在日中国人による薬局買収拡大　神薬人気と経営難が背景に

在日中国人による薬局買収の増加

近年、日本国内で在日中国人による薬局買収が増えている。背景には、中国で日本の薬が「神薬」と呼ばれ高く評価されていることがある。買収という手法であれば、新たに店舗物件や薬剤師を探す必要がなく、即座に事業を開始できる利点がある。

中国語対応の行政書士と参入の容易さ

薬局経営に必要な許認可や登記は専門知識を要するが、中国語に対応した行政書士やコンサルタントが増加しており、参入障壁は低下している。制度的には薬剤師の常駐や薬事法の規定があるものの、法人買収であれば条件をスムーズにクリアできるケースが多い。

日本の薬が「神薬」と呼ばれる理由

日本の薬は品質管理が厳格で、副作用リスクが低く即効性が高いとされる。風邪薬（大正製薬パブロン）、目薬（ロートVシリーズ）、胃腸薬（大幸薬品正露丸など）が特に人気で、中国国内では長年「神薬」として定着してきた。従来は旅行者による爆買いが主流だったが、現在は現地供給を狙った買収型ビジネスへと移行している（マネーポストWEB 2024）。

経営難の薬局が狙われる構図

日本国内では薬局の経営難や後継者不足が深刻化している。薬局は全国で約6万店舗あるが、近年は年間1,000店舗規模の閉鎖・休廃業が続いている（厚生労働省 2023）。廃業寸前の薬局が買収の対象となりやすく、外国人投資家にとって参入機会となっている。

国外への流通リスクと摘発事例

薬局を買収した後、日本で仕入れた医薬品が国外に流出する懸念がある。過去には、個人輸出や越境ECを通じて処方薬を不正に輸出した事例が摘発されており、厚労省や税関も監視を強化している。実際にNHKニュース（2023）でも不正輸出事件が報じられており、日本人が必要とする薬が不足するリスクは容易に想像できる。

多角的な視点からの評価

賛成意見

外国資本が入ることで地域薬局が存続でき、雇用や医療サービスが維持される。資金力によって店舗のリニューアルやサービス拡充が可能になる点を評価する声もある。

反対意見

医薬品が国外に流れ、国内で供給不足や価格上昇が起きる懸念がある。利益が国外へ流出し、国民生活に影響を与える可能性を危惧する意見も根強い。特に「日本人が使うべき薬を外国資本に握られる」点は、将来的に大きなリスクと捉えられている。

中立的立場

規制と監視体制次第でリスクは管理できる。透明性の高い仕組みを整えれば、外国資本の参入を受け入れつつ国内供給を守る道もある。

日本社会への影響と今後の課題

医薬品は国民生活を支える基盤であり、戦略物資的な側面を持つ。薬局買収の広がりは、地方医療ネットワークや調剤薬局の安定供給に直結する問題である。国としては、外国資本による薬局経営を規制するのではなく、透明性やトレーサビリティを強化し、横流しや国外流出を防ぐ制度設計が求められる。

SNSや世論の反応

X（旧Twitter）上では「日本の薬を海外に持ち出さないでほしい」という懸念の声が多い。一方で「経営難の薬局が救われるなら良いのでは」という肯定的意見もある。また「外国資本に薬を握られるのは国民にとって損失だ」という警戒感も強まっている。

まとめと展望

在日中国人による薬局買収は、国際的な需要と国内経済の課題が交錯する現象である。日本の医薬品供給を守るには、外国資本を排除するのではなく、監視体制を強化し透明性を高めることが重要だ。国益と地域医療の持続性を両立させるため、将来的な供給リスクを見据えた政策が不可欠となる。