ドラッグストアで医薬品などを大量に盗んだグループの「回収役」として、盗品を受け取っていた疑いにより、ベトナム国籍の49歳の女が逮捕された。
テレビ朝日の報道によると、逮捕されたのは、ベトナム国籍で無職のトラン・ティ・スン容疑者(49)。仲間と共謀し、2025年、川崎市中原区のドラッグストアから医薬品など11点を盗んだ疑いが持たれている。
警察は、トラン容疑者が店舗で商品を直接持ち出す実行役ではなく、別の人物が盗んだ商品を受け取る「回収役」だったとみている。千葉県内の集合住宅の一室を拠点とし、複数の実行役から医薬品などを集めていた疑いがある。
拠点からは、盗品とみられる医薬品などが箱詰めされた状態で見つかり、はかりも押収された。警察は、商品を仕分け、計量、梱包したうえで、次の搬送担当者へ渡していた可能性も視野に調べるとみられる。
警察によると、この犯行グループは2025年6月以降、神奈川県を中心に83件の窃盗を繰り返し、被害品は合わせて4000点以上に上るとされる。警察は指示役を追うとともに、盗まれた医薬品などが最終的にベトナムへ送られていた可能性があるとみて、流通経路を捜査している。
新人記者ナルカ


事件の概要
- 逮捕者:ベトナム国籍、無職のトラン・ティ・スン容疑者(49)
- 逮捕容疑:窃盗の疑い
- 個別の容疑:2025年、川崎市中原区のドラッグストアで医薬品など11点を盗んだ疑い
- 警察の見立て:窃盗グループの「回収役」
- 回収拠点:千葉県内の集合住宅の一室
- 押収品:箱詰めされた医薬品など、はかり
- グループの活動時期:2025年6月以降
- 主な被害地域:神奈川県を中心とする地域
- グループ全体の被害:83件、4000点以上
- 警察の捜査:指示役と盗品の流通・海外搬出経路を捜査
- 最終的な搬出先:ベトナムへ送られていた可能性があると警察がみている
- 認否:報道された範囲では明らかにされていない
時系列で見る事件
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年6月ごろ | 窃盗グループが神奈川県を中心にドラッグストアでの窃盗を始めたとされる。 |
| 2025年 | 川崎市中原区のドラッグストアで、医薬品など11点が盗まれた疑い。 |
| 犯行後 | 盗品が千葉県内の集合住宅の一室へ運ばれ、トラン容疑者が受け取ったと警察はみている。 |
| 捜査過程 | 拠点から、盗品とみられる箱詰めの医薬品などとはかりを押収。 |
| 2026年7月 | 警察がトラン容疑者を窃盗容疑で逮捕。 |
| 現在 | 指示役、実行役、運搬役、海外搬出経路、被害品の最終的な販売先を捜査。 |
警察がみる「回収役」の役割
組織的な大量万引きでは、一人が商品を盗んでそのまま転売するのではなく、複数の人物が役割を分担することがある。
| 役割 | 主な行為 |
|---|---|
| 指示役 | 盗む商品、店舗、数量、搬送先などを指示する。 |
| 実行役 | ドラッグストアなどへ入り、商品を盗む。 |
| 運搬役 | 盗品を店舗周辺から保管拠点へ運ぶ。 |
| 回収役 | 複数の実行役から盗品を受け取り、拠点に集約する。 |
| 仕分け・梱包役 | 商品を種類や重量ごとに整理し、箱詰めする。 |
| 海外搬送役 | 国際郵便、貨物、航空機の手荷物などで海外へ運ぶ。 |
| 販売役 | 国内外で盗品を販売し、利益を得る。 |
今回、トラン容疑者は「回収役」とみられている。拠点に多数の商品が箱詰めされ、はかりが置かれていたことから、警察は、受け取った商品を整理し、搬送しやすい状態へまとめていた可能性も調べるとみられる。
一方、はかりが実際に盗品の計量へ使用されたか、トラン容疑者自身が仕分けや梱包を担当したかは、報道段階では確定していない。
83件・4000点超はグループ全体の規模
