
ニュース引用
警視庁国際犯罪対策課は2025年7月25日、東京都中野区の会社役員・山崎光太郎容疑者(51)ら7人を、就労資格のない、無資格 外国人約1400人に「出前館」の配達員アカウントを不正譲渡させた詐欺容疑で再逮捕したと発表した。被害額は約5400万円に上るとみられる。
無資格 外国人1400人『出前館』詐欺事件
出典:朝日新聞
要約
東京で、就労資格のない外国人約1400人が日本人名義の出前館配達員アカウントを使用し、不正に業務を行っていた事件が発覚。警視庁は、名義貸しを組織的に行った会社役員ら7人を詐欺容疑で逮捕し、収益は約5400万円に達するとしています。SNSや知人紹介を通じて広がったこの手口は、宅配プラットフォームの本人確認制度の不備を突いたものでした。
解説・考察
本事件は、宅配業界におけるアカウント管理の脆弱性を突いた典型的な不正就労事件です。出前館を含むフードデリバリー各社は契約時に本人確認を実施しますが、アカウントの貸与・譲渡を完全に防ぐ仕組みは確立されていません。結果として、資格のない外国人でも容易に配達業務が可能になっていました。
制度の盲点と不正の温床
入管法では、不法就労助長行為は3年以下の懲役または300万円以下の罰金と規定されています。しかし、プラットフォーム型労働は雇用契約ではなく業務委託契約が多く、法的な監視が緩い傾向があります。この構造的な盲点が、不正の温床となっていました。
厚生労働省によれば、2024年10月末時点で日本国内の外国人労働者は約202万人。そのうち「資格外活動許可」で働く留学生は約36万人ですが、規定時間を超える就労や資格外活動は不法就労とみなされます。本事件はこうした不法就労の一形態にあたります。
宅配業界の成長とリスク
経済産業省の調査によると、国内フードデリバリー市場はコロナ禍以降急拡大し、2024年には約7,800億円規模に達しました。その一方で、配達員の多くは短期的・非正規的な働き方であり、本人確認の形骸化や名義貸しが問題化しています。
出前館は2022年以降、本人確認に顔写真付き身分証と動画認証を導入しましたが、事件ではそれを回避する手口(第三者が登録後に譲渡)が用いられていました。プラットフォーム側の再認証やランダムチェックの強化が今後の課題です。
社会的影響と報道の在り方
この事件は「外国人による犯罪」として報じられる一方、背景には制度的欠陥とプラットフォームの監視不足が存在します。大多数の外国人労働者は適法かつ真面目に働いており、個別事例を全体に拡大解釈することは偏見を助長します。メディアや自治体は、事実を正確に伝えるとともに、再発防止策や制度改善の方向性を議論する必要があります。
関連情報
カテゴリ:経済・就労(外国人労働者)/社会問題
タグ:出前館, 無資格外国人, 名義貸し, 詐欺事件, 外国人労働者, 不正就労,内部リンク候補(JP News Focus内)
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