任期満了に伴う沖縄県知事選は2026年9月13日に投開票され、自民党など6党の推薦を受けた無所属新人で前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)が初当選した。3期目を目指した現職の玉城デニー氏(66)らを破り、8年ぶりの県政交代となる。投票率は61.57%で、前回を3.65ポイント上回った。
古謝氏は、国との連携を生かした経済振興、物価高対策、子育て支援に加え、「観光・健康・環境・海洋・起業」を柱とする新5K経済を掲げた。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設は容認する立場であり、玉城県政が国と対立してきた基地政策も大きく転換する可能性がある。外国人観光客、外国人労働者、米軍関係者、中国との地域交流を含め、沖縄の対外政策がどう変わるかも注目される。
新人記者ナルカ


沖縄県知事選の結果概要
- 投開票日:2026年9月13日
- 当選者:古謝玄太氏、42歳、無所属新人
- 経歴:総務省職員、前那覇市副市長
- 推薦:自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党、公明党沖縄県本部、日本保守党
- 主な対立候補:現職の玉城デニー氏、66歳
- 立候補者数:6人で過去最多
- 最終投票率:61.57%
- 前回比:3.65ポイント上昇
- 主な争点:物価高対策、県民所得、子育て、米軍普天間飛行場の辺野古移設、南西諸島の安全保障
琉球放送は、投票終了直後の出口調査、選挙期間中の情勢調査、期日前投票の動向、取材情報を総合し、13日午後8時に古謝氏の当選が確実と判断した。14日朝には初当選が報じられた。古謝氏は当選後、暮らしと物価高、新産業の育成、子どもの貧困を含む子育て支援に力を入れる考えを示した。
候補者と選挙構図
| 候補者 | 年齢・新旧 | 主な立場・支援 |
|---|---|---|
| 古謝玄太氏 | 42歳・新人 | 自民、維新、国民、参政、公明県本部、保守が推薦。国との連携、経済振興、辺野古移設容認。 |
| 玉城デニー氏 | 66歳・現職 | 立憲、共産、社民などが支援。2期8年の実績と辺野古移設反対を訴えた。 |
| 兼島俊氏 | 48歳・新人 | 会社社長。 |
| 末吉正弘氏 | 73歳・新人 | 医療法人会長。 |
| 比嘉隆氏 | 49歳・新人 | 会社社長。 |
| 屋良朝助氏 | 74歳・新人 | 政治団体代表。 |
候補者は過去最多の6人だったが、選挙戦は古謝氏と玉城氏による事実上の一騎打ちとして展開された。古謝氏は複数の保守・中道路線の政党から幅広い推薦を受け、玉城氏は「オール沖縄」を支えてきた政党や勢力の支援を受けた。
今回の結果は、辺野古移設の賛否だけでなく、物価高や所得、子育て、行政の実行力を重視した有権者が増えたことを示す可能性がある。ただし、選挙結果だけから投票理由を一つに断定することはできない。出口調査や地域別得票、年代別傾向を合わせて検証する必要がある。
古謝玄太氏とは
古謝氏は1983年生まれで那覇市出身。地元の私立高校から東京大学へ進み、卒業後は総務省に入省した。国の行政機関や民間での経験を経て沖縄へ戻り、2022年の参議院選挙沖縄選挙区に立候補した。約27万票を獲得して現職に迫ったものの落選した。
同年12月に那覇市副市長へ就任し、2026年2月に辞職。今回が初めての県知事選挑戦だった。選挙戦では、総務官僚と那覇市副市長の経験を生かし、国や経済界と交渉できる実行力を前面に出した。
| 時期 | 経歴・出来事 |
|---|---|
| 1983年 | 那覇市に生まれる。 |
| 大学卒業後 | 総務省に入省し、官僚として勤務。 |
