日本の美術大学に中国人留学生が急増している。背景には、比較的学費が低く、卒業後の在留資格変更を経て永住権取得につながる可能性があるという認識が、中国国内で広がっていることがある。日本経済新聞の取材では、進学そのものが目的化し、本人の意思が伴わないケースも指摘されている。
美大関係者は「日本に来たものの、何をすればよいのか分からない学生もいる」と証言しており、日本の高等教育と在留制度の接点が新たな課題として浮上している。
新人記者ナルカ


何が起きているのか
日本経済新聞によると、中国の富裕層を中心に「日本の美術大学は学費が比較的安く、将来的な永住につながる可能性がある」という情報が共有されているという。学費は4年間でおおむね200万円前後とされ、欧米の美術大学と比べて大幅に低い。
このため、中国の親が主導して子どもを日本留学向けの美術予備校に通わせ、本人の意思や将来像が曖昧なまま来日する例も増えているとされる。
教育現場の声
美大予備校関係者の本間氏は、「親に言われるまま日本に来たが、何を学びたいのか分からない学生もいる」と語る。語学や生活面だけでなく、創作への主体性や進路意識の不足が、教育の質に影響を与えかねないとの懸念も示されている。
制度上の位置づけ
日本では、留学生が卒業後に就労ビザへ変更し、一定年数の在留と安定収入、素行要件などを満たせば、永住許可を申請することが可能だ。美大進学そのものが永住権の「近道」と制度上定義されているわけではない。
ただし、専門職要件が比較的柔軟な分野もあり、「学歴+就労」というルートが結果的に永住につながるケースが存在するのは事実だ。






賛成・懸念・中立の視点
受け入れを評価する声
・学費収入や地域経済への貢献
・日本文化や芸術分野の国際化
・少子化で定員割れする美大の経営安定
懸念される点
・本人の学習意欲が低いまま在籍する学生の増加
・教育の質や指導負担の低下
・永住目的が前提となった進学による制度の形骸化
中立的な整理
進学・就労・永住はいずれも合法的な制度の組み合わせであり、個別には違法性はない。一方で、制度設計が「意図せず移住導線として機能している」点については、検証と調整が必要といえる。
日本社会への示唆
教育制度と在留制度が連動する以上、「何を学び、どのように社会に貢献する人材を受け入れるのか」という視点が不可欠だ。人数の増減だけでなく、質の担保や進路管理を含めた制度運用が問われている。
編集部でまとめ
- 中国人留学生の美大進学が急増し、背景に永住志向があると指摘されている。
- 美大進学自体が永住権を保証する制度ではない。
- 教育現場と在留制度の想定ギャップをどう埋めるかが課題。











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