富山で中国籍の会計年度任用職員が車庫飛ばしに関与し逮捕。行政の透明性と監督体制の課題を、一次資料に基づき整理します。
公開日:2025年9月4日 最終更新日:2025年9月5日
事件の概要
富山で、中国籍の会計年度任用職員(県国際課)と会社役員が「車庫飛ばし」と呼ばれる「虚偽の車庫証明」を使って自動車登録を行った疑いで逮捕されました。実際に保管していない住所・名義で登録したとされています(TBS NEWS DIG 2025/09/03、北日本新聞 2025/09/02)。




当事者と制度背景
逮捕された女性は県の国際課に勤務する会計年度任用職員と報じられています(TBS NEWS DIG)。会計年度任用職員制度は、自治体の臨時・非常勤を一本化した仕組みで、2019年改正を経て2020年度から本格施行されました(総務省「制度概要」2019)。
制度補足:外国人は公務員になれるのか
日本では、公権力の行使や政策決定に関わる職は日本国籍者が原則ですが、教育・研究・国際交流など補助的・専門的分野では外国籍者の任用が認められています。今回の会計年度任用職員もその範囲に該当します(外務省「公務員任用に関する一般指針」)。






現状データ:在留外国人・公的部門の規模
在留外国人は近年増加傾向で、法務省の統計が公表されています(e-Stat「在留外国人統計」)。
会計年度任用職員の任用状況は厚労省調査に整理があり、職種は一般事務・技能労務・保育等が中心です(厚労省「令和6年度 施行状況調査」2025/01/14)。
公的部門の雇用比率は国際比較で日本が低位で、OECD平均18%台に対し日本は約4.5%です(OECD Government at a Glance 2023)。
長期推移:在留外国人と任用制度の背景
在留外国人は2010年に約213万人でしたが、2020年には288万人、2024年12月には376万人に達しました(法務省「在留外国人統計」)。10年間で70%以上の増加となり、地方自治体が国際対応を迫られる状況が続いています。
一方、公務員数は減少傾向にあり、2000年代初頭に約360万人あった国家・地方公務員は2024年には約330万人。人口減少と財政制約で人員削減が進み、会計年度任用職員など柔軟な人材制度の導入が加速しました。
外国籍者の採用例としては、2023年度に大阪府が多言語対応職員を20名以上配置、川崎市が生活相談や教育現場で十数名を任用するなど、都市部での拡大が目立ちます。
海外の比較:外国籍公務員の扱い
海外では外国籍職員の任用はより一般的です。例えばドイツではEU域内の市民に公務員採用を広く認め、地方自治体で外国籍住民を窓口担当に登用しています。フランスも行政サービスに多言語人材を積極的に配置し、移民人口の多い地域では全体職員の一割前後を占める例があります。
一方、日本は「政策決定や権限行使を伴わない職務」に限定し、採用も数百名規模と限定的です。制度上の制約が厳しい分、一件の不祥事でも制度全体の存続を左右する影響が大きくなるのが特徴です。
制度的リスクと信頼の揺らぎ
問題の核心は属性ではなく「監督体制の不備」にあります。柔軟な人材活用を意図した会計年度任用職員制度は有用ですが、採用・職務分担・点検の基準が曖昧だと、今回のような不正が制度全体の信頼を損ない、多文化共生施策にも逆風となります。
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富山市・地域住民の反応
富山市内では「国際課の職員が不正に関与したことは残念」「制度自体をなくすべきではないが、チェック体制を強化すべき」との声が聞かれました。地元紙の報道によれば、市議会でも「多文化共生の推進に逆風になる」と懸念が出され、県庁幹部は「任用制度の透明性を点検する」とコメントしています。
市民からは「行政の内部で起きた事件だからこそ説明責任が必要」「外国籍だからではなく管理の甘さが問題」との冷静な意見もあります。市役所窓口を利用する住民からは「普段の対応は丁寧だったのに」と戸惑う声も寄せられました。












拡大するSNS議論
SNS上では短期間に数百件以上の投稿が集まり、意見は大きく三つに分かれました。
・「やはり外国籍職員の任用は危険。制度を縮小すべき」
・「制度は必要。問題は管理体制の不備であり、国籍の問題ではない」
・「透明性を確保すれば逆に多文化共生を進めるチャンス」
さらに具体的には「車庫飛ばしは地域の治安に直結する」(不安派)、「外国籍職員がいることで言葉の壁が解消された」(支持派)、「事件を口実に排外的議論を煽るのは危険」(中立派)といった声が散見されます。






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まとめと国益的示唆
本件は、会計年度任用職員という柔軟な枠組みと、行政内部統制のバランスが問われた事案です。人材確保を進めつつ、任用区分ごとの職務権限・兼務・利益相反・証明書類の実地確認など、実務レベルの統制を強化することが、社会の安定と制度の持続性につながります。
参考一次資料:TBS NEWS DIG(逮捕報道)/北日本新聞(逮捕報道)/総務省「会計年度任用職員制度」/厚労省「施行状況調査」/OECD Government at a Glance 2023(公的部門比率)/e-Stat「在留外国人統計」
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