SNS上で「3年後に在留外国人600万人が決定的」とする投稿が拡散している。育成就労制度による受け入れ上限や、国会を開かずに閣議決定した点を問題視する声も多い。しかし、この数字は制度の仕組みや公式統計を踏まえると、冷静な検証が必要だ。
本記事では、政府決定の内容と在留外国人数の実態を整理し、「600万人説」がどこから生じたのかを検証する。
SNSで拡散する「600万人決定的」論
問題となっている投稿では、育成就労制度で2028年度までに123万人を受け入れることを根拠に、「3年後に在留外国人600万人が決定的」と主張している。
あわせて、「国会を開かず閣議決定した」「政府やメディアが外国人政策を争点にしない」といった批判も展開されている。
現在の在留外国人数は約400万人規模
直近の公的統計によると、日本に在留する外国人はおよそ390万〜400万人規模で推移している。これは過去最高水準ではあるが、急激な爆発的増加が起きているわけではない。
「123万人上限」の意味を取り違えていないか
SNSで引用されている「123万人」という数字は、育成就労制度における受け入れ枠の累計上限に近い概念だ。
重要なのは、この数字が「同時に日本に滞在する人数」や「在留外国人の純増数」を意味しない点である。
育成就労制度は、技能実習制度の代替として設計されており、滞在期間は原則数年。永住を前提とした制度ではなく、帰国や資格終了が制度上組み込まれている。
フローとストックの混同が生む誤解
在留外国人の議論では、「フロー(入国者数)」と「ストック(在留者数)」を混同すると、数字が大きく歪む。
在留外国人は毎年、帰国、転出、資格変更、更新終了などが発生しており、受け入れ人数がそのまま積み上がるわけではない。
仮に在留外国人が400万人から600万人になるには、3年間で純増200万人、つまり毎年約67万人の純増が必要となる。
これは、これまでの増加ペースや、政府が「量的管理」を明言している方針と整合しない。
「600万人」という数字が生まれやすい理由
この種の主張が拡散しやすい背景には、次の要因がある。
- 「国会を開かず閣議決定」という手続きへの不信感
- 選挙で外国人政策が大きく語られないことへの不満
- 600万人という分かりやすく刺激的な数字
ただし、問題提起の方向性と、数字の正確さは切り分けて考える必要がある。
本当に注視すべき論点
重要なのは「600万人になるかどうか」ではなく、次の点だ。
- 在留外国人の純増ペース
- 育成就労から他資格への移行実態
- 特定地域・産業への集中
- 受け入れ後の定着と摩擦
これらを見ずに、単純な人数だけで議論すると、実態を見誤る。
クロ助とナルカの視点から
新人記者ナルカ
































編集部まとめ
- 事実:育成就労制度で123万人上限が設定された。
- 検証:123万人は在留累積数ではなく、600万人決定説は誇張が大きい。
- 示唆:感情論ではなく、純増・分布・制度運用を見る必要がある。
外国人政策は、日本社会の将来に直結する重要なテーマだ。だからこそ、不安や怒りを否定するのではなく、数字と制度を冷静に検証し、実態に即した議論を行うことが求められている。










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