北海道京極町の建設関連会社で働いていたミャンマー人の特定技能外国人らが、暴行や暴言、賃金未払い、不適切な住環境などを訴えている問題で、労働組合と会社側による団体交渉が続いています。労働者6人は既に保護され、19歳の男性は暴行を受けたとして警察に告訴状を提出しました。
労働者側の証言によれば、実質的に現場を管理していた町議会議員とその息子から暴力を受けたとされています。一方、会社側は交渉の中で一部の行為や未払い賃金への対応を示したと報じられていますが、主張が一致していない点も残っています。警察は告訴内容を確認中であり、刑事責任は確定していません。
新人記者ナルカ


問題の概要
- 場所:北海道虻田郡京極町の建設関連会社
- 労働者:ミャンマー国籍の特定技能外国人。男女6人が保護
- 主な訴え:暴行、暴言、賃金未払い、不適切な住環境など
- 暴行の訴え:19歳男性が金属製の棒で殴られたなどとして告訴状を提出
- 交渉状況:2026年9月18日に2回目の団体交渉を実施
- 未払い賃金:労働組合によると、約80万円の一部が支払われた
- 今後:10月の次回交渉を目指し、警察も告訴内容を確認
この問題は、2026年9月27日の特集・インタビュー記事で改めて注目されましたが、被害の訴え自体が27日に初めて発生したわけではありません。5月の就労開始後に問題が起き、7月に退職と保護、8月に告訴、9月に団体交渉という経過をたどっています。
時系列で見る経緯
| 日時 | 主な動き |
|---|---|
| 5月18日 | ミャンマー人労働者が来日 |
| 5月19日 | 京極町の会社で勤務を開始 |
| 5月22日ごろ | 19歳男性が最初の暴行を受けたと訴える |
| 7月5日 | 男性が金属製の棒で殴られたと主張 |
| 7月6日 | 男性が再び暴行を受けたと訴える |
| 7月26日 | 労働者らが退職し、男女6人が支援者側に保護される |
| 8月24日 | 19歳男性が警察に告訴状を提出 |
| 9月18日 | 労働組合と会社側が2回目の団体交渉を実施 |
| 記事公開時点 | 未解決の争点が残り、10月の次回交渉を目指す |
労働者側は何を訴えているのか
来日直後から暴行を受けたとの証言
FNNなどの報道によると、19歳のミャンマー人男性は、来日して仕事を始めて数日後から暴行を受けたと訴えています。7月5日には金属製の棒で殴られ、翌日にも暴行を受けたと主張しています。
労働者側は、町議会議員とその息子が実質的に現場を管理していたと説明しています。ただし、これは労働者側の訴えであり、個々の行為について刑事責任が確定したわけではありません。告訴状を受けた警察が、診断書、写真、動画、関係者の供述などを確認することになります。
暴言、賃金、住環境をめぐる問題
暴力だけでなく、侮辱的な言葉、賃金の未払い、劣悪な住環境についても訴えが出ています。言葉が十分に分からない状態で来日直後から働き始めた人は、雇用条件や控除の内容を確認しにくく、助けを求める先も分からない場合があります。
住居を雇用主が用意し、移動手段や通信手段も職場に依存していると、仕事を辞めることが生活基盤の喪失につながります。そのため、形式上は退職できても、実際には逃げにくい状況が生じる可能性があります。
会社側の対応と団体交渉
2回目の交渉で一部支払い
HTBの報道によると、9月18日の2回目の団体交渉には、会社の代表者と町議の息子が出席し、町議本人は欠席しました。労働組合は、約80万円に上る未払い賃金の一部が支払われたと説明しています。
また、組合によれば、暴力行為について会社側が一部を認めたとされています。ただし、誰がどの行為を認めたのか、謝罪や補償の範囲、未払い金の計算方法など、詳細には未解決の点が残っています。次回の団体交渉は10月を目指すと報じられました。
会社と個人の責任を整理する必要
職場で暴力があった場合、行為者個人の刑事・民事責任に加え、会社が安全な職場環境を整え、被害の申告に適切に対応したかが問われます。賃金未払いについては、労働時間、賃金単価、各種控除、支払記録を照合する必要があります。
