外国人による土地取得等のルールを検討してきた政府の有識者会議は2026年10月2日、重要施設の周辺や無人の国境離島にある土地について、所有権の移転前に国が審査する許可制を求める提言をまとめ、小野田紀美外国人共生担当相に提出した。申請義務は外国人に限らず、日本人や日本法人にも及ぶ構想だ。外国政府との関係など、安全保障上のリスクを審査する。
政府は10月5日召集の臨時国会に関連法案を提出する方針と報じられている。ただし、現時点で公表されたのは有識者会議の提言であり、制度はまだ成立していない。9月に自民党がまとめた提言案とも、提出主体と段階を分けて確認する必要がある。
新人記者ナルカ


10月2日の提言で示されたこと
| 項目 | 報道・公表資料で確認できる内容 |
|---|---|
| 提出主体 | 政府の「外国人による土地取得等のルールの在り方検討会」 |
| 提出日 | 2026年10月2日 |
| 想定する場所 | 特に脆弱な重要施設の周囲約1000メートル、無人の国境離島など |
| 取得の手続き | 土地等の所有権を移転する前に国の許可を求める案 |
| 申請する人 | 外国人・外国法人だけでなく日本人・日本法人も対象とする案 |
| 不許可の想定 | 外国政府やその活動に極めて重要な影響力を持つ者、外国軍の活動従事者、外国政府への協力義務を負う者など |
| 法的な状態 | 有識者会議の提言。法案提出・成立・施行はいずれもこれから |
内閣官房は検討会の公式ページに提言と概要を掲載している。共同通信の報道によれば、対象は安全保障上の重要性が高い場所に絞る方向で、施設周辺であればどこでも一律に規制するという説明ではない。土地の範囲や審査の詳細は、今後の法案と政省令で確認する必要がある。
「国籍を問わず申請」と「不許可の判断」は別
見出しに「外国人の土地取得」とあっても、提言が想定する許可申請は外国人だけの義務ではない。日本人名義や日本法人であっても、対象区域の所有権を移転する場合には審査を受ける構想である。名義だけを見れば、実際に資金や意思決定を支配する人を把握できない場合があるからだ。
一方で、不許可とするケースには外国政府や外国軍との関係が挙げられた。一般の外国人住民や海外企業による通常の住宅・事業用不動産取得を、国籍だけを理由に全面禁止する提言ではない。誰を「影響力を持つ者」や「協力義務を負う者」と判断し、どの資料で裏付けるかは、取引の予測可能性を左右する重要な点となる。
現行法とどう変わるのか
現在の重要土地等調査法は、防衛関係施設などの周辺や国境離島等を対象に、土地の利用状況を調査し、施設の機能を妨げる行為に対して勧告や命令を行う仕組みを持つ。今回の提言は、土地の使い方への対応に加え、所有権が移る前の段階で許可するかどうかを判断しようとするものだ。
取得後に問題のある利用を止める制度と、取得自体を事前に審査する制度では、取引する人に必要な手続きも国が示すべき根拠も異なる。事前規制を設けるのであれば、対象区域の公示、審査期間、判断基準、却下時の理由、不服申立ての手続きを明確にする必要がある。
党の提言と政府有識者会議の提言
自民党の外国人政策本部は9月24日に重要土地の許可制を求める提言案をまとめ、10月1日には首相側に提言を手渡した。今回の10月2日の動きは、それとは別に、政府の有識者会議が担当大臣に提言を提出したものである。方向性に共通点はあるが、党内の案がそのまま法律になったわけでも、検討会の提言がそのまま法律になったわけでもない。
今後は政府がどの範囲と手続きを法案に書き込み、国会でどう修正するかが焦点だ。10月5日の臨時国会で法案が提出されるとの報道についても、実際の提出文書と成立状況を分けて更新したい。






編集部まとめ
重要施設周辺や無人国境離島の安全を守るため、土地の取得段階から審査するという方向性には検討の必要がある。国籍だけでリスクを推定すれば、名義を使い分ける取得を見逃す一方、正当な居住や事業を不当に妨げかねない。政府には、対象と判断基準を狭く明確に定め、審査実績と不許可理由を検証できる仕組みを示してほしい。
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