LIFULL HOME’S総研は2026年9月29日、研究報告書「在留外国人居住実態と日本人の意識調査」を発刊した。外国人の人口比率が高い地域に住む日本人2,060人への調査では、81.6%が普段の生活で外国人と「まったく交流はない」「あまり交流はない」と回答した。一方、自分の地域で外国人が増えることに否定的な回答は、同総研が示す2017年の31.0%から41.2%になった。
調査結果は、住民の不安を軽視せず、何を実際に経験し、どの情報に触れているのかを分けて考える材料になる。ただし、インターネット調査の回答を日本人全体の割合として読み替えたり、外国人との交流不足だけが否定的な意識を生んだと断定したりすることはできない。
新人記者ナルカ


調査の概要
- 発表:LIFULL HOME’S総研、2026年9月29日
- 日本人調査:外国人の人口比率が高い292市区町村に住む18~79歳の男女2,060人
- 在留外国人調査:対象地域に住む18~79歳の男女1,701人
- 方法:マクロミルのインターネット・リサーチパネル
- 期間:外国人調査は5月29日~6月11日、日本人調査は7月14~15日
- 注意点:日本人調査は全国の住民を無作為に抽出したものではなく、外国人人口比率が高い地域を対象としている
発表資料によると、調査対象の自治体は在留外国人の人口比率などから設定された。発表文には対象地域の列挙で「東京都」が重複している箇所があるため、都道府県数の表記をそのまま引用して全国を網羅した調査のように扱うべきではない。割合を読むときには質問文、対象者、時期を合わせて確認したい。
主な結果を数字で確認
| 項目 | 今回の結果 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 外国人との普段の交流 | 「まったく/あまり交流はない」81.6% | 日常的な交流の有無を尋ねた回答 |
| 外国人からの迷惑経験 | 「実際には特にない」51.9% | 迷惑経験を尋ねた設問への回答 |
| 地域で外国人が増えることに肯定的 | 15.4% | 発表資料では2017年は25.0% |
| 地域で外国人が増えることに否定的 | 41.2% | 発表資料では2017年は31.0% |
| 「犯罪発生率が高くなる」と考える | 59.5% | 2017年の48.1%との比較。犯罪統計そのものではない |
| 不法滞在の取り締まり強化に賛成 | 71.6% | 2017年の52.8%との比較 |
「外国人が増えると犯罪発生率が高くなる」は回答者の見方を測った数字であり、実際の犯罪発生率を測定した数値ではない。不法残留の取り締まりを求める回答と、適法に暮らす外国人住民をどう受け止めるかも別の論点である。設問ごとの意味を混同すると、調査から導けない結論につながる。
情報源と意識の関係はどう示されたか
外国人増加に否定的な回答者のうち、外国人に関する情報源として「SNSやネットニュースで流れてくる情報」を挙げた割合は39.3%だった。肯定的な回答者では26.2%で、13.1ポイントの差がある。総研は、SNSの仕組みなどによって否定的なイメージが増幅されている可能性を指摘した。
この比較は情報源と意識の関連を示す。SNSを見たために否定的になったのか、すでに否定的な人がそのような情報を選びやすいのか、あるいは別の要因が両方に関わるのかは、この数字だけでは判断できない。発信する側も「SNSが原因」と言い切るより、誤情報を訂正し、地域で起きた事実を確認できる情報を増やすほうが具体的だ。
幸福度との関連をどう読むか
外国人増加に肯定的な人の幸福度は10点満点で平均6.77点、否定的な人は平均5.64点と報告された。日本人調査の全体平均は5.99点。肯定的な人では現在の生活に満足している割合が74.1%だったという。総研は、暮らしの安心感や地域で受け入れられている実感との関係に注目している。
幸福度は重要な観点だが、個々の回答者について「生活が不幸だから外国人に否定的だ」と評価する根拠にはならない。所得や仕事、住居、地域の環境、実際に経験したトラブルなども関わり得る。調査の意義は、受け入れをめぐる賛否を個人の善悪に置き換えず、日本人住民自身の生活条件も合わせて検討できることにある。
2017年調査との比較で注意したいこと
発表資料では同総研の2017年調査と今回の割合を並べている。否定的な回答の増加は注目すべき変化だ。ただし、調査対象地域、回答者の集め方、設問や集計条件が完全に一致するかを確認せず、国民全体の意識が同じ幅だけ動いたと結論づけることはできない。報告書の詳細な分析と調査票を参照し、比較可能な範囲を見極める必要がある。
また、本調査は別の団体が9月23日に公表した「外国人との日常的接点がほとんどない・全くない50.5%」という調査とは対象も質問も異なる。81.6%と50.5%をそのまま増減として並べることはできない。
受け入れをめぐる三つの視点
住民の懸念を重視する視点
生活上のルールや防犯への不安、急な人口変化に行政の対応が追いつかないという懸念は、具体的な地域課題として聞き取る必要がある。法令違反があれば国籍を問わず適切に対処し、地域別の実態を公開することが信頼につながる。
外国人住民の権利を重視する視点
交流のない人が多い状況では、一部の映像や事件を外国人全体の特徴として受け止めやすくなる。住まい探しや地域参加で生じる障壁、差別的な扱いにも目を向け、個人を国籍だけで判断しない姿勢が必要だ。
調査の限界を踏まえた実務の視点
自治体は苦情の内容と対応結果を整理し、ごみ出しや騒音などの生活情報を多言語で伝える。同時に、住民が直接話せる機会を設ける。施策の前後に同じ指標を測れば、交流や情報提供が不安の軽減につながったかも検証しやすい。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 調査結果:対象地域の日本人回答者2,060人の81.6%が外国人との普段の交流が乏しいと回答した。
- 意識の変化:地域で外国人が増えることへの否定的な回答は41.2%で、総研が示す2017年の31.0%を上回った。
- 読み方:情報源や幸福度との関連は示されたが、原因と結果を数字だけで断定できない。犯罪への見方と犯罪の実態も区別する。
- 地域の課題:具体的な生活上の不安に対応し、外国人住民への情報提供と住民同士の接点を整え、施策の効果を検証する。
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