立憲民主党は2025年に発表した政策集で、外国人労働者や生活者の人権保護を重視し、定住を前提とした「多文化共生社会」の実現を掲げた。自民党が「違法外国人ゼロ」など秩序維持や規制強化を前面に打ち出す中、野党は「共生と人権保障」に重点を置く姿勢を明確にしており、与野党間で外国人政策の方向性の違いが鮮明になっている。




立憲民主党「多文化共生社会」政策の柱
立憲民主党の政策集2025では、人口減少や地方の過疎化を背景に、外国人住民を「社会を支える仲間」と位置づけ、共に暮らし・働き・学べる仕組みの整備を提唱している。
- 多文化共生社会基本法の制定: 差別禁止、多言語情報提供、日本語教育、住宅・教育支援を制度化。
- 多文化共生庁の創設: 国と自治体が一体となり、外国人政策を一元的に推進。
- 外国人労働者制度の抜本改革: 技能実習制度の廃止、新たな雇用制度への移行。労働者の権利保護や社会保障アクセスを保証。
- 教育・地域交流: 外国籍児童の就学機会保障、地域での交流促進による相互理解の拡大。
一次資料:立憲民主党 政策集2025
原文抜粋:
「人口減少が続く日本社会の中で、外国人を社会を支える仲間として受け入れ、共に暮らし、働き、学ぶ多文化共生社会を実現する。差別をなくし、生活・労働・教育・福祉の全ての分野で共に支え合う制度を整備する。」
(出典:立憲民主党 政策集2025「多文化共生社会」)
立憲はこの理念を具体化するため、「多文化共生社会基本法」「多文化共生庁」の設立を掲げ、従来の技能実習制度を廃止する方針を明記している。
与党・自民党の方針との比較
自民党は同時期に「外国人との秩序ある共生社会実現に関する特命委員会」の提言をまとめ、スローガンに「違法外国人ゼロ」を掲げた。そこでは不法滞在者対策や土地取得規制など、治安・安全保障の観点を重視した内容が多い。
これに対して立憲民主党は「人権」「共生」「教育支援」を前面に出しており、外国人政策における与野党の立場の違いが鮮明になっている。
社会への影響と課題
立憲の政策は、外国人を日本社会に受け入れ、共に生活基盤を築くことを重視している。その一方で、定住を前提とする制度設計は、短期労働力を補う即効性には乏しい面がある。
自民党の「規制強化」と立憲の「共生重視」という二極化は、国民の間にも賛否を呼ぶ可能性が高い。治安維持と労働力確保、どちらを優先するかという課題が改めて浮き彫りになった。
外国人をめぐる現状データ
法務省入管庁の統計によると、2024年末時点の在留外国人数は約370万人に達し、過去最多を更新しました。そのうち就労資格を持つ外国人労働者は約200万人を占め、製造業・介護・建設など人手不足分野で大きな役割を果たしています。
一方で、2024年末時点の不法残留者は約8万3千人と前年より増加傾向にあり、入管当局は取り締まりと在留管理の強化を進めています。これらの数字は、外国人政策が「受け入れ」と「規制」の両面をバランスよく設計しなければならない現実を示しています。
編集部クロ助とナルカの視点から









編集デスクまとめ
立憲民主党が打ち出した「多文化共生社会」構想は、外国人を日本社会に組み込み、共に未来を築くことを重視する長期的ビジョンだ。一方、自民党は秩序維持と不法滞在防止を前面に出し、国益・安全保障を基調とする。与野党のスタンスの差は今後の国会論戦や選挙で重要な争点となる。
外国人政策は単なる「労働力の受け入れ」ではなく、教育・福祉・地域共生を含めた社会全体の設計に直結する。国益と共生のバランスをどう取るか、日本社会の持続性を左右する議論として注視が必要だ。
外国人政策FAQ
Q:在留外国人は現在どのくらいいますか?
A:法務省入管庁によると、2024年末時点で約370万人が在留しており、過去最多です。労働者数は約200万人で、日本の就労人口の受け皿になっています。
Q:不法残留者の数は増えているのですか?
A:2024年末で約8万3千人と前年から増加傾向にあります。入管庁は摘発と同時に在留管理体制の強化を進めています。
Q:立憲と自民の外国人政策の大きな違いは?
A:立憲民主党は「多文化共生・人権保障」を強調し、外国人を社会の一員として支える政策を掲げています。対して自民党は「違法外国人ゼロ」をスローガンに、治安維持や規制強化を前面に出しています。
Q:私たちの生活にどんな影響がありますか?
A:外国人労働者は介護や製造業など人手不足分野を支えていますが、地域社会での生活支援や不法滞在対策など課題も増えています。政策次第で地域の負担や治安の安心感が大きく変わる可能性があります。
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