英国のキア・スターマー首相が中国を「真の国家安全保障上の脅威」と述べたことを受け、在英中国大使館は2日、「根拠のない非難」だとして強く反発した。英中関係は近年、経済的協力を模索する一方で、香港問題やスパイ疑惑などをめぐり緊張状態が続いている。
新人記者ナルカ


英国:対中政策の「協力と抑止」へ舵
スターマー氏は1日、ロンドン市長主催の晩餐会で、中国を「国家安全保障上の脅威」と明言。人権問題について今後も中国政府に提起していく姿勢を示した。
英政府は2024年11月、習近平国家主席との首脳会談を実施し関係改善の兆しを見せていたが、国内のスパイ疑惑や香港問題を背景に、警戒姿勢が再強化されている。
- MI5は11月「中国がオンラインで議員を標的にしている」と警告
- 中国関連のスパイ容疑事件の訴追取り下げが議論を拡大
- ロンドンの新中国大使館計画をめぐり治安懸念が浮上
中国側の反応
在英中国大使館は「中国の発展はいかなる国にも脅威をもたらさない」と反論し、スターマー氏の発言を「誤り」と批判。「香港問題は中国の内政だ」と強調した。
米国:台湾関与強化へ法整備
同日、トランプ米大統領は対台湾関与ガイドラインの見直しを義務付ける法案に署名。国務省に対し、少なくとも5年に一度、米台関係の進展と自主的制限の緩和余地について詳細な報告を求める内容だ。
法案提出者のワグナー下院議員は「中国共産党の地域支配に断固と立ち向かうメッセージだ」と述べた。台湾海峡情勢をめぐり、米国は制度的な対中抑止を強めている。
国際的流れ:単純な“反発”ではなく戦略的距離の再調整
英国と米国の動きが象徴するように、各国は中国との経済協力を維持しつつも、政治・安全保障面では警戒を強める傾向にある。
欧州の状況
- 5G分野で中国企業の排除を進める国が増加
- 人権問題に対する対中批判が強まる
- サプライチェーンの「脱中国依存」が各国で議題に
アジアの状況
- 南シナ海で中国と周辺国の摩擦が継続
- フィリピンやベトナムが安全保障面で米国寄りにシフト
- 日本も安全保障・経済の両面でバランスを求められる立場
全体として、世界は中国を完全に排除するわけではないが、依存度を下げ、安全保障面での“距離の再設定”を進めている段階3といえる。
国益的示唆
- 日本にとっては台湾海峡の安定が最重要課題
- 経済連携を維持しつつ、技術流出防止と情報安全保障を強化する必要
- 在日中国人コミュニティとの共生と安全保障の両立が今後の焦点
- 外務・防衛・経済政策の一体的な戦略が求められる
賛否・中立の三点整理
賛成:中国のスパイ活動や安全保障上のリスクを考慮すれば、英米の警戒強化は妥当との見方。
反対:対立を強めれば経済・外交関係が悪化し、国際協力が損なわれる懸念がある。
中立:協力できる分野は維持しつつ、安全保障面のリスク管理を徹底する“両立”が現実的との立場。
クロ助とナルカの視点






編集部でまとめ
- 英国首相が中国を「国家安全保障上の脅威」と発言し、中国側が強く反発。
- 米国は台湾関与を制度化する法案に署名し、対中抑止を強化。
- 世界各国で“協力と警戒”のバランスを模索する動きが進む。
- 日本にとっても安全保障と経済のバランスが重要となる局面。











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