犯行グループは2025年6月以降、神奈川県を中心に83件、合わせて4000点以上の商品を盗んだとされる。
単純計算では1件当たり約48点となるが、実際の被害点数は事件ごとに異なる。医薬品、化粧品、健康関連商品など、比較的小型で持ち運びやすく、国内外で需要のある商品が狙われた可能性がある。
しかし、トラン容疑者に対する今回の逮捕容疑は、川崎市中原区の店舗で医薬品など11点を盗んだとされる1件である。警察が83件すべてを同容疑者の犯行として立件したわけではない。
窃盗罪と共犯の成立
刑法第235条は、他人の財物を窃取した者を窃盗罪として処罰し、法定刑を10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定めている。
店舗で商品を直接持ち出していなくても、事前に実行役と意思を通じ、盗品回収を担当するなど、犯行に不可欠な役割を分担していたことが認められれば、共同正犯として窃盗罪に問われる可能性がある。
捜査では、実行役との連絡、盗む商品の指定、盗品であることの認識、報酬の有無、指示役との関係、拠点の管理状況などが確認される。
一方、盗難後に初めて盗品と知って受け取った場合は、窃盗の共犯ではなく、盗品等に関する罪が問題となることもある。今回、警察は窃盗容疑で逮捕しているため、犯行前からの共謀や役割分担を示す証拠が焦点となる。
盗品等に関する罪との違い
| 関与の形態 | 問題となる罪 |
|---|---|
| 盗難前から実行役と共謀し、盗品回収を担当 | 窃盗の共同正犯となる可能性 |
| 盗難後に盗品と知って受け取る | 盗品無償譲受け等が問題となる可能性 |
| 盗品と知って保管・運搬する | 盗品運搬・保管が問題となる可能性 |
| 盗品と知って買い取り、販売を仲介する | 盗品有償譲受け・有償処分あっせんが問題となる可能性 |
なぜ医薬品やドラッグストア商品が狙われるのか
ドラッグストアの商品は、小型で持ち運びやすく、一定の需要がある。医薬品、化粧品、健康食品、育毛剤、目薬などは、商品によって単価も高く、大量に集めても保管しやすい。
海外では、日本製の商品に品質面での信頼を持つ消費者もいる。正規流通品より安く販売できれば、盗品であっても大きな利益を得られる可能性がある。
ただし、今回盗まれた具体的な商品名、医薬品の区分、販売価格、海外での販売方法は公表されていない。
盗品医薬品の不正流通が生む危険
盗まれた医薬品が正規の流通管理から外れて販売された場合、購入者は保管状況、使用期限、改ざんの有無を確認できない。
医薬品には、高温、多湿、直射日光によって品質が低下するものがある。保管拠点や輸送中の温度管理が不明な商品が流通すれば、期待した効果が得られないだけでなく、健康被害につながるおそれもある。
また、外箱や説明書が日本語のみの場合、海外の購入者が用法・用量、禁忌、副作用を正確に理解できない可能性がある。
ベトナムへの搬出を警察が捜査
警察は、盗まれた医薬品などが最終的にベトナムへ送られていたとみて調べている。
ただし、発送方法、発送名義、輸送会社、送り先、販売先は明らかになっていない。国際郵便、航空機の手荷物、貨物便など、具体的な搬出方法を断定することはできない。
捜査では、拠点から押収された段ボール、送り状、携帯電話、SNSの通信履歴、送金記録などから、指示役、発送担当者、ベトナム側の受取人、現地での販売先、犯行収益の流れを確認するとみられる。
警察庁が警戒する組織的大量万引き
警察庁は、海外の指示役、国内の実行役、盗品回収役、海外搬送役が分業する大量万引きを治安上の課題としている。
首都圏では、外国人によるドラッグストアでの大量万引きが相次いだことを受け、警察庁が2025年に防犯対策の指針を策定した。被害が集中する商品をレジ付近へ移す、防犯カメラを増設する、複数人による不審行動を共有するなど、店舗側の対策が求められている。
