出入国在留管理庁は2026年4月から、在留資格「企業内転勤」の審査運用を見直し、外国企業での勤務実態や転勤元事業所の実在性を確認するため、公的資料の提出を求める運用を始めた。従来よりも審査の裏付け資料が重くなり、不適切な在留目的や資格外に近い就労の防止を狙った措置とみられる。企業内転勤で在留する外国人は2025年末時点で約1万9千人にのぼり、企業の人事実務にも影響が広がりそうだ。
新人記者ナルカ


記事概要
- 運用開始日:2026年4月1日
- 対象:在留資格「企業内転勤」の申請・審査
- 変更主体:出入国在留管理庁
- 主な変更点:外国での勤務実態や転勤元事業所の存在を示す公的資料の追加提出
- 背景:資格該当性のない業務への従事防止、在留資格審査の適正化
- 在留者数:企業内転勤の在留外国人は2025年末時点で約1万9千人
何が変わったのか 企業内転勤の審査厳格化
入管庁は、在留資格「企業内転勤」の提出書類について、2026年4月1日から運用を変更した。これまでの在職証明書などに加え、転勤前に勤務していた外国の機関の実在性や、申請人の勤務実態を裏付ける資料が必要となる。
新たに重視される資料
- 外国の転勤元事業所の存在を示す公的資料
- 法人登記に関する資料
- 納税状況を示す資料
- 社会保険加入証明など、勤務実態を示す資料
- 日本側の受入事業所の存在や事業内容を示す資料
入管庁の案内では、外国の機関や日本側事業所の実在性を裏付ける資料として、法人登記、納税、事業内容、社会保険加入証明などが示されている。従来よりも、書面で勤務の実態を説明できるかが問われる内容になっている。
なぜ厳しくなったのか
政府は2026年1月、「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決定し、資格該当性のない業務への従事防止や、在留資格審査の厳格な運用を打ち出した。今回の運用変更は、その方針に沿って、企業内転勤の制度悪用や不適切な受入れを防ぐ狙いがあるとみられる。
時系列
| 2026年1月23日 | 政府が「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決定 |
| 2026年4月1日 | 在留資格「企業内転勤」の新たな提出書類運用が開始 |
| 2026年4月24日 | 沖縄タイムスが運用厳格化を報道 |
制度のポイント 企業内転勤とは何か
在留資格「企業内転勤」は、海外の本店・支店などで働いていた職員が、日本国内の事業所に期間を定めて転勤し、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事する場合に認められる在留資格だ。単純労働ではなく、専門性や国際業務性を伴う配置転換が前提になる。
今回の見直しで実務上重くなる点
- 海外勤務の実態を公的資料で説明する必要が高まる
- 海外法人の存在や納税状況まで確認対象になる
- グループ会社間異動でも、形式だけでは通りにくくなる可能性がある
- 申請準備に時間と事務負担が増える
影響はどこに出るか
大企業では書類整備が進んでいる場合も多いが、海外子会社や関連会社の管理体制が弱い企業では、法人登記や納税、社会保険加入の証明を迅速にそろえる負担が増す可能性がある。特に、海外拠点の管理が緩い企業や、グループ内異動を柔軟に行ってきた企業では、審査対応の見直しが必要になる。
クロ助とナルカの視点












賛成・反対・中立の三点整理
賛成の見方
- 企業内転勤制度の悪用防止につながる
- 資格該当性のない業務への従事を防ぎやすくなる
- 転勤元企業や勤務実態の確認で審査の信頼性が高まる
反対の見方
- 正規企業にも事務負担が増える
- 海外子会社の資料収集が難しい企業では申請が遅れる
- 国際企業の機動的な人材配置を阻害する恐れがある
中立的な見方
- 制度の趣旨に沿った審査強化には合理性がある
- 問題は一律の厳格化ではなく、実態ある企業を適切に見分けられるかどうか
- 運用の透明化と必要書類の明確化が今後の焦点になる
日本への影響
今回の運用変更は、在留資格制度の信頼性を高める方向としては理解しやすい。一方で、日本国内で事業展開する外資系企業や国際企業にとっては、転勤人事のスピードや柔軟性に影響する可能性がある。国益の観点では、不適切な在留の防止と、正当な企業活動・投資環境の維持をどう両立させるかが重要になる。
編集部でまとめ
- 出入国在留管理庁は2026年4月1日から、在留資格「企業内転勤」の提出書類を見直し、海外勤務の実態や転勤元事業所の存在を示す公的資料の提出を求める運用を始めた。
- 背景には、政府の総合的対応策で示された「資格該当性のない業務への従事防止」と審査適正化の流れがある。
- 制度悪用の防止には一定の合理性がある一方、正規企業の人事実務や投資環境に過度な負担をかけない運用の明確化が今後の焦点になりそうだ。











コメント