法務省は2024年の入管法改正で導入された「永住資格取消制度」について、9月下旬に運用ガイドラインを公表しました。税金や社会保険料の滞納、重大な犯罪行為などが取消対象となる可能性があり、永住者に求められる責任が一層明確化されます。一方で、国連は人権侵害の懸念を示し、日本政府は「問題はない」と回答しました。

ナルカ:えっ、長年住んでいても取消されるんですか?それはちょっと不安になりますね…。



クロ助:永住権って一度取れば安心だと思われがちだけど、義務を果たさないと取消の可能性もあるにゃ。
目次
1. 永住資格取消制度とは
入管法改正(2024年施行)により、従来の虚偽申請などに加えて、以下のケースで永住資格が取消可能となりました。
- 故意の税金・社会保険料滞納
- 懲役刑を伴う重大犯罪
- 在留カード更新や住所届出など入管義務違反
- 不正取得や虚偽申請
2. ガイドラインで明示された基準
今回公表された運用基準では、取消判断にあたり以下の点を総合考慮することが示されました。
- 在日年数・家族状況
- 納税履歴・保険料支払い状況
- 過去の犯罪歴・刑罰の内容
- 社会生活上の適応状況
これにより、形式的な違反だけで即取消とはならず、個別事情を踏まえた運用が行われるとされています。
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3. 国連の懸念と政府の回答
国連人種差別撤廃委員会は、永住取消制度が「差別的適用」や「恣意的運用」につながる可能性を指摘し、日本政府に見直しを要請しました。
これに対し政府は9月25日付で、「取消制度は国際人権条約に抵触せず、適正な手続きを確保している」と回答しました。
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4. 国際比較と日本の立場
- 賛成意見:「納税や社会保険料を故意に滞納する者には、国民と同等の責任を負わせる必要がある」
- 反対意見:「長年日本に定住する永住者に対して、取消は生活基盤の破壊につながる」
- 中立意見:「制度自体は理解できるが、適用基準と運用の透明性が不可欠」
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クロ助とナルカの視点から



クロ助:納税や社会保険を果たさない永住者に厳格な対応をとるのは、国益の観点では理解できるにゃ。



ナルカ:でも、真面目に暮らしてきた永住者が、ちょっとした滞納で取消になったら不安が大きいですよね。



クロ助:だからこそガイドラインで「個別事情を考慮」と明示されたにゃ。ただ、その運用透明性が鍵だにゃ。
編集デスクまとめ
永住資格取消制度は、永住者に対して「権利と同時に義務を明確化する」一歩といえます。一方で、恣意的な運用や社会的弱者への過度な負担につながる懸念も国際的に指摘されています。今後は実際の適用事例や裁判所の判断が、日本の移民政策の透明性を測る試金石となるでしょう。
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