | 431件 | 国家公安委員会・総務省・経産省 |
| 検挙人員 | 248人 | 同上 |
| 不正アクセス行為の検挙件数 | 407件 | 同上 |
| インターネットショッピングでの不正購入 | 228件 | 同上 |
電子チケット転売が持つ3つの問題
購入者の財産被害
第一に、購入者本人がチケット代を失う被害である。万博の電子チケットは、単なるQRコードではなく、来場日時予約やパビリオン予約とも結びつく。チケットが第三者に移されれば、金銭だけでなく、予定していた来場体験そのものが失われる。
大規模イベントの運営リスク
第二に、イベント運営の信頼性への影響である。万博のような国家的イベントでは、電子チケット、来場予約、入場管理が一体で運用される。チケットの不正取得や高額転売が広がれば、正規購入者の不満、入場ゲートでの混乱、問い合わせ対応の負担が増大する。
犯罪収益化のリスク
第三に、チケットが犯罪収益化の対象になる点である。今回の再逮捕容疑には、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)も含まれている。単発の不正ログインではなく、複数人で役割を分担し、チケットを移転・転売し、得た資金を隠す構造が疑われている。
大規模イベントのデジタル防犯は社会インフラ対策になった
大阪・関西万博はすでに閉幕しているが、今回の事件が示す論点は今後も残る。スポーツ大会、音楽イベント、観光施設、交通系予約、行政サービスなど、本人IDに価値のある電子チケットや予約情報がひも付く仕組みは今後さらに増える。
日本社会にとって重要なのは、電子化を止めることではない。電子化によって利便性を高めつつ、本人確認、多要素認証、不審ログイン検知、譲渡履歴の追跡、転売サイトとの情報連携を強化することである。とくに大規模イベントでは、外国人観光客や訪日客も利用するため、多言語での注意喚起と不正転売対策を同時に進める必要がある。
また、容疑者の国籍は報道上の事実として扱うべきだが、国籍全体への一般化は避ける必要がある。本件の本質は、中国籍かどうかではなく、電子チケットを不正取得し、転売・収益化した疑いがある点にある。行為事実と制度上の隙を分けて検証することが、再発防止につながる。
利用者が取るべき防犯策
- 万博IDやイベントIDで使うパスワードを他サービスと使い回さない
- 公式サイト以外のログイン画面にIDやパスワードを入力しない
- ワンタイムパスワードや生体認証など多要素認証を有効にする
- 身に覚えのない譲渡履歴、ログイン通知、予約変更があればすぐ運営と警察に相談する
- 仲介サイトやSNSで高額・不自然に安い電子チケットを購入しない
電子チケットは便利である一方、データ上の権利として移転しやすい。だからこそ、利用者側のアカウント管理と、運営側の不正検知の双方が不可欠となる。
賛成・反対・中立の視点
厳罰・摘発強化を求める視点
他人のアカウントを使って電子チケットを取得し、転売利益を得る行為は、被害者の財産を奪うだけでなく、大規模イベント全体の信頼を損なう。転売サイトや決済口座、出金履歴まで追跡し、関与者を徹底的に摘発すべきだという立場である。
利用者保護を重視する視点
電子チケットは利用者にとって仕組みが分かりにくく、被害に遭っても返金や補償が難しい場合がある。運営側は不正ログインの可能性がある履歴を利用者に通知し、救済手続きや相談窓口を分かりやすく整備すべきだという見方である。
制度改善を重視する中立的視点
必要なのは、電子チケットを否定することではなく、譲渡機能と本人確認のバランスを見直すことである。家族や同行者への正当な受け渡しは維持しつつ、不自然な大量譲渡、短時間のログイン異常、転売サイトとの接続を検知する仕組みを強化することが現実的な対策となる。
クロ助とナルカの視点


















編集部まとめ
- 事件の概要:福井県警は2026年6月29日、大阪・関西万博の電子チケット2枚を不正取得した疑いなどで、中国籍の飲食業の男(47)を再逮捕した。
- 前回逮捕:男は6月9日にも、万博のチケット販売サイトへ不正ログインしたとして、不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕されていた。
- 余罪の焦点:県警は仲介サイトを通じて60枚以上を転売していた疑いがあるとみて調べている。男は容疑を否認している。
- 国益的示唆:大規模イベントの電子チケットは、利便性と同時に犯罪収益化の対象にもなる。本人確認、譲渡履歴、不審ログイン検知、転売サイト対策の強化が必要である。











コメント