| 2022年7月 | 参議院選挙沖縄選挙区に立候補。約27万票を獲得したが落選。 |
| 2022年12月 | 那覇市副市長に就任。 |
| 2026年2月 | 県知事選への準備に伴い那覇市副市長を辞職。 |
| 2026年3月 | 沖縄県知事選への立候補を正式表明。 |
| 2026年9月13日 | 沖縄県知事選で初当選。 |
古謝氏が掲げた主要政策
「新5K経済」と県民所得500万円
古謝氏は、観光、健康、環境、海洋、起業を成長分野に位置づける「新5K経済」を掲げた。ヘルスケアや創薬、ブルーエコノミーなど、観光だけに依存しない産業を育成し、4年間で経済成長率7%を目指すとしている。
一人当たり県民所得については、3年前の倍以上となる500万円を目標に掲げた。観光消費額と子育て支援予算も2倍を目指す。目標は分かりやすい一方、名目所得と実質所得の違い、物価上昇の影響、財源、達成までの工程を今後具体化する必要がある。
物価高と子どもの貧困
沖縄では食料、燃料、住宅費などの上昇が家計を圧迫し、全国と比べて低い所得水準や子どもの貧困が長年の課題となっている。古謝氏は当選後、現在最も困っている問題として暮らしと物価高を挙げ、子育て支援にも力を入れると述べた。
短期的な給付や負担軽減だけでなく、賃金が上がる産業、人材育成、正規雇用、住宅、教育を一体で進められるかが評価の基準になる。
国との協議再開
古謝氏は、10年以上開かれていない沖縄政策協議会の再開を求め、基地負担の軽減、返還後の跡地利用、沖縄振興を進めるとしている。国と対立する場面が多かった玉城県政から、協議と連携を重視する県政への転換が予想される。
辺野古移設を容認 基地政策はどう変わるか
古謝氏は、米軍普天間飛行場の危険性を早期に除去するため、工事が進んでいる名護市辺野古への移設を容認している。嘉手納基地より南にある米軍施設の返還促進も訴えた。玉城氏は2期8年にわたり辺野古移設反対を県政の柱としてきたため、知事交代による最大の政策転換点となる。
一方、古謝氏は当選後、普天間飛行場の明確な返還期日が示されていないとして、政府へ期日の明確化を求める考えを示した。移設容認は、米軍基地に関するすべての政府方針を無条件に受け入れることと同じではない。工事の安全、環境保全、騒音、事件・事故、跡地利用、地元自治体との合意形成について、県として国へ具体的な条件を求める必要がある。
外国人政策と観光への影響
外国人観光客数より「消費額」を重視
沖縄経済にとって、航空便とクルーズ船で訪れる外国人観光客は重要な需要である。古謝氏は観光消費額の倍増を掲げており、単純な来訪者数だけでなく、宿泊、飲食、交通、地域体験、県産品購入へ消費を広げる政策が想定される。
ただし、観光客の急増は交通渋滞、レンタカー事故、ごみ、住宅の宿泊施設化、自然環境への負荷を生む。観光振興と同時に、多言語での交通ルール周知、違法民泊対策、港・空港の水際管理、地域住民の生活環境を守る仕組みが必要だ。
外国人労働者の受け入れ
ホテル、飲食、バス、介護、建設などでは人手不足が続き、沖縄でも特定技能を含む外国人材への依存が進んでいる。観光消費額を増やすには、サービスを支える働き手も必要になる。
新県政には、受け入れ人数の確保だけでなく、適正な賃金、住居、日本語教育、職場の相談窓口、災害時の多言語情報を整える責任がある。低賃金の労働力として固定すれば、日本人の賃金上昇も妨げかねない。県民所得を上げる政策と外国人雇用政策を別々に扱わないことが重要となる。
中国との地域交流と安全保障
玉城県政は、中国との観光、経済、文化交流を含む地域外交を進めてきた。一方、尖閣諸島周辺の中国海警局船の活動や台湾有事への懸念から、対中姿勢への批判もあった。
