訪日外国人観光客向けの「公道カート」が、コロナ禍後に再び増加している。ダイヤモンド・オンラインは2026年5月、東京、大阪、京都、沖縄、富士山周辺などで公道カートツアーが広がる一方、無免許運転や保安基準を満たさない違法車両の問題が残っていると報じた。
公道カートは、見た目は遊園地のゴーカートに近いが、公道を走る以上、道路交通法や道路運送車両法の対象となる。日本の免許を持たない外国人が運転するには、日本で有効な国際運転免許証などが必要であり、ジュネーブ条約様式ではない国際免許証では日本国内を運転できない。警視庁も、日本で運転できる国際運転免許証はジュネーブ条約締約国が発行し、同条約に定める様式に合致したものと説明している。
新人記者ナルカ


公道カートが訪日客の間で再び増加
- 報道日:2026年5月1日、配信・転載は2026年5月3日ごろ
- 媒体:ダイヤモンド・オンライン
- 執筆:自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子氏
- 主な場所:東京都内、大阪、京都、沖縄、富士山周辺など
- 利用者:訪日外国人観光客が中心
- 主な問題:無免許運転、国際免許証の不備、違法車両、シートベルト未装着、保安基準違反の疑い
- 関係する行政分野:道路交通法、道路運送車両法、旅行業法、観光行政
ダイヤモンド・オンラインは、コロナ禍で一時姿を消した公道カートが、入国制限の解除後に再燃し、東京都内だけでなく関西エリアや富士山周辺でも隊列走行が見られるようになったと報じている。記事では、人気回復に伴い、無免許運転や違法車両の問題が無視できない状況になっていると指摘している。
経緯・時系列
| 2012年3月 | 東京・秋葉原でレンタル専門店「アキバカート」が開業したと報道 |
| 2010年代半ば | コスプレ公道カートが訪日外国人観光客の間で人気化 |
| 2017年ごろ | 公道カートの事故や安全対策が行政上の課題に |
| 2018年4月 | 国土交通省が公道カートの保安基準を強化 |
| 2020年以降 | コロナ禍で訪日客が減少し、公道カート需要も縮小 |
| 2023年以降 | 入国制限解除により訪日客が回復し、公道カート人気も再燃 |
| 2024年11月 | 観光庁が旅行業者団体に、違法な公道カートツアーのあっせんに関する注意喚起を行ったと報道 |
| 2026年5月 | 無免許運転や違法車両の実態についてダイヤモンド・オンラインが報道 |
公道カートは免許不要ではない
公道カートは、見た目が小型で遊具に近く見えるため、電動キックボードのように手軽に乗れると誤解されやすい。しかし、公道を走る車両である以上、運転には日本で有効な免許が必要となる。
警察庁は、外国の運転免許を持つ人が日本で運転するには、日本の免許証、ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証、または一部国・地域の外国免許証と日本語翻訳文などが必要だと説明している。対象となる一部国・地域には、スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾が含まれる。
外国人観光客が日本で運転する主な条件
| 区分 | 日本での運転可否 |
|---|---|
| 日本の運転免許証 | 有効な免許区分があれば運転可能 |
| ジュネーブ条約様式の国際運転免許証 | 条件を満たせば運転可能 |
| ウィーン条約様式の国際運転免許証 | 日本では原則として運転不可 |
| 一部国・地域の外国免許証+日本語翻訳文 | スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾などは条件付きで可能 |
| 原付免許・二輪免許のみ | 公道カート運転には不十分な場合がある |
警視庁は、日本で運転できる国際運転免許証について、ジュネーブ条約締約国が発行し、同条約の様式に合致したものに限ると説明している。また、国際運転免許証で運転できる期間は、発給から1年以内で、かつ日本に上陸した日から1年以内であることなどが条件となる。
違法車両の焦点は保安基準
公道カートを巡っては、過去の事故を受け、国土交通省が安全基準を強化してきた。国土交通省の資料では、公道カートについて、他車両からの視認性向上、乗員保護、接触事故防止の観点から、シートベルト、フェンダー、尾灯、かじ取り装置、衝撃吸収、ヘッドレスト、視認性向上部品などの安全対策が示されている。
公道カートに求められる主な安全対策
| 項目 | 目的 |
|---|---|
| シートベルト | 乗員保護 |
| フェンダー | タイヤ回転部分の突出防止 |
| 尾灯 | 後続車からの視認性向上 |
