外国人の国保滞納者に在留資格更新制限 2027年から新制度

政府は、国民健康保険（国保）の保険料を滞納した外国人に対し、2027年6月から原則として在留資格の変更や更新を認めない仕組みを導入する方針を固めた。厚生労働省と出入国在留管理庁が連携し、保険料の納付状況を在留審査に反映させる新制度として運用を始める。

制度の概要

• 開始時期：2027年6月予定
• 対象：国民健康保険料を滞納している外国人加入者
• 措置内容：保険料未納の場合、原則として在留資格の変更・更新を認めない
• 関連省庁：厚生労働省・出入国在留管理庁
• 根拠方針：「社会保障制度の適正利用推進」

背景と目的

厚労省によると、2024年12月末時点の調査で外国人加入者の保険料収納率は63％にとどまり、日本人（約90％）に比べ低水準となっている。中長期滞在者の医療費未払い・滞納問題が増加しており、制度の公平性と持続可能性を確保する狙いがある。

上野厚労相の発言（11月4日）

「社会保障制度の適正利用等を推進することが必要であり、出入国在留管理庁と連携して収納状況を在留審査に反映させる仕組みを、再来年からの運用開始に向けて準備している」

制度運用の仕組み

項目	内容
情報連携	自治体が管理する国保収納情報を、厚労省経由で入管庁に提供
審査基準	更新・変更申請時に「保険料納付証明書」を確認項目に追加
例外対応	病気・災害・失職などやむを得ない事由がある場合は除外
導入スケジュール	2026年度中に自治体間システム連携を整備／2027年6月施行予定

社会的背景と論点

• 制度の公平性： 保険料を負担する日本人との公平性確保が狙い。
• 実務上の課題： 自治体による収納データの共有やプライバシー保護の仕組み整備が必要。
• 国際的視点： OECD加盟国でも、社会保険納付を在留許可条件に含める例が増加している。

国益的示唆

1. 社会保険料の適正納付を促すことで、制度の持続性と国民負担の公平性を確保。
2. 在留資格と社会保障制度を一体で管理する「責任ある受け入れモデル」へ転換。
3. 外国人の社会統合を進めつつ、納税・保険料納付意識を高める契機となる。

編集部でまとめ

1. 外国人の国保滞納者に対し、在留資格更新制限を設ける新制度を政府が2027年導入へ。
2. 収納率は63％にとどまり、公平性と制度維持を目的とした改革。
3. 厚労省と入管庁が連携し、社会保障と在留管理の統合運用を進める方針。

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出典

• 厚生労働省「外国人に対する国民健康保険の適用について」
• 厚労省および自治体向け「在留外国人の国民健康保険適用の不適正事案に関する通知 Ｑ＆Ａ」等。
• 出入国在留管理庁監修「日本に在留する外国人は…」等資料。
• 自民党公式サイト「在留外国人の国民健康保険料等の支払状況の実態調査及び～」を受けた対策案。
• 「外国人の国保滞納防止 在留審査に納付状況反映」報道（visa-information.jp）
• 「外国人の国民健康保険料等の支払状況の実態調査及び～質問主意書」参議院資料。