町議会議員という公的立場を持つ人物が関係者として名指しされているため、住民への説明責任も注目されます。ただし、公職上の責任と会社運営上の責任、刑事責任は、それぞれ根拠と手続きが異なります。
特定技能外国人を守る制度
日本の労働法が適用される
特定技能外国人にも、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などが日本人と同様に適用されます。国籍や在留資格を理由に、暴力、強制労働、違法な賃金控除が許されることはありません。
賃金は原則として、通貨で、本人に直接、全額を、毎月1回以上、一定期日に支払う必要があります。税金や社会保険料など法令上認められたもの以外を控除するには、労使協定など適切な根拠が求められます。
受け入れ機関の支援責任
特定技能1号の受け入れ機関には、生活や就労に関する支援計画を作成し、相談・苦情に対応することなどが求められます。支援を登録支援機関へ委託する場合もありますが、制度が書面上あるだけでは被害を防げません。
相談担当者が会社側と近すぎたり、通訳が不十分だったりすれば、労働者は被害を伝えられません。本人が理解できる言語で説明し、勤務先から独立した相談先へつなぐ仕組みが必要です。
転職できる制度でも壁は残る
特定技能は、一定の条件の下で同じ業務区分内の転職が可能です。しかし、転職先探し、在留手続き、住居、移動費、生活費の確保には実務的な壁があります。暴力を受けて緊急避難した人が、すぐ安定した就労へ移れるとは限りません。
被害を訴えたことで在留資格を失うのではないかという不安も、相談を遅らせる要因になります。行政、支援団体、労働組合、弁護士が連携し、安全確保と在留・就労手続きを同時に支える必要があります。
制度上の課題と再発防止
来日直後の独立した面談
今回の訴えでは、来日から数日で最初の暴行があったとされています。入国前の説明だけでなく、就労開始後の早い段階で、雇用主が同席しない面談を行うことが有効です。賃金明細、勤務時間、住環境、暴力や脅しの有無を母語で確認すれば、問題を早期に把握できます。
定期面談の記録を残し、異常があれば地方出入国在留管理局、労働基準監督署、警察などへつなぐ基準を明確にすることも必要です。
監督する側と雇用側の距離
外国人労働者の保護を実効的にするには、雇用主から独立した監督が欠かせません。支援費用を受け入れ企業が負担する仕組みでは、支援機関が企業との関係を優先し、労働者の申告を十分に扱えないリスクが指摘されます。
抜き打ちを含む訪問、匿名相談、通報者保護、違反企業への改善命令や受け入れ停止などを適切に組み合わせる必要があります。同時に、法令を守る企業まで一律に疑うのではなく、監督結果を透明化して信頼できる受け入れ先を評価する仕組みも重要です。
クロ助とナルカの視点


















編集部まとめ
- 北海道京極町の会社で働いていたミャンマー人特定技能外国人らが、暴行、暴言、未払い賃金などを訴えています。
- 男女6人が保護され、19歳男性は金属製の棒で殴られたなどとして警察に告訴状を提出しました。
- 労働組合によると、2回目の団体交渉で未払い賃金の一部が支払われ、会社側は一部の暴力を認めたとされています。
- 主張が一致していない点があり、暴行に関する刑事責任も確定していません。警察の捜査と交渉の進展を確認する必要があります。
- 来日直後の独立面談、母語相談、安全な避難、転職・在留支援を一体で整えることが再発防止の鍵です。
出典
- FNNプライムオンライン「ミャンマー人特定技能外国人が暴行などを訴え」
- HTB北海道ニュース「京極町の外国人労働者問題、2回目の団体交渉」
- HBC NEWS DIG「ミャンマー人労働者が被害を訴え」
- NEWSポストセブン配信「外国人労働者が語った現場」
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」
内部関連記事













コメント