埼玉県の大野元裕知事は、令和8年度当初予算案の柱として「持続可能なまちづくりと経済成長の実現」を掲げ、その一環として外国人留学生向けインターンシップ制度の創設を打ち出した。県内企業の深刻な人手不足に対応するため、留学生を含む多様な人材と県内企業を結びつける総合パッケージを進める。
人手不足対策パッケージの概要
県は「県内企業人手不足対策総合パッケージ」を掲げ、
・シニア人材
・外国人留学生などの外国人材
・若者
を県内企業とマッチングする仕組みを構築する。
このうち外国人留学生については、新たにインターンシップ制度を創設し、在学中から県内企業との接点を持たせることで、卒業後の県内就職・定着につなげる狙いがある。
県内では製造業や医療・福祉分野などで人材不足が続いており、特に中小企業の採用難が顕著だ。県は「人材の流出防止」と「地域定着促進」を政策目的に掲げる。
これまでとの違い
外国人材の活用はこれまで、
・技能実習
・特定技能
・留学生アルバイト
といった制度が中心だった。
今回の制度は、在学中の留学生を企業に接続する“就職前段階での囲い込み”を制度化する点が特徴だ。
単なる労働力補填ではなく、
就学 → インターン → 就職 → 定着
という導線を県主導で設計する動きといえる。
期待される効果
- 県内企業の人手不足緩和
- 若年層人材の確保
- 企業と外国人材のミスマッチ軽減
- 地域定着率の向上
特に製造業や中小企業にとっては、新たな採用ルートの確保につながる可能性がある。
制度設計上の論点
一方で、制度運用には慎重さも求められる。
・留学生ビザの本来目的は「就学」であること
・インターンが実質的な労働力補填にならないか
・日本語支援や生活支援体制は十分か
・卒業後の在留資格変更は円滑か
適正な労働環境と透明性の確保が前提となる。
国の政策との整合性
国は現在、
・特定技能制度の拡大
・高度外国人材の定着促進
・留学生受入れ拡大政策
を進めている。
埼玉県の今回の施策は、国の外国人材活用政策と方向性を共有する動きと位置づけられる。
編集部視点
事実
外国人留学生向けインターン制度を創設し、県内企業とのマッチングを強化。
評価軸
地域経済維持に向けた人材確保策。
論点
定着政策として機能するか、単なる労働力補完にとどまるかは制度運用次第。
人手不足社会の中で、地方自治体が「就学から就労まで」を設計し始めたことは象徴的だ。今後は、地域社会との調和と国民生活への影響を見据えた丁寧な制度運営が問われる。
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