古謝県政では、国の外交・安全保障政策との連携が強まる可能性がある。しかし、中国人観光客や企業、留学生との民間交流まで一律に縮小すれば、沖縄経済の機会を失う。領土と安全保障では毅然とした対応を求め、合法で透明な観光・経済交流は進めるという線引きが必要である。
米軍関係者の事件・事故への対応
基地政策では、施設の移設や返還だけでなく、米軍関係者による交通事故、飲酒運転、暴行、性犯罪などへの対応が県民の安全に直結する。辺野古移設を容認する立場であっても、事件・事故に対する日本側捜査、再発防止、被害者支援、日米地位協定の運用改善を求める県の役割は変わらない。
国との関係改善によって、基地負担軽減や返還期日の明確化、情報公開をどこまで実現できるかが古謝県政の試金石となる。協調を成果へ変えられなければ、県民から「政府に近いだけ」と批判される可能性がある。
選挙結果から読み取れること
最終投票率は61.57%となり、2022年の前回選挙より3.65ポイント上昇した。選挙への関心が高まった背景には、接戦、政党の幅広い推薦、物価高、基地問題、安全保障、SNS上の情報戦など複数の要因が考えられる。
古謝氏の勝利は保守系勢力にとって大きな成果であり、自民党の鈴木俊一幹事長は政権基盤の安定につながるとの認識を示した。しかし、県知事は国政与党の代理人ではなく、沖縄県民全体の代表である。玉城氏を支持した有権者や辺野古移設に反対する住民の声も含め、分断を広げずに県政を運営できるかが問われる。
賛成・反対・中立の視点
県政交代を評価する視点
国との対立が続いて政策が停滞したとして、若い知事による行政刷新と経済振興を期待する考え方である。国との協議を再開し、基地返還、跡地利用、観光、産業、子育てを具体的に進めることを求める。
基地政策の転換を懸念する視点
辺野古移設容認によって、沖縄に基地負担が固定化されるとの懸念がある。政府との協調が優先され、県民の反対意見や環境問題が軽視されないかを厳しく監視すべきだという立場である。
実績で評価する中立的視点
保守か革新か、辺野古に賛成か反対かだけで新県政を評価せず、県民所得、物価、子どもの貧困、基地返還、観光消費、交通渋滞などの数値を定期的に検証すべきだという考え方である。高い目標には、基準年、財源、工程、進捗公開が必要となる。
クロ助とナルカの視点


















編集部まとめ
- 選挙結果:前那覇市副市長の古謝玄太氏が、現職の玉城デニー氏らを破り初当選。投票率は61.57%だった。
- 経済政策:観光、健康、環境、海洋、起業の新5K経済、県民所得500万円、観光消費額と子育て予算の倍増を掲げた。
- 基地政策:辺野古移設を容認しつつ、普天間飛行場の返還期日の明確化や嘉手納以南の施設返還を政府へ求める方針。
- 外国人関連:インバウンド振興、外国人労働者の就労環境、米軍関係者の事件・事故、中国との交流と安全保障が新県政の重要課題となる。
- 今後の評価:国との協調を、県民所得、基地負担軽減、子どもの貧困対策など具体的な成果へ変えられるかが問われる。
出典
- 産経新聞「沖縄県知事選、保守系新人の古謝玄太氏の初当選確実 現職の玉城デニー氏ら破る」2026年9月13日
- 琉球放送/TBS NEWS DIG「古謝玄太氏が当選確実 3期目めざした現職・玉城デニー氏を破る」2026年9月13日
- 琉球放送/TBS NEWS DIG「新人・古謝玄太氏が初当選」2026年9月14日
- 琉球放送/TBS NEWS DIG「最終投票率は61.57%」2026年9月14日
- 沖縄県選挙管理委員会「令和8年沖縄県知事選挙特設ページ」
- 沖縄テレビ/FNN「古謝玄太氏が政策発表 県民所得倍増目指す」2026年8月14日
内部関連記事













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