警察官を装い、岐阜県多治見市に住む90代の男性から現金6000万円をだまし取ったとして、台湾籍の男2人が詐欺の疑いで逮捕された。東海テレビなどの報道によると、逮捕されたのは台湾籍のリン・チイ容疑者(27)ら2人。氏名不詳者らと共謀し、警視庁の警察官になりすまして男性を不安に陥れ、多額の現金を用意させた疑いが持たれている。
警察は、2人が匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」のメンバーで、被害者から現金を回収する「受け子」とみている。2人は短期の在留資格で来日し、同様の犯行を繰り返していた可能性がある。警察は認否を明らかにしておらず、指示役や資金の移動先、ほかの事件との関係を調べている。
新人記者ナルカ


事件の概要
- 被害者:岐阜県多治見市に住む90代男性
- 被害額:現金6000万円
- 逮捕者:台湾籍の男2人(27歳、25歳と報道)
- 容疑:詐欺の疑い
- 手口:警視庁の警察官などを装い、逮捕状や資金洗浄の話を持ち出して現金を要求した疑い
- 在留状況:短期の在留資格で来日したと報道
- 警察の見立て:トクリュウの受け子として犯行を繰り返していた可能性
- 認否:警察は明らかにしていない
報道によると、男らは2026年7月ごろから8月までの間、ほかの人物と共謀し、多治見市の男性に警視庁の警察官などを装って電話をかけた。「暴力団に関係して逮捕状が出ている」「資金洗浄のため現金を準備するように」といった趣旨のうそを告げ、男性が用意した現金6000万円入りのかばんを持ち去った疑いがある。
逮捕された2人について、警察は短期滞在中の外国人を実行役として使う犯罪グループとの関係を調べている。ただし、短期の在留資格で来日したこと自体が犯罪を意味するものではない。今回の焦点は、入国目的と実際の行動、指示役との連絡、報酬、現金回収後の資金の流れである。
時系列で見る経緯
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年7月ごろ | 警察官などを装う人物が、90代男性に電話をかけ始めたとされる。 |
| 同年8月まで | 男性に現金6000万円を用意させ、指定した場所に置かれたかばんを持ち去った疑い。 |
| その後 | 岐阜県警が現金を受け取った人物や回収役、指示役の捜査を進める。 |
| 9月23日まで | 台湾籍の男2人を逮捕。警察はトクリュウの受け子とみて余罪を捜査。 |
「ニセ警察詐欺」はなぜ高額被害になりやすいのか
ニセ警察詐欺では、犯人が警察官や検察官、通信事業者などを名乗り、「あなたの口座が犯罪に使われている」「逮捕状が出ている」「資産を調べれば潔白を証明できる」などと告げる。被害者を犯罪の容疑者であるかのように扱い、家族や金融機関へ相談させない状態をつくるのが特徴だ。
警察庁は、警察官がSNSのビデオ通話で警察手帳や逮捕状を示したり、捜査のために現金や暗号資産を送らせたりすることはないと注意を呼びかけている。着信画面に実在する警察署の電話番号を表示させる手口も確認されているため、表示番号だけで本物と判断するのは危険である。
今回の事件では、被害額が6000万円に達している。高齢者が長年蓄えた老後資金を一度に失う被害は、金額だけでなく、その後の生活や心身にも深刻な影響を及ぼす。金融機関、家族、介護関係者、地域の相談窓口が異変を早期に把握できる仕組みも必要になる。
短期在留の外国人が受け子として使われる問題
東海テレビは、2人が短期の在留資格で来日し、受け子として犯行を繰り返した可能性があると報じている。観光などを目的とする短期滞在者が、入国前または入国後に犯罪グループから指示を受け、現金回収のため複数地域を移動していたとすれば、在留管理と組織犯罪対策の両面から検証が必要になる。
受け子だけを逮捕しても、電話をかける役割、実行役を募集する役割、交通や宿泊を手配する役割、回収した現金を海外へ移す役割が残れば、新たな実行役が送り込まれる。捜査では、携帯電話や通信アプリ、宿泊先、航空券、報酬の支払い、犯罪収益の送金先をたどり、組織の上位者へ迫れるかが焦点となる。
トクリュウとは何か
警察庁は、SNSなどで実行役を集め、匿名性の高い通信手段を使い、事件ごとに離合集散する集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付けている。固定した組織名や事務所を持たず、指示役、募集役、受け子、出し子などの役割を細かく分けるため、末端の実行役が逮捕されても中枢へ到達しにくい。
外国から短期滞在者を実行役として送り込む手法が確認されれば、国内だけの捜査では全体像を解明できない。出発国の捜査機関との情報共有、航空・宿泊記録の確認、国際送金の追跡、再入国防止を含む対応が求められる。
被害を防ぐために確認したいこと
- 警察官を名乗られても、その場で現金や口座情報を渡さない
- 「逮捕状が出ている」「資金を調査する」と言われたら一度電話を切る
- 相手が伝えた番号ではなく、自分で調べた警察署の代表番号へ確認する
- SNSやビデオ通話に誘導されても、警察手帳や逮捕状の画像を信用しない
- 高額な出金や現金受け渡しを求められた場合は、家族や警察相談専用電話「#9110」に相談する
異なる視点から見る事件
入国審査と国際捜査の強化を求める視点
短期滞在で来日した人物が犯罪の実行役として各地へ派遣されているなら、同種事件の入国履歴、宿泊先、航空券の手配者を横断的に分析する必要がある。過去の摘発情報を共有し、組織的な入国や移動を早期に把握する対策が求められる。
末端だけでなく指示役を追うべきだという視点
受け子は被害者から直接現金を回収する重要な役割だが、犯行全体を設計した人物とは限らない。再発を防ぐには、指示役、勧誘役、資金洗浄役を含む組織全体の解明が不可欠である。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 事件の要点:警察官を装い、岐阜県多治見市の90代男性から現金6000万円をだまし取った疑いで、台湾籍の男2人が逮捕された。
- 在留上の論点:2人は短期の在留資格で来日し、受け子として犯行を繰り返した可能性があると報じられている。
- 捜査の焦点:指示役、勧誘役、現金の移動先、ほかの事件との関係を含むトクリュウの全体像。
- 編集部の見解:短期滞在制度を犯罪組織に悪用させないため、同種事件の入国・宿泊・通信・送金情報を結び付けた国際捜査を強化すべきである。同時に、警察を名乗る電話へ現金を渡さないという注意喚起を、高齢者と家族へ繰り返し届ける必要がある。
出典
- 東海テレビNEWS「90代男性から現金6000万円騙し取った疑い 台湾籍の男2人を逮捕」2026年9月23日
- メ~テレ「観光目的で入国 闇バイト組織のメンバーか 6000万円をだまし取った疑い」2026年9月23日
- 警察庁・SOS47「ニセ警察詐欺に注意!」
- 警察庁「匿名・流動型犯罪グループの動向と警察の取組」
- e-Gov法令検索「刑法」
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