参政党・神谷宗幣代表が2025年9月、宮城県知事選に関連して「水道事業の民営化は外資依存につながる」と批判しました。県側は「事実誤認」と抗議し、神谷氏は「誤った情報とは言えない」と反論。生活インフラをめぐる発言は大きな波紋を呼んでいます。










神谷代表の発言と県側の反論
神谷氏は宮城県知事選の演説で「水道民営化は外資依存につながる危険がある」と発言しました。一方、宮城県は「事実誤認」と抗議。県が導入したのは完全民営化ではなく、公共性を維持したまま運営の一部を民間委託する「みやぎ型管理運営方式」でした(宮城県公式 水道事業資料 2021年)。神谷氏は「誤った情報とは言えない」と再反論し、知事選の争点として注目されています(朝日新聞 2025年9月)。
水道民営化をめぐる国内の動き
宮城県が2021年に導入した「みやぎ型管理運営方式」は、日本初の広域水道事業への官民連携(PFI/PPP)方式です。背景には人口減少と施設老朽化があります。厚労省「水道事業の現状」(2023年)によると、全国の水道管の約16%が法定耐用年数を超えており、更新投資の必要性が高まっています(厚生労働省 水道行政 2023年)。大阪市や浜松市でも同様の民間活用が議論されましたが、市民合意を得られず断念した経緯があります。
国内水道料金の推移
総務省「家計調査」(2023年)によれば、全国の水道料金(上下水道を含む)は過去10年間で平均約12%上昇しました。背景には人口減少による収入減、施設更新費用の増大があります。例えば2013年の平均水道料金は月額3,250円でしたが、2023年には3,640円に上昇しています。宮城県でも料金の抑制努力が行われていますが、将来的な値上げ懸念は根強く残っています。






海外事例:フランスの水道再公営化
海外では「再公営化」の動きも見られます。フランス・パリ市は1985年から水道を民間事業者(ヴェオリア、スエズ)に委託していましたが、料金の上昇や契約の不透明さが批判され、2010年に市が再び直営化しました。その結果、契約透明性が改善され、料金も平均8%引き下げられました(パリ市議会報告 2011年)。この事例は「公共性の確保」を理由に再公営化を選んだ典型例とされ、日本の議論にも示唆を与えています。
(日経BP)






地域住民と事業者の声
地域では賛否が分かれています。住民からは「水道料金が上がるのでは」「外資に依存するのは不安」との声が上がる一方、事業者や行政関係者からは「老朽化設備の維持には民間資金とノウハウが不可欠」との意見もあります。宮城県の試算では「みやぎ型方式」導入後も当面は料金を抑制可能とされますが、将来の不確実性は残ります。
賛否・中立の三点整理
賛成:財政負担の軽減、専門的運営の導入による効率化。大阪や宮城では老朽化対策として検討。
反対:公共性の低下、料金上昇や外資依存リスク。フランス・パリ市は再公営化に転換。
中立:契約内容や監視体制次第で評価が変わる。情報公開と市民参加を前提に進める必要がある。
まとめと今後の課題
神谷宗幣代表の「外資依存」批判は宮城県知事選の重要な争点となりました。県側は「事実誤認」と反論し、論争は続いています。国内では人口減少と老朽化による料金上昇が進み、海外ではフランスのように「再公営化」を選ぶ例もあります。今後は民間活用の是非にとどまらず、財政と公共性の両立を図る制度設計と国民合意形成が求められます。






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