台湾・新竹県選挙委員会は2026年10月7日、竹北市長選への立候補を届け出た中国出身の李貞秀(りていしゅう)前立法委員(国会議員)について、候補者登録を認めない判断を下した。理由は、中国大陸の戸籍を失ったことを証明する書類の提出から10年が経過していないため。李氏は翌8日、立候補資格を保つための暫定的な救済を台北地方法院に申し立てた。
新人記者ナルカ


竹北市長選の候補者資格をめぐる経緯
| 対象者 | 中国出身の李貞秀氏、前立法委員 |
|---|---|
| 届け出た選挙 | 台湾・新竹県竹北市長選 |
| 投開票日 | 2026年11月28日 |
| 10月7日 | 新竹県選挙委員会が候補者登録を認めないと判断 |
| 判断の理由 | 原籍喪失証明の提出から10年未満と認定 |
| 10月8日 | 李氏が台北地方法院に暫定的な救済を申し立て |
「10年」はいつから数えるのか
台湾地区・大陸地区人民関係条例(両岸条例)第21条は、許可を受けて台湾に入った大陸地区の人民について、法律に別の定めがある場合を除き、台湾に戸籍を置いて満10年となるまで公職選挙の候補者登録を認めないと定めている。
対中政策を担う大陸委員会は4月16日の解釈令で、この10年の起算点を、台湾で定住・戸籍登録を行い、中国大陸の戸籍喪失証明を主務機関へ提出し終えた日とした。身分の移行手続きを確実に完了させ、台湾と中国大陸にまたがる身分の扱いを一元化することなどを理由に挙げている。
フォーカス台湾によると、新竹県選挙委員会はこの解釈に基づき、今回の選挙では2016年11月28日までに証明書類を提出している必要があると説明。李氏は条件を満たしていないと判断した。
ここで対象となる証明は「中国大陸の戸籍の喪失」に関するものだ。国籍放棄の証明とは区別する必要があり、今回の10年要件も両岸条例に基づくもので、外国出身者全員に一律に適用される制度ではない。
李氏は1999年の戸籍登録を根拠に反論
李氏は、1999年に台湾の主務機関から適法に戸籍登録を認められ、中華民国の身分証を取得したと主張している。過去に立法委員選挙への立候補や議員就任も認められていたとして、今回の判断が憲法の保障する政治参加の権利に影響すると反論した。
焦点は、台湾で最初に戸籍登録をした時点と、原籍喪失証明の提出を完了した時点をどう扱うかにある。李氏が挙げる1999年という日付は、今回の審査で問題となった証明書類の提出完了日と同じことを意味するわけではない。
10月8日に台北地方法院へ申し立て
中央社と民視は、李氏が8日、台北地方法院に書面を提出し、候補者資格を保つための「定暫時狀態假處分」(争いのある状態を暫定的に定める処分)を申し立てたと報じた。民視によると、新竹県選挙委員会と中央選挙委員会を相手とする民事訴訟も起こした。
中央社の取材に対し、李氏は8日時点で新竹県選挙委員会の正式な処分を受け取っておらず、今後、中央選挙委員会による再審査が必要になると説明。時間を確保するため、先に裁判所へ救済を求めたとしている。






編集部まとめ
公職を担う人の資格を、明確な法的基準に沿って審査することは、選挙への信頼を守るうえで欠かせない。同時に、当事者が判断の理由を知り、異議を申し立てられる手続きも必要だ。
今回、確認すべきなのは出身地だけではなく、適用される法律、証明書類の提出時期、行政解釈と本人の主張が食い違う点である。編集部としては、10年の起算方法を明示した審査と、司法救済への判断を通じて、有権者にも経緯が分かる説明を求めたい。
出典
- フォーカス台湾「中国出身女性の市長選出馬認めず 新竹県選挙委員会『要件満たしていない』/台湾」2026年10月7日
- 中央社「李貞秀選竹北市長資格遭否決 向北院聲請定暫時狀態假處分」2026年10月8日
- 民視新聞網「李貞秀參選竹北市長夢碎 今提告選委會『聲請定暫時狀態處分』」2026年10月8日
- 台湾・全國法規資料庫「臺灣地區與大陸地區人民關係條例」第21条
- 行政院公報・大陸委員会解釈令「陸法字第1150400418號」2026年4月16日
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