就労資格のないタイ人を長野県内の農園などに紹介し、不法就労させたとして、埼玉県警は2026年5月13日、タイ国籍の女性3人を入管法違反、不法就労あっせんの疑いで逮捕した。毎日新聞などが報じた。
逮捕されたのは、埼玉県草加市北谷2の無職、スズキ・チャリヤ容疑者(62)、長野県須坂市須坂の無職、クドウ・ラッチャニー容疑者(74)らタイ国籍の女性3人。逮捕容疑は2025年5〜6月ごろ、就労資格のないタイ人2人を長野県飯綱町のリンゴ農園などの経営者に紹介し、雇用させた疑いとされる。県警は3容疑者の認否を明らかにしていない。
新人記者ナルカ


タイ人をリンゴ農園に不法就労あっせんか
- 逮捕日:2026年5月13日
- 逮捕容疑:入管法違反、不法就労あっせんの疑い
- 逮捕者:タイ国籍の女性3人
- 主な容疑者:スズキ・チャリヤ容疑者(62)、クドウ・ラッチャニー容疑者(74)ら
- あっせん先:長野県飯綱町のリンゴ農園など
- 対象者:就労資格のないタイ人2人
- 時期:2025年5〜6月ごろ
- 認否:県警は明らかにしていない
- 捜査の焦点:報酬の有無、あっせん人数、タイ国内の関与者、雇用主側の責任
経緯・時系列
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2023年8月ごろ | FNN報道によると、スズキ容疑者はこのころから少なくとも数十人の不法就労者をあっせんし、報酬を得ていたとみられる |
| 2025年5月 | 就労資格のないタイ人を長野県飯綱町のリンゴ農園の経営者に紹介し、雇用させた疑い |
| 2025年6月 | 長野県須坂市内のブドウ農園でも、雇用主に不法就労者を紹介して働かせていたと報じられる |
| 2025年10月 | 茨城県内の飲食店でも、不法就労者を紹介して働かせていたとされる |
| 2026年1月 | 県警が、あっせんを受けた雇用主を入管法違反、不法就労助長容疑で逮捕したと報道 |
| 2026年5月13日 | 埼玉県警がタイ国籍の女性3人を不法就労あっせん容疑で逮捕 |
短期滞在を装って入国か
毎日新聞系の配信では、不法就労者のタイ人は、タイ国内のあっせん役から入国手続きなどの助言を受け、観光での短期滞在を装って入国していたと報じられている。短期滞在は観光、親族訪問、短期商用などを目的とする在留資格であり、原則として日本で収入を伴う就労は認められない。
この点から、今回の事件は「働く資格のない人を雇った」というだけでなく、入国前から就労を前提にしたルートが存在した可能性がある。県警は、タイ国内にもあっせんに関与した人物がいるとみて実態解明を進めていると報じられている。
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 入国方法 | 観光目的の短期滞在を装って入国した疑い |
| 就労資格 | 短期滞在では、原則として収入を伴う就労はできない |
| 国内あっせん | 日本国内で農園や飲食店に紹介した疑い |
| 海外あっせん | タイ国内にも入国手続き助言などに関与した人物がいる可能性 |
長野の農園、茨城の飲食店にも紹介か
FNNは、スズキ容疑者らが長野県須坂市内のブドウ農園や茨城県内の飲食店でも、就労資格のないタイ人を経営者に紹介して働かせていたと報じている。また、スズキ容疑者は2023年8月ごろから、少なくとも数十人の不法就労者をあっせんし、報酬を得ていたとみられるという。
農業や飲食業は人手不足が深刻な業種であり、繁忙期や低賃金労働の現場で外国人労働者に依存しやすい。一方で、就労資格の確認が甘くなれば、不法就労やブローカーの温床になりやすい。今回の事件では、雇用主側にも不法就労助長容疑が向けられている点が重要である。
不法就労あっせんとは何か
不法就労あっせんとは、働く資格のない外国人や、在留資格で認められた範囲を超えて働く外国人を、事業者などに紹介し、働かせる行為である。入管法では、不法就労をさせた者、不法就労をあっせんした者、不法就労を支配・管理した者が処罰対象になり得る。
| 行為 | 具体例 |
|---|---|
| 不法就労者を雇う | 短期滞在や不法滞在の外国人を農園や飲食店で働かせる |
| 不法就労をあっせんする | 就労資格のない外国人を雇用主に紹介し、報酬を得る |
| 不法就労を支配・管理する | 住居、移動、仕事を手配し、賃金の一部を抜く |
| 入国前に助言する | 観光目的を装った入国方法を教え、就労先につなぐ |
雇用主も不法就労助長罪に問われる可能性
不法就労事件では、働いた外国人本人だけでなく、雇った側や紹介した側も責任を問われる。今回の報道でも、県警は2026年1月、3容疑者からあっせんを受けた雇用主を入管法違反、不法就労助長容疑で逮捕していたとされる。
事業者は、外国人を雇用する際に、在留カード、在留資格、在留期限、就労制限の有無、資格外活動許可を確認する必要がある。短期滞在の外国人を農園や飲食店で働かせれば、雇用主側が「知らなかった」と主張しても、確認不足として責任を問われる可能性がある。






