外国人起業の在留資格見直し〔案〕　資本金3000万円に引上げ

2025年8月24日

ニュース引用

外国人の起業を対象とする在留資格「経営・管理」について、現行の『資本金500万円以上（または常勤2名以上）』等の基準を見直し、資本金3000万円以上と常勤職員1名以上の雇用を同時要件化する方向で最終調整との報道。年内の省令改正・施行を目指すとされた（※現時点は案・報道段階）。
出典：主要紙報道／関係省庁公表（確定は官報・省令告示）

「500万円→3000万円」への6倍引き上げ（案）は、名ばかり企業や目的外取得の抑止が狙い。一方で合法的に日本で起業する外国人にとって初期コストと採用負担は大きい。本稿は何が変わる／いつから／誰にどう影響／代替ルートを実務目線で整理する。

要約

30秒サマリー（※現在は「案・報道段階」）

何が：「経営・管理」見直し案。資本金3000万円＋常勤1名を同時要件化（現行：500万円または常勤2名）。
なぜ：目的外取得の抑止と、実体ある事業・雇用創出の誘導。
いつ：2025年内の省令改正を目指すとの報道。パブコメ見込み（官報確定待ち）。
影響：小規模起業の初期コスト増。資金・採用計画の再設計が必須。
代替：スタートアップビザ（特定活動）全国展開・最長2年を活用し、準備→「経営・管理」へ段階移行。

読者別インパクト

起業家：資金調達（デット＋エクイティ）と常勤1名の雇用設計を早期に確定。
企業・投資家：招聘・出資スキームの見直し、改正前申請を含むタイムライン管理。
自治体：スタートアップビザの伴走強化（住居・通訳・相談窓口）。

確度表示：現時点は案／報道。最終条項・適用日は省令・告示で確定。

用語解説

用語	解説
在留資格「経営・管理」	日本で事業の経営または管理に従事。基準は事務所の確保に加え、500万円以上の資本金または常勤2名以上の雇用（現行）。
厳格化（案）	資本金3000万円以上と常勤1名を同時要件とする方向で最終調整と報道。
スタートアップビザ	全国展開・最長2年の特定活動。期間内に要件を満たし「経営・管理」へ移行する二段構え。

Q: いつから？ — A: 年内改正を目指すとの報道。適用日は官報確定待ち。
Q: 既存許可は？ — A: 経過措置未公表。更新・在留中の扱いは告示・通達で確認。
Q: 代替は？ — A: スタートアップビザの2年猶予で実績を作り、移行するのが現実的。

背景

「経営・管理」は長年、500万円の資本金目安や事務所確保など実体要件が示されてきた。一方、2025年1月にはスタートアップビザの全国展開・最長2年化が実施され、起業側の支援も拡充。2025年8月時点で、基準の見直し（案）が報じられ、年内省令改正に向けたパブコメ実施が見込まれている。

現行基準：事務所の確保＋「500万円以上」または「常勤2名以上」。
起業支援：スタートアップビザを全国展開・最長2年に拡充（2025/1〜）。
見直し方向（案）：資本金3000万円＋常勤1名の同時要件化へ。

解説・考察

制度：偽装取得の抑止に資する一方、初期投資負担と雇用コストが増加。従来の「または」要件から「かつ」要件へ転換するため、資金調達力・採用力が審査の決め手となる。経過措置と適用タイミングの設計が実務の肝。

生活・人権：在留の安定（就労・家族帯同・子の教育）が重要。過度なハードルで優良起業家の参入が滞れば、地域経済の多様化が損なわれる懸念。多言語相談・通訳配置・住宅確保支援の更新が必要。

経済：在留外国人は2024年末で約376.9万人（過去最高）。スタートアップビザの2年猶予を活かし、実証→PMF→雇用創出のステップで「経営・管理」に移行させる設計が現実解。

短期対策：改正前後の申請ピーク対応、迷惑行為や労務の多言語周知、適法な短期就労の確認。
中期対策：留学・ワーホリ・スタートアップから就労への移行支援、住居確保、職業紹介の多言語化。

要件の比較

項目	現行（例示）	見直し案（報道ベース）	備考
事務所	独立した事務所の確保	（維持）	仮想・自宅兼用は不可が原則
資本金（出資総額）	500万円以上または常勤2名以上	3000万円以上	「または」→「かつ」構成へ
雇用	（選択肢）常勤2名以上	常勤1名以上（義務）	定義・範囲は今後公表見込み
家族帯同	帯同可	（維持見込み）	在留期間は審査結果に依存