| ヘッドレスト | 追突時などの乗員保護 |
| 視認性向上部品 | 大型車や一般車から見落とされにくくするため |
| 衝撃吸収構造 | 接触時の被害軽減 |
問題は、制度上の基準が強化されても、現場で基準を満たさない車両や、不適切な装備のまま走行する車両が残る点にある。ダイヤモンド・オンラインの記事では、保安基準で問題となるシートベルトや尾灯などの装備についても指摘されている。
なぜ公道カートは危険視されるのか
公道カートは車高が低く、一般車両や大型車の運転席から見落とされやすい。さらに、車体が軽く、衝突時の乗員保護性能も一般的な乗用車とは異なる。隊列走行になれば、後続車の追い越しや交差点通過時に交通の流れへ影響する可能性もある。
外国人観光客の場合、日本の道路標識、左側通行、交差点の流れ、歩行者優先ルールに不慣れなケースもある。観光体験として提供される一方で、実際には都市部の一般道を走行するため、事故が起きれば観光客本人だけでなく、歩行者、タクシー、バス、自転車、地域住民にも影響が及ぶ。
主なリスク
- 車体が低く、周囲の車両から見えにくい
- 外国人観光客が日本の交通ルールに不慣れな場合がある
- 国際免許証の様式や有効期限を確認しきれないリスクがある
- 保安基準を満たさない車両が走る可能性がある
- シートベルト未装着や不適切装備のまま走行する可能性がある
- 隊列走行により一般交通へ影響する場合がある
観光業者にも責任が問われる段階に
この問題は、カート店だけの問題ではない。訪日客向けのツアーとして販売される場合、旅行業者や予約サイトが違法または不適切な事業者をあっせんしていないかも焦点になる。
ダイヤモンド・オンラインは、2024年11月に観光庁が国内の旅行業者団体に対し、違法な公道カート事業者によるツアーを訪日客にあっせんすることは旅行業法違反に該当し、処分対象になり得るとの趣旨の通達を行ったと報じている。}
訪日観光の拡大は日本経済にプラスの面がある一方、安全管理が不十分な体験型観光が増えれば、地域住民の不満や事故リスクも高まる。観光収益を優先するあまり、道路交通の安全が軽視されることは避けなければならない。
賛成・慎重・中立の視点
| 立場 | 主な見方 |
|---|---|
| 賛成 | 公道カートは訪日客に人気の体験型観光であり、適法な免許確認と車両整備が行われていれば、観光消費や地域経済に貢献するという見方。 |
| 慎重 | 都市部の一般道を低い車体のカートで走ること自体に危険があり、無免許運転や違法車両が残るなら規制強化が必要だという見方。 |
| 中立 | 全面禁止ではなく、免許確認、車両基準、走行ルート、業者責任、旅行業者のあっせん管理を徹底し、適法な観光事業だけを残すべきという見方。 |
国益的に見た論点
公道カート問題は、単なる観光マナーの話ではない。訪日客の増加に伴い、日本の道路、公共空間、地域住民の安全をどう守るかという問題である。観光立国を掲げるなら、収益だけでなく、生活道路を使う住民や通勤者、配送業者、公共交通との共存を考える必要がある。
日本国民の立場から見れば、公道は観光アトラクションの専用空間ではない。外国人観光客に楽しんでもらうことは否定されるべきではないが、免許制度や保安基準を守れない事業者まで放置すれば、事故や地域摩擦を通じて観光全体への反発が強まる可能性がある。
- 外国人観光客の国際免許証確認を厳格化すること
- 違法車両や不適切装備の公道走行を徹底的に取り締まること
- 観光業者や予約サイトのあっせん責任を明確化すること
- 住宅地、通学路、交通量の多い幹線道路での走行ルートを制限すること
- 観光収益と地域住民の安全を同時に守る制度設計を進めること
訪日観光の拡大は日本経済にとって重要だが、国民生活の安全を損なってまで優先されるものではない。公道カートについては、適法な事業者と違法・危険な事業者を明確に分け、後者を市場から排除する運用が求められる。
クロ助とナルカの視点


















編集部でまとめ
- 事実確認:訪日外国人観光客向けの公道カートが、コロナ禍後に東京、関西、富士山周辺などで再び増加している。
- 制度面:外国人が日本で運転するには、日本の免許証、ジュネーブ条約様式の国際運転免許証、一部国・地域の外国免許証と日本語翻訳文などが必要となる。
- 安全面:国土交通省は過去に公道カートの安全基準を強化し、シートベルト、尾灯、フェンダー、ヘッドレストなどの対策を示している。
- 問題点:無免許運転、国際免許証の不備、保安基準違反の車両、シートベルト未装着などがリスクとして指摘されている。
- 国益的示唆:観光消費を重視する一方で、地域住民や一般交通の安全を守るため、違法業者への取り締まりと旅行業者の責任明確化が必要である。











コメント