農業分野で不法就労が起きやすい理由
農業分野では、収穫期などに短期間で多くの人手が必要になる。リンゴやブドウのような果樹農業では、摘果、袋掛け、収穫、選別、出荷など、季節ごとに人手が集中する作業がある。人手不足が深刻な地域では、合法・違法を問わず「すぐ働ける人」を求める圧力が強くなりやすい。
しかし、そうした現場に不法就労者を送り込むあっせんルートが入り込めば、地域産業そのものが違法雇用に依存する危険がある。真面目に特定技能や技能実習などの制度に基づいて外国人材を受け入れている農家にとっても、不公平な競争につながる。
| 農業分野のリスク | 内容 |
|---|---|
| 季節的な人手不足 | 収穫期などに短期間で労働力が必要になる |
| 紹介依存 | 知人紹介やブローカーに頼りやすい |
| 資格確認の甘さ | 在留カードや就労可否の確認が不十分になりやすい |
| 地方の監視不足 | 都市部より労働実態が見えにくい場合がある |
| 適正雇用との不公平 | 法令順守の農家がコスト面で不利になる |
タイ国内の関与者がいる可能性
報道では、タイ国内にもあっせんに関与した人物がいるとみられる。これは、不法就労が日本国内だけで完結していない可能性を示す。入国前に観光目的を装う方法を教え、日本国内の就労先につなぎ、報酬を得るルートがあれば、国境をまたぐ不法就労ネットワークとして捜査する必要がある。
こうしたルートでは、外国人本人も借金や手数料を背負わされ、弱い立場に置かれることがある。不法就労は違法である一方、悪質なあっせん者に搾取される労働者という側面も確認しなければならない。
企業・農家が確認すべきポイント
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 在留カード | カードの有無、真偽、有効期限を確認する |
| 在留資格 | 短期滞在では就労できない。特定技能など該当資格か確認する |
| 就労制限 | 在留カード表面の「就労制限の有無」を確認する |
| 資格外活動許可 | 留学生や家族滞在の場合は裏面を確認する |
| 紹介元 | 無許可ブローカーや不透明な紹介者を使わない |
| 雇用契約 | 労働条件、賃金、労働時間、社会保険を明確にする |
| 届出 | 外国人雇用状況の届出をハローワークへ行う |
国益視点で見る不法就労あっせん問題
外国人材を受け入れる社会では、適正な在留資格と雇用管理が前提になる。不法就労を放置すれば、税や社会保険の未納、最低賃金違反、労災隠し、ブローカー搾取、地域治安への不安につながる。
特に農業や飲食業のように人手不足が深刻な分野では、「働き手がいないから仕方ない」という空気が生まれやすい。しかし、不法就労者を安く使う構造が広がれば、適正に外国人を雇う事業者や、日本人労働者の待遇改善にも悪影響を及ぼす。
国益上必要なのは、外国人材の受け入れを止めることではなく、合法的な受け入れルートを整え、不法就労をあっせんするブローカーと違法雇用主を排除することである。
クロ助とナルカの視点


















賛否・中立の見方
| 立場 | 主な見方 |
|---|---|
| 厳正対応を求める見方 | 就労資格のない外国人を農園や飲食店に紹介して働かせた疑いは重大。あっせん役、雇用主、海外側関与者まで含めて摘発し、不法就労ルートを断つべき。 |
| 背景分析を重視する見方 | 農業や飲食業の深刻な人手不足が、不透明な紹介や不法就労を呼び込んでいる。合法的な外国人材受け入れ制度の使いやすさや、地方農業の人材確保も見直す必要がある。 |
| 中立的な見方 | 不法就労あっせんは厳しく取り締まるべきだが、外国人本人があっせん者に搾取されている可能性もある。違法雇用主・ブローカーへの対応と、適正な受け入れ制度の整備を両立すべき。 |
編集部でまとめ
- 事実確認:埼玉県警は2026年5月13日、就労資格のないタイ人を長野県飯綱町のリンゴ農園などに紹介し不法就労させたとして、タイ国籍の女性3人を入管法違反、不法就労あっせん容疑で逮捕した。
- 容疑内容:2025年5〜6月ごろ、就労資格のないタイ人2人を農園経営者に紹介し、雇用させた疑いが持たれている。県警は認否を明らかにしていない。
- 広がり:長野県須坂市のブドウ農園や茨城県内の飲食店でも不法就労者を紹介したとされ、タイ国内にもあっせんに関与した人物がいるとみられている。
- 制度論点:不法就労は外国人本人だけでなく、あっせん者、雇用主、ブローカーの責任が問われる。雇用主には在留資格確認の義務がある。
- 国益的示唆:農業・飲食業の人手不足を背景に不法就労が広がれば、適正雇用の事業者が不利になり、地域の労働秩序も崩れる。合法的な外国人材受け入れと、違法あっせんルートの摘発を同時に進める必要がある。











コメント