ドラッグストア側の被害
大量万引きでは、盗まれた商品の価格だけでなく、防犯設備、警備員、人員配置、棚の変更、在庫確認などの追加費用が発生する。
- 商品の直接的な損失
- 欠品による販売機会の喪失
- 防犯カメラやゲートの設置費用
- 高額商品を施錠棚へ移す作業
- 従業員による監視負担
- 警察への被害届や映像提出
- 棚卸し差異の調査
店舗で考えられる防犯対策
- 被害が多い商品の陳列場所をレジ付近へ移す
- 高額・小型商品を鍵付き棚や空箱展示にする
- 複数人が連携する不審行動を従業員間で共有する
- 入口、商品棚、死角へ防犯カメラを配置する
- 近隣店舗や本部と被害情報を共有する
- 警察へ早期通報し、映像を保存する
- 従業員が無理に犯人を制止しない
店舗従業員が窃盗犯を追跡・制止することで、暴行や交通事故へ発展する危険もある。人命を優先し、外見、服装、車両、逃走方向を記録して警察へ通報することが重要となる。
指示役の摘発が最大の焦点
実行役や回収役を逮捕しても、指示役が別の人物を募集すれば、同様の犯行が継続する可能性がある。
警察が指示役を捜査していることは、今回の事件を個別の万引きではなく、組織的な盗品流通事件として見ていることを示している。
- 押収した携帯電話やSNSアカウントの解析
- 盗む商品の指示内容
- 報酬の支払いや海外送金
- 航空券、国際郵便、貨物の記録
- ベトナム側の受取人や販売業者
- 拠点の賃貸契約や名義人
- 他の実行役・回収役との通信
賛成・反対・中立の視点
厳正な処分を求める視点
83件、4000点以上の被害が組織的に発生し、盗品が海外へ搬出されていた疑いが事実であれば、単純な万引きではなく、店舗と正規流通を狙った重大な犯罪である。回収役、指示役、搬送役、販売役まで厳正に摘発すべきだという立場である。
個別の関与を慎重に判断する視点
トラン容疑者の具体的な逮捕容疑は医薬品など11点の窃盗であり、83件すべてへの関与が立件されたわけではない。回収役としての認識、共謀、受け取った商品数を証拠に基づいて判断すべきだという考え方である。
流通遮断を重視する中立的視点
実行役の逮捕だけでなく、保管拠点、輸送経路、海外受取人、販売ルート、犯罪収益の流れを断つ必要がある。店舗防犯と国際捜査を組み合わせる立場である。
クロ助とナルカの視点
























編集部まとめ
- 逮捕容疑:トラン・ティ・スン容疑者(49)が、仲間と共謀して川崎市中原区のドラッグストアから医薬品など11点を盗んだ疑いで逮捕された。
- 警察の見立て:トラン容疑者は、実行役から盗品を受け取る「回収役」だったとみられている。
- 拠点:千葉県内の集合住宅の一室から、箱詰めされた医薬品などとはかりが押収された。
- グループの被害:2025年6月以降、神奈川県を中心に83件、4000点以上を盗んだとされる。
- 注意点:83件・4000点超はグループ全体の規模であり、トラン容疑者個人の全件関与が確定したわけではない。
- 海外流通:警察は、盗品が最終的にベトナムへ送られた可能性を調べているが、具体的な輸送方法や販売先は不明。
- 今後の焦点:指示役、実行役、搬送役、海外受取人、犯罪収益の流れを解明できるかが重要となる。
出典
- テレビ朝日「医薬品など4000点以上窃盗か 被害品『回収役』のベトナム国籍女逮捕」2026年7月23日
- TBS NEWS DIG「首都圏で相次ぐドラッグストアの大量万引き 警察庁が防犯対策の指針策定」2025年2月4日
- e-Gov法令検索「刑法」窃盗罪、盗品等に関する罪













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