警察官などになりすまして高齢者2人からだまし取った現金計1,500万円を回収したとして、岡山県警は2026年9月9日、中国人の会社役員の女(31)と会社員の女(34)を詐欺の疑いで逮捕した。
KSB瀬戸内海放送によると、愛媛県の女性(72)が700万円、大分県の男性(74)が800万円をだまし取られた。電話をかけた人物らは「犯罪に関わる金銭を受け取った嫌疑がある」「紙幣番号を調査する」などとうそを言い、現金を入れたバッグを自宅の外へ置かせたとされる。
逮捕された2人はいずれも現金を受け取った事実を認める一方、詐欺でだまし取られた金とは知らなかったとして容疑を否認しているという。警察は匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」による事件とみて捜査している。逮捕は有罪の確定を意味しない。
新人記者ナルカ


事件の概要
- 逮捕日:2026年9月9日
- 容疑:詐欺の疑い
- 逮捕された人物:中国人の会社役員の女(31)と会社員の女(34)
- 被害者:愛媛県の女性(72)、大分県の男性(74)
- 被害額:700万円と800万円、合計1,500万円
- 手口:警察官などを名乗り、犯罪への関与や紙幣番号の調査を口実に現金を屋外へ置かせた疑い
- 逮捕された2人の役割:だまし取った現金の回収役とみられる
- 認否:現金を受け取ったことは認める一方、詐欺被害金とは知らなかったとして否認
- 警察の見立て:トクリュウによる組織的な特殊詐欺の可能性
愛媛県の女性から700万円を回収した疑い
報道によると、会社役員の女は、千葉市の無職の女(26)や氏名不詳者らと共謀した疑いが持たれている。3月4日ごろから12日までの間、何者かが愛媛県の女性宅へ複数回電話し、警察官などになりすました。
電話では、「犯罪に関わる金銭を受け取った嫌疑がある」「紙幣番号を調査するので、現金を入れたバッグを家の外に置いてほしい」という趣旨の説明があったという。女性は12日、自宅敷地内に現金700万円が入ったバッグを置き、女らが持ち去った疑いがある。
大分県の男性から800万円を回収した疑い
会社員の女は、同様の手口で大分県の男性からだまし取られた現金800万円を、3月16日に回収した疑いが持たれている。二つの事件は被害県が異なる一方、警察官をかたり、現金を指定場所へ置かせ、別の人物が回収する構造が共通している。
遠隔地から電話をかける役、被害者を信じ込ませる役、現金を回収する役、回収金を上位者へ運ぶ役などが分かれていれば、被害者が接触する人物は組織の末端にすぎない可能性がある。警察は携帯電話、移動記録、報酬、指示系統、資金の流れを追う必要がある。
別の窃盗事件の捜査から浮上
岡山中央署は、共犯とされる千葉市の無職の女を、倉敷市の住宅へ侵入し腕時計などを盗んだ疑いで4月13日に逮捕していた。その関連捜査で、中国人の女2人の関与が浮上したという。
特殊詐欺だけを単発で捜査するのではなく、住宅侵入、盗品、口座、通信アプリ、現金回収など別事件の情報を結び付けることが、組織の全体像を解明する手掛かりとなる。警察は2人が他の事件にも関与したかを調べるとみられる。
| 時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 3月4日~12日 | 愛媛県の女性宅へ複数回電話し、警察官などを装った疑い。 |
| 3月12日 | 自宅敷地内に置かせた現金700万円を回収した疑い。 |
| 3月16日 | 大分県の男性からだまし取った現金800万円を回収した疑い。 |
| 4月13日 | 共犯とされる千葉市の女を、倉敷市での窃盗事件をめぐり逮捕。 |
| 9月9日 | 関連捜査で浮上した中国人の女2人を詐欺容疑で逮捕。 |
「受け取ったが詐欺金とは知らなかった」という否認
2人は、現金を受け取ったこと自体は認めていると報じられている。一方で、それが詐欺でだまし取られた金だとは知らなかったとして、詐欺への故意を否定している。
