特定技能制度、導入6年で30万人に迫る
2019年に導入された「特定技能」制度は、人手不足分野で外国人労働者を受け入れる仕組みです。法務省出入国在留管理庁の最新統計(2025年6月末)によれば、特定技能で在留する外国人は29万8,000人に達し、制度開始から6年で30万人に迫っています(法務省 入管統計 2025年)。
制度の概要と対象分野
特定技能は14分野にまたがり、特に介護(約11万人)、製造業(約9万人)、外食業(約3万人)、建設(約2万人)に集中しています。国籍別ではベトナムが全体の45%を占め、次いでフィリピン、インドネシア、ミャンマーが続いています。特定技能1号は最長5年の在留が可能、2号は熟練技能者として家族帯同も認められます。
当初想定との比較
政府は当初、制度導入から5年間で最大34万人の受け入れを見込んでいました。2024年度末時点で約28万人に達しており、計画水準に近い形で推移しています。労働市場の需要に応じ、制度が一定の成果をあげていることがわかります。
入管職員数は横ばい
一方、入管職員の体制はほぼ横ばいです。法務省定員統計(2024年度)によれば、全国の入管職員は約5,420人で、過去数年間大きな増員はありません。受け入れ外国人数が急増する中、審査や在留管理業務の負担増が課題となっています。
業務効率化の取り組み
入管庁は近年、オンライン申請システムやAI翻訳支援を導入し、手続きの効率化を進めています。ただし、地方入管では人員不足による審査遅延が指摘され、現場の改善は道半ばです。人員増強とデジタル化の両立が不可欠とされています。
SNSでの反応
X(旧Twitter)では「介護現場を支えている」「製造業の人手不足を解消している」と肯定的な意見がある一方、「審査が追いつかず不法滞在が増えるのでは」「職員体制が不十分でチェックが甘くなる」との懸念も見られます。
代表的な投稿例:
・「#特定技能 外国人が増えて助かるが、入管は人手不足で大丈夫?」(企業関係者)
・「受け入れは歓迎。でも監督体制が追いつかないと不安」(市民団体メンバー)
・「現場で働く人がいるのはありがたい。制度を維持できる体制を作るべき」(介護職員)
賛否・中立の視点
賛成の見解
人手不足分野に即戦力を供給し、地域経済や社会基盤を支えている点を評価する声。現場の労働力確保には欠かせない制度とされています。
反対の見解
入管の人員不足のまま受け入れを拡大すれば管理不全に陥る可能性があるとの懸念。労働条件の悪化や不法滞在増加につながると警告する立場です。
中立的視点
制度の成果を認めつつも、管理体制の不備が制度全体の信頼性を損なうリスクがあると指摘。受け入れ人数と行政体制のバランスをどうとるかが重要課題です。
今後の展望
特定技能は今後さらに拡大が予想されています。政府は2025年度以降、審査業務のDX化や人員増員を検討しており、制度の持続性を担保できるかが焦点となります。社会に定着した制度として発展できるかどうか、今後の運用次第です。
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