法務省と厚生労働省は2026年9月29日、技能実習の監理団体である関西企業管理協同組合の許可を取り消した。同日、出入国在留管理庁と厚労省は実習実施者16者の技能実習計画の認定を取り消し、別の2者に改善命令を出した。
処分理由は一律ではない。監理団体には虚偽の監査報告書の提出などが、個別の実習実施者には認定計画に沿わない賃金の支払い、人権を著しく侵害する行為、不法就労をさせた行為など、それぞれ異なる理由が示されている。数字だけでなく、制度のどこが機能しなかったのかを処分資料から確認する。
新人記者ナルカ


9月29日に行われた行政処分
| 対象 | 処分 | 数 |
|---|---|---|
| 関西企業管理協同組合 | 監理団体の許可取消し | 1団体 |
| 実習実施者 | 技能実習計画の認定取消し | 16者 |
| 実習実施者 | 改善命令 | 2者 |
「16者」は処分を受けた受け入れ側の事業者などの数であり、取消しとなった実習計画の件数や実習生の人数ではない。計画の件数は事業者ごとに異なる。取消しと改善命令も別の処分だ。
監理団体は虚偽の監査報告書などを指摘された
厚労省の別紙によると、大阪市の関西企業管理協同組合については、複数の傘下実習実施者の監査報告書を期限どおり提出していなかったこと、必要な監査や指導を行っていなかったこと、認定計画に沿った実習監理をしていなかったことなどが処分理由とされた。さらに、出入国または労働に関する法令違反の事実を隠す目的で、虚偽の監査報告書を外国人技能実習機構に提出したとされる。
監理団体は、受け入れ先を訪問し、実習計画どおりに働けているか、待遇や労働環境に問題がないかを見守る立場にある。その報告の信頼性が失われれば、実習生が困っていても行政側が問題を把握しにくくなる。今回の処分で問われたのは、書類の形式だけではなく、監理の実効性だ。
16者の取消し理由はそれぞれ異なる
個別の実習実施者についても、別紙には異なる理由が記載されている。例えば香川県の大山工業は、認定計画に従って賃金を支払っていなかったと認められた。北海道の小林広幸、千葉県の田村興業などには、技能実習生の人権を著しく侵害する行為があったとされた。鹿児島県の竹山産業開発については、事業活動で外国人に不法就労活動をさせたことが処分理由に挙がっている。
これらは異なる実習実施者に対する判断だ。「16者全てが賃金不払いをした」「16者全てが人権侵害をした」という意味ではない。また、公表資料の「人権を著しく侵害する行為」という表現から、個別の行為の内容を推測して書くべきではない。
実習生への影響と制度上の課題
計画の認定が取り消された先で実習していた人が何人いるか、各人が今後どこで働くかは、この発表の要約からは分からない。行政処分を伝える際には、違反した側への対応だけでなく、実習生の生活と実習継続の見通しも追う必要がある。
今回の一覧には、賃金、労働安全、実習計画との不一致、監査体制など、制度を支える複数の要素が並ぶ。受け入れ先を増やす政策を論じるなら、違反を見つけ、実習生の相談を受け、必要な是正につなげる仕組みが働くかも同時に検証したい。
賛成・反対・中立の視点
厳格な処分を支持する視点
虚偽報告や賃金の問題が認定された場合、厳正に処分することは、適正に運営する団体や企業との公平性を守り、実習生の保護にもつながる。
実習生への影響を重視する視点
取消しを公表するだけでは、働く場所や住まいを失う可能性のある実習生の問題は解決しない。関係機関がどのように相談と実習継続を支えるのか、続報が必要だ。
予防策を検証する視点
監査が形式化した段階で問題を見抜けなかった理由を調べ、実習生が監理団体以外にも相談できる経路を確保することが重要になる。すべての受け入れ先に同じ処分理由を当てはめず、事案ごとに改善策を考えたい。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 処分の要点:監理団体1団体の許可取消し、実習実施者16者の計画認定取消し、別の2者への改善命令。
- 理由の違い:監理団体の虚偽報告、事業者ごとの賃金・人権・不法就労などを個別に確認する。
- 今後の焦点:対象の実習生への支援と、監査や相談の仕組みが実際に機能するか。
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