捜査では、誰からどのような指示を受けたのか、報酬はいくらだったのか、通常の仕事では考えにくい受け渡し方法に疑問を持たなかったのか、過去にも同様の回収を行っていたのかが確認される。現金を受け取った事実だけで、詐欺の共犯が自動的に成立するわけではなく、犯罪であることの認識や共謀を証拠によって立証する必要がある。
トクリュウ型特殊詐欺の分業構造
トクリュウは、匿名・流動型犯罪グループの略称で、SNSや知人関係を通じて集まった人物が、役割を変えながら詐欺、強盗、窃盗などに関与する形態を指す。固定的な組織名や構成員名簿がなく、事件ごとに実行役が入れ替わるため、上位指示役の特定が難しい。
特殊詐欺では、電話をかける「かけ子」、現金やカードを受け取る「受け子」、回収物を集める役、口座や通信機器を準備する役などが存在する。受け子や回収役だけを逮捕しても、新たな人材が補充されれば被害が続く。募集経路、報酬の送金、通信アカウント、指示役まで追跡する捜査が必要になる。
ニセ警察詐欺を見抜くポイント
- 警察が電話で「あなたが犯罪に関与している」と突然告げる
- 捜査や紙幣確認を理由に現金を用意させる
- 現金やキャッシュカードを玄関先、屋外、宅配ボックスなどへ置かせる
- 「秘密の捜査なので家族に話すな」と口止めする
- SNSやビデオ通話へ誘導し、偽の警察手帳や逮捕状を見せる
- 指定口座への送金や暗号資産の購入を求める
このような電話を受けた場合は、相手から聞いた番号へ折り返さず、一度通話を切る。警察相談専用電話「#9110」や最寄りの警察署の公式番号、家族へ相談する。緊急性が高い場合や、すでに受け取り役が近くにいる場合は110番通報が必要だ。
「自分は犯罪に関わっていない」と証明しようとして、相手の指示に従ってはいけない。捜査機関が現金を自宅の外へ置かせたり、資産を安全口座へ移すよう求めたりすることはない。
SNSでの反応
Xでは、「警察官を名乗る詐欺が全国へ広がっている」「高齢の家族に手口を伝えたい」「回収役だけでなく指示役と資金の行き先を解明してほしい」といった反応が見られた。国境を越える通信・送金ルートへの関心も高い。
一方、容疑者の国籍だけを理由に中国人全体を犯罪と結び付ける投稿もある。本件で問われているのは、逮捕された2人が詐欺被害金と認識して回収したか、犯罪グループと共謀したかである。国籍ではなく、通信、移動、金銭、指示系統の証拠で判断される。
賛成・反対・中立の視点
組織犯罪対策の強化を求める視点
広域に被害が発生し、役割分担が行われている以上、都道府県警の情報共有、通信事業者や金融機関との連携、海外当局との協力を強化すべきだという考え方である。
末端役だけへの重罰化に慎重な視点
仕事だと偽られて参加した人や、犯罪内容を知らされていなかった人が含まれる可能性もある。関与の程度と故意を個別に立証し、指示役や利益を得た中核人物を優先して摘発すべきだという視点である。
中立的な視点
受け子・回収役の摘発は被害防止に必要だが、募集、通信、資金移動を含む犯罪インフラを遮断しなければ再発を防げない。厳正な捜査と、住民への具体的な注意喚起を並行して行う必要がある。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 事件の要点:愛媛、大分の高齢者からだまし取った計1,500万円を回収した疑いで、中国人の女2人が逮捕された。
- 手口:警察官などを名乗り、犯罪への関与や紙幣番号の調査を口実に現金を屋外へ置かせたとされる。
- 認否:2人は受け取りを認める一方、詐欺被害金とは知らなかったとして容疑を否認している。
- 捜査の焦点:トクリュウの指示役、募集経路、報酬、被害金の移動、他事件への関与が注目される。
- 注意喚起:警察が現金を屋外へ置かせたり、安全口座への送金を求めたりすることはない。不審な電話は切って公式番号へ確認する。
出典
- KSB瀬戸内海放送「警察官らになりすまして高齢者2人からだまし取った現金を回収した疑い 中国人の女2人を逮捕」2026年9月9日
- 警察庁「特殊詐欺対策」
- e-Gov法令検索「刑法」
- Yahoo!リアルタイム検索「トクリュウ 逮捕」
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