外国人とみられる人物が線路からケーブルのような物を持ち去る動画について、「日本で起きた外国人による金属窃盗事件」とする情報がXやYouTube、TikTokで拡散した。しかし、サイバーセキュリティー会社の調査により、動画は日本の事件を撮影したものではなく、2025年8月に海外でアラビア語とともに投稿されていた過去映像と同一だったことが分かった。
共同通信などによると、関連動画は2026年9月15日までに計約430万回表示・再生された。実際に日本国内で金属盗が発生していることと、今回拡散した動画が日本の事件であるかどうかは別の問題である。JP News Focusでは、確認できる事実と確認できない情報を切り分ける。
新人記者ナルカ


ファクトチェックの結論
| 確認項目 | 判定 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 日本の線路で撮影された動画か | 根拠なし | 日本国内の撮影場所や日時を示す証拠は確認されていない。 |
| 2026年に日本で起きた外国人窃盗か | 誤り | 同じ映像が2025年8月に海外でアラビア語とともに投稿されていた。 |
| 動画内の行為が窃盗か | 確認不能 | 元投稿の事情や人物の権限、物品の所有者は不明。 |
| 日本で金属盗が発生しているか | 別途事実 | 日本国内で銅線や金属の窃盗事件は発生しているが、この動画の真正性を裏付けるものではない。 |
結論:「日本で外国人が線路から金属を盗んでいる動画」とする説明は誤りであり、海外の過去映像を日本の事件に見せかけた偽情報である。
偽情報が拡散した経緯
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年8月 | 同一とされる動画が、海外でアラビア語とともにInstagramへ投稿される。 |
| 2026年3月 | Xで「外国人による金属窃盗事件」「線路から金属を盗む」などの説明を付けた投稿が確認される。 |
| その後 | 同じ動画がTikTokやYouTubeなど複数のSNSへ転載される。 |
| 9月15日まで | 関連投稿の表示・再生数が計約430万回に達する。 |
| 9月26日 | 動画の出所調査をもとに、海外の過去映像を流用した偽情報だと報じられる。 |
なぜ「日本の事件」に見えてしまったのか
短い動画には、撮影国を特定できる標識、駅名、車両、建物などが十分に映っていないことがある。そこへ日本語で「外国人窃盗」「日本の線路」と説明を付ければ、視聴者は字幕を事実として受け取りやすい。
さらに、日本で銅線、ケーブル、太陽光発電施設の金属、側溝のふたなどを狙う窃盗事件が実際に発生しているため、「ありそうな話」として拡散されやすい。現実に類似事件があることは、個別の映像が本物だという証明にはならない。
外国人犯罪を検証するサイトほど確認が必要
外国人による犯罪や迷惑行為が報道された場合、国籍を伏せず、発生事実や制度上の問題を記録することには公共的な意味がある。一方、事実ではない動画まで犯罪事例として扱えば、正確な問題提起の信頼性が損なわれる。
外国人問題を論じる際に重要なのは、実際に発生した事件を過小評価しないことと、確認できない情報を事件として数えないことの両立である。偽動画を排除することは、外国人犯罪の問題を隠す行為ではなく、実在する事件と統計の信頼性を守る作業となる。
SNS動画を確認する5つの方法
- 最初の投稿を探す:転載日時ではなく、確認できる最古の投稿までさかのぼる。
- 画像を逆検索する:動画の一場面を静止画にし、過去に同じ映像が使われていないか調べる。
- 場所の手掛かりを見る:標識、道路表示、車のナンバー、電車、制服、文字、音声を確認する。
- 警察・報道を探す:重大事件であれば、発生場所の警察発表や地域報道が存在する可能性が高い。
- 断定表現を疑う:場所や日時、情報源がないまま「外国人」「窃盗犯」と決め付けている投稿は慎重に扱う。
430万回拡散が社会へ与える影響
映像は文章より強い印象を与える。短い動画を見た人が「証拠映像」として再投稿すると、訂正情報よりも先に偽の説明が広がる。表示回数が大きいことは、情報が正しいことを意味しない。
偽情報が広がれば、無関係の外国人への疑念が強まるだけでなく、本物の事件報道まで「またデマではないか」と疑われる可能性がある。治安上の問題を正確に把握するためにも、警察発表、裁判、自治体資料、報道機関など複数の情報源による確認が欠かせない。
賛成・反対・中立の視点
偽情報への削除・訂正を求める視点
日本の事件ではない映像を外国人犯罪として広める行為は、社会的な不信と対立を意図的に生み出す。投稿者やSNS事業者は訂正表示を行い、悪質な収益目的の拡散には対策を強化すべきだという考え方である。
過度な投稿規制を懸念する視点
誤情報対策を理由に、外国人犯罪に関する正当な報道や市民の問題提起まで削除されることを懸念する意見もある。規制では、何が誤りなのかを証拠とともに示し、異議申立ての仕組みを用意する必要がある。
検証可能性を重視する中立的視点
投稿者の政治的立場ではなく、元動画、撮影場所、日時、警察発表の有無で判断する。真偽を検証できる情報を付けることが、表現の自由と偽情報対策を両立させる。
クロ助とナルカの視点












編集部まとめ
- 拡散情報:外国人が日本の線路から金属を盗んでいるとする動画がSNSで拡散した。
- 検証結果:同じ動画は2025年8月に海外でアラビア語とともに投稿されていた。
- 拡散規模:関連投稿は2026年9月15日までに計約430万回表示・再生された。
- 注意点:日本で金属盗事件が実在することと、この動画が日本で撮影されたかは別問題である。
- 国益的示唆:外国人犯罪を正確に把握し対策するためにも、偽動画を排除し、警察発表や証拠に基づく情報環境を守る必要がある。
出典
- 神戸新聞NEXT/共同通信「『外国人窃盗』の偽情報が拡散 SNSで、過去の動画流用」2026年9月26日
- 熊本日日新聞/共同通信「『外国人窃盗』の偽情報が拡散」2026年9月26日
- 内閣官房「外国による偽情報等に関するポータルサイト」
内部関連記事













コメント